Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

半導体産業への投資競争

 経済安全保障推進法が成立したが、法律だけでは具体的な進め方は分からない。これから施行令・施行規則が作られて、ちゃんとした予算がつかないと霞ヶ関は動けない。担当大臣が財務省出身の若手小林鷹之議員から、総務大臣等を歴任したベテランの高市早苗議員に替わった。少し方向性が変わるかもしれない。

 

 しかし当面焦点が当たっているのが半導体産業で、この点は揺るがないだろう。5月に自民党半導体戦略推進議員連盟>は「今後10年間に官民合わせて10兆円の投資が必要」と提言している。仮に1ドル=130円として、約770億ドルだ。

 

        

 

 米国では国内半導体産業支援法が成立、国内半導体事業者に対して、520億ドルの助成金と240億ドルの税額控除が与えられる。総計760億ドル。さらに今後10年間に2,000億ドルの研究開発支援もするという。日米両国は、これまでボラティリティが高くおしなべてみても儲かっていると言えなくなった<半導体製造業>を冷遇してきた。しかしこれで、流れは少し変わるだろう。

 

 一方の中国は、これまですでに1,000億ドル以上の投資をしてきた。10年ほどの期間が過ぎていて、例えば「国家集成電路産業投資基金」では450億ドルを用意し<大基金>と呼ばれている。しかしその成果が思わしくないらしい。

 

中国が半導体業界の汚職調査開始、国産化難航に不満-関係者 - Bloomberg

 

 この資金は多くの中国企業に流れたことになっているが、その陰に汚職があるのではとの疑義が浮上している。調査が行われているだけではなく、関係者のキーマンが多数行方不明になっているとの記事もある。

 

 政府高官の自殺(?)や、各国の駐中国大使の不審死など、このところの中国の世相はブラックに近いグレーです。半導体「投資」も関係者の懐に消えていて、その後始末が・・・とも考えられます。いや、物騒ですね。