Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

海洋覇権の焦点

 先月ソロモン諸島で、日米合同の慰霊祭が行われた。80年前の8月、航空基地や水偵基地を建設中だった日本軍に米国の大艦隊が襲いかかり、以後半年ほど激戦を繰り返した場所だ。ソロモン諸島という国の名前を言ってもピンとこない人も、ガダルカナルの戦いと言えば記憶にあるだろう。

 

鉄底海峡1942.8 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 峻険な山と密林に覆われたガダルカナル島で、わずかに平地のあるところに米軍が飛行場を作った。このヘンダーソン飛行場を巡って、両軍が海と陸で死闘を続けたのだ。ガダルカナルとツラギの間の海峡は、日米両軍の艦艇が多数沈んでいて「鉄底海峡」と呼ばれている。そして今、ヘンダーソン飛行場だったところを中心に、首都ホニアラが形成されている。

 

    

 

 慰霊祭では事件もあった。海上自衛隊護衛艦「きりさめ」を派遣したのだが、その乗組員が現地の男にナイフで襲われ負傷している。その背景は分かっていないのだが、この国(海域)には、再び暗雲が立ち込めているのだ。

 

 1976年に自治権を得たとはいえ、貧しさに変わりはない。民族対立も激しく、森林破壊やマラリア問題も抱えている。この国の国際環境が激変したのが2019年、海洋覇権を狙う中国が誘いをかけたのだろう、台湾と断交して中国と国交を結んだ。トランプ政権の鼻をあかすような事件だった。

 

 以降中国との関係が親密になり、安全保障協定も結んだ。事実上の中国基地になりはじめている。今回は、米国の沿岸警備隊が補給のための寄港を拒否された。

 

米沿岸警備隊、ソロモン諸島に給油の寄港できず=当局者 | ロイター (reuters.com)

 

 太平洋に人の住む島は少なく、それでも光海底ケーブルの敷設は進んでいる。その(デジタル)海洋覇権も、米中の争いの焦点である。80年を経て、再び注目が集まるガダルカナル島。今度は多くの血を流さないで収めて欲しいですね。