Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

たった一人の「愛国者」

 先週、ウクライナのゼレンスキー大統領が米国を電撃訪問、バイデン大統領と会談し議会でも演説を果たした。戦時下の首脳が米国議会で演説したのは、第二次世界大戦時の英国チャーチル首相以来のことという。

 

 ゼレンスキー氏はこれまでの米国など西側の支援に感謝しながらも、引き続きの支援を要請した。これに対しバイデン大統領は追加の軍事支援を約束、その中には最新鋭防空システム「Patriot(愛国者)」が含まれていた。

 

米、首脳会談でウクライナ支援継続確約 パトリオット供与―ゼレンスキー氏侵攻後初外遊:時事ドットコム (jiji.com)

 

 ロシアはウクライナのエネルギー施設をドローン等で攻撃し「厳冬を大量破壊兵器として使っている」(ウクライナ広報)ので、防空システムの充実が求められている。ただこのような攻撃に対して「Patriot」が役立つわけではない。

 

    

 

 このシステムが打ち出すミサイルには多様な種類があるが、1発数億円とされる高価なもの。ドローンごときに使うのはもったいなくて、弾道ミサイルや軍用機を相手取るのが普通だ。それにたった「1基」というのもうなずけない。「Patriot」は単なるミサイルだけではなく、多くの装置からなるシステムだからだ。例えば、

 

◆1個中隊は5~8機の発射機を持つ

◆1台の発射機にはミサイルを最大16発搭載可能

◆中隊には、同時に8台の発射機を制御できる射撃管制装置(ECS)が付属

◆中隊には、レーダー装置(RS)や発電機等の関連設備も必要

 

 この「1基」というのはどの単位のことを言うのかも分からない。ちなみに航空自衛隊は、このシステムを24部隊(中隊規模)を持っている。

 

 米国からすれば「最新鋭の防空システムを供与しましたよ」という、政治的メッセージなのでしょう。そういえばプーチン先生もこれに応えて「多弾頭ICBM(サルマト)を実戦配備する」と言いました。これも政治的メッセージで、本当に核戦争するつもりではないことを祈ります。