Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国際情勢

たった一人の「愛国者」

先週、ウクライナのゼレンスキー大統領が米国を電撃訪問、バイデン大統領と会談し議会でも演説を果たした。戦時下の首脳が米国議会で演説したのは、第二次世界大戦時の英国チャーチル首相以来のことという。 ゼレンスキー氏はこれまでの米国など西側の支援に…

「ゼロコロナ」ではなくなったのに

先月末、中国都市部から火が付いた「白紙革命」。直接的には「ゼロコロナ政策」で自由を奪われた人たちの叫びなのだが、経済の停滞・不動産高騰・若者失業率増などの複合要因でおきたデモである。多くの国際政治学者は「習政権はメンツもあってゼロコロナの…

これって本物のネオナチ?

欧州が揺れている。洗練された文化と伝統、それに「Global & Digital」による経済発展をしていたはずだった。しかし、Brexit、移民問題、ウクライナ紛争と21世紀にふさわしくないことが次々に起った。そして今度はドイツで、極右組織によるクーデター計画で…

脱炭素から南北経済問題へ

スウェーデンの若者たちが、アイコンであるグレタ・トゥーンベリさん(もうグレタちゃんとは呼べないな)を中心に、政府の環境問題対応が良くないと訴訟を起こした。表面に出たのは1国だけだが、世界中に同様の不満は溜まっている。美術品を汚損する形でし…

デジタル天安門への道

異例の三期目に入り、もはや現代の皇帝として揺るがぬ体制を築いたと思われた習大人。抗議の声は上がるものの、ミャンマーやイランで起きているような大規模抗議集会に発展するはずはないと、僕は思っていた。ところが、先週末に、ウイグル・上海・北京など…

14億回/年に及ぶ攻撃下の選挙

僕の所属している団体では、以前から台湾工業技術研究院(ITRI)との交流があり、台湾とのサイバーセキュリティ関連情報交換や日台産業間の連携の議論をしている。ITRIは中華民国政府の経済部に所属する、台湾最大の産業技術研究開発機構だ。ルーツは1936年…

ゼレンスキー氏が悪者になる日

せっかく侵攻し、占領し、住民投票モドキまでして併合したヘルソン州の州都ヘルソンから、ロシア軍は撤退した。大河であるドニエプル川にかかる橋が破壊され、西岸にあるヘルソンに残されたロシア軍は、補給もままならない。軍の撤退判断はやむを得なかった…

三権分立ってやっぱり重要

初等中等教育で「立法・司法・行政の三権分立は重要ですよ」と教えられた。ただ日本は議員内閣制なので、議会で多数を取った政党が内閣(行政の長)を形成する。内閣総理大臣は、国会議員でなくてはならない。国会での議論を見ていても、立法府なのに、 ・「…

日本のミレニアム&Z世代にも期待

米国の中間選挙は、ある意味予想外の経過になった。事前予想は「共和党が下院で圧勝、上院でも多数を得る勢い」だった。選挙中盤、民主党が中絶問題で巻き返しているとはいえ、あまりにも過酷なインフレに対してバイデン政権が批判にさらされていたからだ。…

難しい時期のCOP27

昨年のCOP26の時は、まだよかった。「COVID-19」禍で先進各国は国内経済を何とかしようと財政出動をしていたものの、国際的な人流は減って「飛び恥」と言う言葉も定着しつつあった。だから、石炭火力の全廃に向けた議論もできた。結局は膨大な人口を抱える中…

北朝鮮の先制攻撃を受けたら

連日のICBM発射を含む「示威行動」である。米韓合同演習に怒ったのか、それとも恐れたのか、北朝鮮がミサイルや砲弾を「大量消費」している。米国の中間選挙前に核実験をするのでは、との憶測も流れている。ウクライナ情勢や台湾海峡での緊張の高まりがあっ…

それぞれの停戦提案とその後

昨日「世界経済に黄信号」という主張をしたが、その要因の大きなものがウクライナ紛争(ロシアの侵略?)であることは間違いがない。世界中の多くの人、企業、国が、正直なところ早期停戦を望んでいると思う。2つの当事国に対してトルコやインドの首脳が仲…

世界経済が傾きかけている

米中対立だ、ウクライナ紛争だ、ゼロコロナだ、エネルギー危機だ、インフレだ、物流停滞だ、食糧危機だと言っているうちに、世界経済に黄信号が点滅し始めた。個人のことで恐縮だが、3ヵ月に一度送って来る証券会社の運用状況を見ると、3%近くこの3ヵ月…

配備だけでも陽動になるのなら

追い詰められたプーチン政権(&ロシア)にとって、味方は多くない。あの北朝鮮さえ、ロシアを見限るのではないかという説も出てきた。そんな中で「変わらぬ盟友」であると公言しているのが、ベラルーシのルカチェンコ大統領。もしロシアで政変でも起きたら…

"Cyber Power Index"のスタンス

一昨日、日本のサイバーセキュリティ能力について「卑下せず、誇張せず」の姿勢で経団連が情報発信をしていることを紹介した。ところが、昨日紹介したイベントの打ち合わせでは「ハーバード大のシンクタンクが、日本のサイバーセキュリティ能力を低く評価し…

中国のインテリジェンス戦略

サイバーセキュリティ業界も、金銭狙いのデジタル詐欺や、ちょっと規模の大きなランサムウェア攻撃への対応だけではなく、国家間の安全保障からみの議論が徐々に増えてきた。僕はシミュレーションゲームなどで戦史を学んだ程度だから、一般の人よりは詳しい…

逃避行、それぞれの事情

プーチン先生が追い詰められているようで、兵力不足を補うため「徴兵」を開始した。一部の軍事行動経験者に限るとのことだったが、反対デモ参加者をそのまま連れ去ったり、学生に召集令状を送るなど「言行不一致」が目立つ。 危機感を持ったロシア市民は、国…

ランサムウェアへの対処

日本では、ロシア発のDDoS攻撃で政府機関のサイトが使えなくなるなどの話題があるくらいなのだが、ウクライナ紛争や台湾海峡の緊張などでは、サイバー攻撃が日常化している。ただのいやがらせから、本格的な諜報、軍事行動までバラエティ豊かな内容である。…

中国には届かないかもしれないが

「くまのプーさん」と言えば、英国の作家A・A・ミルンの作品で、世界中に知られているキャラクター。ミルンは20世紀初期の作家で、本格ミステリー「赤い館の秘密」も書いた。プーさんも登場から1世紀経って、著作権の縛りが切れたようで、原作にないストーリ…

米国首席公使公邸でのパーティ

ある日突然、米国大使館からのパーティ案内メールが届いた。この夏は大使館でも異動の時期だったようで、何人かの新任者を紹介したいとある。場所は麻布永坂町、地図を見ると最寄駅は麻布十番と六本木一丁目。正直、行ったことがないところ。なぜ呼ばれたか…

睨みが利かなくなると

ウズベキスタンのサマルカンドで開催された<上海協力機構>の会合が終わった。中国、インドという14億人国が参加しているため、世界の人口に占める比率は重い。プーチン先生としては「西側何するものぞ、世界の半分は俺の味方」と言いたかったのだろうが、…

守りたかったはずのデータが・・・

習大人の「デジタル防衛政策」はかなり徹底していて、サイバー空間を国家主権の一部と位置づけ、ここへの侵略は領土へのそれに等しいと内外に通告している。具体的には、 2017年 サイバーセキュリティ法 2021年 データセキュリティ法、新個人情報保護法 の「…

海洋覇権の焦点

先月ソロモン諸島で、日米合同の慰霊祭が行われた。80年前の8月、航空基地や水偵基地を建設中だった日本軍に米国の大艦隊が襲いかかり、以後半年ほど激戦を繰り返した場所だ。ソロモン諸島という国の名前を言ってもピンとこない人も、ガダルカナルの戦いと…

公務外での米軍将校の事件

昨日の日韓問題に引き続き、司法と外国政府に関わる問題をもう1件。昨年5月に富士宮市で米軍将校が交通事故を起こし、日本人3人が死傷する事件があった。米国海軍横須賀基地所属のハネマン大尉が起こしたもので、被告人は「高山病による心神耗弱」を原因…

本当の「悪徳弁護士」

中学生時代から英米ミステリーにはまっていた僕、官憲側の名探偵が「・・・というわけで、こいつが犯人だ。しかし直接証拠がない」と警官や検察官と鳩首会談するシーンをいくつも読んだ。加えて容疑者権利を(しすぎなくらい)保護する<ミランダ条項>などの、…

台湾海峡のハイブリッド戦

「ハイブリッド戦」という言葉の意味は、軍事専門家によると「軍事力以外の力を併用して敵を屈服させようとすること」らしい。その(軍事力以外の)手段は、デジタルに留まらない。政治力、経済力など広く活用するもので、デジタル以前の時代にも、いくらも…

かつての大国の存在感

このところ、トルコのエルドアン大統領の動きが活発だ。ロシアとウクライナという紛争当事国に国連を加えた4者会談で、ウクライナからの穀物輸出に道を拓く会合をまとめた。先週はウクライナに出かけ、国連のグテーレス事務総長とゼレンスキー大統領との3…

台湾有事の後を見据えて

ペロシ下院議長の訪台に続いて、先週は米国超党派の国会議員団が台湾を訪問、蔡英文総統と会談した。中国政府は直ちに反応、再び台湾周辺での軍事演習をして台湾&米国政府を威嚇した。一部には台湾周辺の演習が常態化する懸念もあるが、やればやるだけ弾薬…

気候変動がもたらす水の偏在

日本でも北海道、東北地方で大雨被害が出ているが、韓国ソウル市のそれは想像を越える規模になっている。「パラサイト」という映画で、半地下の部屋に住む貧困層の家屋を描いていたが、実際にそのような暮らしをしている人が60万人以上いるという。 そこに10…

半導体産業への投資競争

経済安全保障推進法が成立したが、法律だけでは具体的な進め方は分からない。これから施行令・施行規則が作られて、ちゃんとした予算がつかないと霞ヶ関は動けない。担当大臣が財務省出身の若手小林鷹之議員から、総務大臣等を歴任したベテランの高市早苗議…