Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国際情勢

指揮幕僚車<ラドガ>の意味

十分な支援を受けられていないウクライナ軍に対し、イランや北朝鮮からの輸入と国内での兵器増産体制を整備したロシア軍は、優位に戦いを進めていると言われる。ただその内実は結構お寒いもので、十分な訓練や準備期間を経ずに実戦投入される兵士や、士気だ…

14億人の民主主義

先週から14億人の人口を抱えるインドで、総選挙が始まった。同じく14億人の中国では選挙らしきものは共産党内でしか行われないので、世界最大の選挙といえる。何しろ大規模なので、7月までかかるという。モディ首相の政治力や統率力、国民の人気などは大し…

なぜユダヤ人とペルシア人が闘うの?

イスラエルがシリアのイラン領事館を攻撃し、イラン革命防衛隊の司令官らを殺害したことに端を発し、イランのイスラエル本土攻撃、イスラエルの反撃・・・と中東の緊張が極限に近く高まっている。ご存じのようにイスラエルはユダヤ人国家、パレスチナをはじめア…

グローバルパートナーとしての日本

僕らが京都で花見としゃれこんでいる間に、岸田総理は国賓待遇で米国を訪問、いくつかの成果を得るとともに、見返りというお土産も貰って帰国(*1)している。国際情勢が緊張し、一部では秩序が崩れてWWⅢの声も聞かれる中、もはや米国に「Pax Americana」を…

赤いミャンマーは見たくない

軍事クーデターから3年経って、ミャンマー情勢は混とんとしてきている。民主派勢力を弾圧し、イコンであるスー・チー元国家元首らを拘束したまでは良かったが、その後の軍事政権にはいいことが少ない。当然民主派の抵抗はあるし、諸外国からの経済制裁もあ…

エスカレートするウクライナ戦線

ロシア軍が優勢になり、泥濘の時期が終われば本格的な総攻撃があるとも伝えられるウクライナ戦線。戦術的にはウクライナ側に一日の長があり、 ・ドローン攻撃で、ロシア軍軍用機が航空基地で破壊される ・クリミアのロシア艦隊は、ほぼ行動不能に ・無謀な突…

7人の命が変えた「潮目」

米国は、ずっとイスラエルを擁護してきた。国連安保理で再三出されるイスラエル非難、停戦要求の決議案を、ことごとく拒否権を使って葬った。これは、ロシアのウクライナ侵攻に対する非難決議を、ロシア自らが拒否権を使って阻んだことに重なる。ネタニヤフ…

真夏のオリンピック、止めません?

東京オリンピック/パラリンピックが1年遅れたせいだからだが、もう夏のオリピック・イヤーがやってきた。今度の開催地はパリ、続々<五輪代表>が決まっているのはいいのだが、彼/彼女を待っているのは40度越えのパリの気候と、エアコンのない選手村であ…

ブラック・スワンがやって来る!

大幅な政府支出の削減を求める共和党下院の(強硬派の)主張が退けられ、今年度の予算が上院でも可決成立してバイデン大統領はほっと一息。なんとか政府閉鎖の危機だけは免れた(*1)形だ。 今棚上げになっているウクライナ支援はもちろん、米国政府閉鎖とな…

ロシアの戦時体制は未熟

先週、モスクワ中心部のコンサートホールでテロがあり、140名ほどの犠牲者が出た。多数の負傷者の中には重態の被害者もいて、今後死者の数は増える可能性が高い。イスラム国(IS)が犯行声明を出し、ロシア当局は実行犯4名を含む10余人を拘束して事件の全容…

海上自衛隊のアデン湾遠征を求む

先月、アデン湾の海賊対処任務に護衛艦「さざなみ」が派遣されるにあたり、ベテラン護衛艦1隻での派遣は危険だ(*1)と申し上げた。今回の派遣も47次という長いミッションの一環なのだが、昨年のハマス対イスラエルの紛争が始まってから、このエリアの危険…

「西側」援助とウクライナ人の血で

予想されたこととはいえ、ロシアの選挙でプーチン大統領が当選、あと6年は事実上の独裁が続くことになった。再ロマノフ王朝の夢か、スターリンの再来としてか、ロシア史に名を残す為政者になったことは確かだ。現時点ではその野望は、ウクライナを打倒する…

ロシアの仮想敵国

一昨日、昨日に続いて、今日もロシアのお話。別ブログで紹介しているように、このところサイバー諜報の結果得た情報が、立て続けに暴露されている(*1)。ドイツ軍の高官が出席したビデオ会議が盗聴され、その音声がロシア国営TVの編集長によって、SNS上で公…

ロシアの5つの海

昨日フランスのマクロン大統領が「Boots on the Ground」を排除しないと言ったことを紹介したが、その時かれの顔がナポレオン一世とカブって見えた。またNHKBSが放映した「チャーチル~ヒトラーから世界を救った男」を見て、ゲイリー・オールドマン演じるチ…

伝説の外人部隊、ウクライナの地へ?

ウクライナ戦争は、春(泥濘の季節だ)にはロシア軍の攻勢がより強まると危惧されている。あちこちからかき集めた生身の兵隊や兵器を潤沢(!)に使えるロシア軍に対し、兵器も弾薬も兵員も不足しているウクライナ軍がどこまで持ち堪えられるかがカギになる…

今こそRevolution in Military Affairs(後編)

戦力というのは、決して正面装備だけでは測れない。なにより重要なのは兵站、そして兵士の訓練度合いや士気、指揮能力・通信能力も重要だ。そういう意味では軍隊としての経験値と、実戦多岐な兵站能力が高いのは、当然だが「戦っている人たち」。 半世紀以上…

今こそRevolution in Military Affairs(前編)

「もしトラ」という言葉がはやっているが、「すでトラ」なのかもしれない。共和党全国委員長が、トランプ候補の意向により辞任させられ、後任が彼の推薦で決まるという。すでに人事権も持ったようだ。 彼の発言で特に西側社会を揺さぶっているのは「同盟国で…

この人道援助だけはしてはいけない

昨年秋から、北朝鮮との関係で何かが起きるという噂はあった。外交が得意とされる岸田首相は、秋の政局を、 ・内閣改造 ・旧統一教会解散命令 に加え、電撃訪朝や拉致被害者の何人かの帰国というイベントで乗り切ろうとしていたフシ(*1)はある。現実には今…

国会議員と周辺の適格性審査

不思議なことに<週刊新潮>だけが2年ほど前から報じているのが、中国秘密警察の秋葉原拠点のこと。中国が国外に秘密警察拠点を多く持っているのは「公然の秘密」だが、もちろん日本にもある。そのひとつ秋葉原拠点では、ビジネスホテルを隠れ蓑にマッサー…

アフリカ、行ける?行けない?

やがて世界の人口の半分は、この大地が占めると言われるアフリカ大陸。中国がその資源や市場を狙って進出しているというし、ロシアも<ワグネル>など使って各国政権に食い込もうとしている。アフリカ諸国には欧州系の国に対し、植民地化されていた記憶や、…

ウクライナ分割の陰謀?

ウクライナ戦線は膠着状態、ロシア側も必死に集めた武器弾薬・兵員で攻勢をかけているが、さほど大きな前進をしている様子はない。一方のウクライナ軍も、弾薬が枯渇しかかっているし、兵員も十分ではない。電撃戦はもちろん、攻勢に出ることも難しい。西側…

オリガルヒからの資金流入を断て

ガザ紛争の収束(例え一時的な停戦であろうとも)を目指して、米国高官が中東に何度も足を運んでいる。その中に、普通なら表舞台に出てこないCIAバーンズ長官の名前があった。CIAの任務は、スパイ小説/映画にあるように、外国での工作というよりは情報収集…

護衛艦「さざなみ」の無事を祈る

今月、海上自衛隊の汎用護衛艦「さざなみ」が、ソマリア沖アデン湾での海賊対処任務に派遣された。今回が第47次の派遣で「さざなみ」にとっては、2009年の第1次以降5度目の派遣になる。第一次当時は新鋭艦(2005年就役)だったが、今や20年近いベテラン。 …

武器弾薬の供給源たる半島

ポーランドなどNATO諸国で「K兵器」の購入が増えている。特に東欧諸国は、基本的に旧ソ連型の武器をいまでも使っていて、ウクライナ兵が慣れているこれらの兵器をウクライナに供与してしまい、自国の装備を旧西側仕様に改めようとしている。その時コスパが…

「もしトラ」を防ぎたい1%の力

米国最大のイベント「大統領選挙」が幕を開けた。4年に一度のお祭りという人も、4年に一度の革命だという人もいる。どちらも間違ってはいない。今回の「お祭り」は、とにかくユニークなことだらけ。 ・一度ホワイトハウスを去った人が再び挑戦すること ・…

台湾市民は絶妙な選択をした

今年は世界中で、国際社会に大きな影響を与える選挙が目白押しだ。その最初のもの(*1)が台湾の総統選挙と立法院選挙。親米の民進党蔡政権が2期続き、台湾有事がうわさされ、中国習政権の介入も懸念される中での選挙となった。 結論から言うと、台湾市民は…

今度は中国のミサイル問題

僕の子供のころは「東西冷戦期」、相互確実破壊(MAD)と呼ばれる人類絶滅の危機が目前のようにいうメディアもあった。核兵器を積んだミサイルが一発飛べば、それは世界の終わりだと思っていた。ところが、一昨年のロシアのウクライナ侵攻や昨年のガザ紛争も…

台湾総統選挙まであと1週間

もちろん大きなカタストロフが起きるわけではないだろうが、中国経済が変調をきたした、もしくは変調があらわになった2023年後半だった。ムーディーズが格付けを<ネガティブ>にしたのが、最も象徴的だったと思う。 政治の方も、なんとなくおかしい。任命し…

そろそろ日米地位協定の見直しを

昨日、ロシアの兵器・弾薬不足を補う北朝鮮の話をしたのだが、ウクライナ側も武器は渇望している。特に防空システムの強化は、ロシアの無人機・ミサイル攻撃に対抗するため必須である。米国供与のPAC-3は、先週大戦果を挙げている。ロシアの戦闘爆撃機Su-34…

どっちもどっちの互助会

欧米からの支援が枯渇してきて、苦しい立場にウクライナ軍が立たされている。とにかく戦場というのは膨大な資源を食う場所で、食料・燃料・武器・弾薬・医薬品さらには血や命まで吸い込んで消費してしまう底なし沼のようなものだ。 ロシア軍は初期戦力の9割…