Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デジタル天安門への道

 異例の三期目に入り、もはや現代の皇帝として揺るがぬ体制を築いたと思われた習大人。抗議の声は上がるものの、ミャンマーやイランで起きているような大規模抗議集会に発展するはずはないと、僕は思っていた。ところが、先週末に、ウイグル・上海・北京などで、大規模なデモがあり「共産党習近平退陣」を求め始めた。

 

 確かにこれまでも、不動産市場の崩壊補償や労働者の待遇改善を求めた抗議活動はあった。これらは地方政府や企業に向けられたもので、直接共産党&習大人に声が向けられたものではないかった。原因として、

 

・ワールドカップの映像で、マスクなしで騒ぐ外国の映像を見た

ウイグルで火災の対応がゼロコロナ政策のために遅れ、死者が出た

 

 などが挙げられているが、これらはきっかけに過ぎない。

 

    

 

 為政者(特に独裁者)が怖れるのは、外圧よりは内部蜂起。中国の政権も、何度も宗教がらみの叛乱で倒されてきた。

 

中国で王朝が滅びる時 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 硬直化した身分制度、官僚の腐敗、そして民衆を糾合するイコン(今回はゼロコロナ)のもとに集まるキレた民衆がその3条件となる。今回の件は、後に歴史家が「ゼロコロナ蜂起」と呼んで、中国共産党時代の終わりの始まりと評するかもしれない。

 

 しかし、一方で疑問も残る。最初に上海での抗議デモと聞いた時には、上海が江沢民系(国退民進の右派)の拠点だったことから、習大人のライバルの息の根を止める策謀かと疑った。しかし他の大都市にも広がったことから、別の疑惑も湧いてきた。

 

 デモ参加者の個人情報(メール、SNS、位置情報、サイトアクセス歴等)は、政権側に筒抜けだ。抗議活動を起こしてもらって不満分子のリーダー格をあぶりだし、これを検挙することをしようとしているのではないか。

 

 もし習大人の狙いがそうなら、これは「デジタル天安門」と呼ぶべき事件の入口です。今後の動向を注視しましょう。