Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

目の前の敵しか見えていない

 せっかく日本の総理を国賓として呼び、議会で(多少お追従っぽい)演説までさせて日米協調を内外にアピールしたバイデン政権だが、思わぬところで本音が出てしまって混乱状態にある。それは、大統領選挙を戦うためにアジアや太平洋諸国出身の人たちに献金を呼び掛ける会合でのこと。

 

・移民は経済成長に寄与してくれる

・移民に消極的な中国、ロシア、日本、インドの経済は低迷している

 

 と演説したこと。中国、ロシアはともかく、日本やインドまで「排外主義の国」と名指ししたことになる。

 

日本は「排外主義的」と米大統領批判-移民受け入れ消極的と指摘 - Bloomberg

 

 確かにインドも不法移民でもOKと言いながら、イスラム教徒は対象外だし、シーク教徒迫害のうわさも根強い。日本も入管でスリランカ人女性を死なせるなど、決して寛容な国とはいえない。しかし「Xenophobia」という単語を使ったのは行き過ぎだと、識者はいう。

 

    

 

 この言葉は単なる「排外主義」ではなく「差別主義者だ」といっているようなものだ。目の前の票や献金欲しさに口が滑ったのかもしれないが、移民排斥を訴えるトランプ候補に対抗するために、インドや日本を「差別主義国」と分かりやすくいってしまったわけだ。

 

 インドや中国は自国内に十分すぎる人口を持っているからいいようなものの、日本をはじめ多くのOECD国は、人口減少に対応するため移民を考えざるを得なくなっている。しかし多く受け入れてしまった欧州各国などは、その弊害に悩まされている。英国など不法移民をルワンダ政府に、カネを払って引き取ってもらう措置まで取っているではないか。

 

 インドや日本が差別主義なら、行き先を考える中国脱出組の人など、ますます米国を目指すようになりますよ。バイデン大統領の「軽口」では済まない軽率なリップサービスでしたね。ますます大統領選挙の行方が分からなくなってきました。