Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

台湾海峡のハイブリッド戦

 「ハイブリッド戦」という言葉の意味は、軍事専門家によると「軍事力以外の力を併用して敵を屈服させようとすること」らしい。その(軍事力以外の)手段は、デジタルに留まらない。政治力、経済力など広く活用するもので、デジタル以前の時代にも、いくらも例がある。

 

 例えば軍事力では抗することができなくなった中国共産党が、盧溝橋事件を起こして蒋介石の国民党軍と日本軍を衝突させた「謀略」も、その中に入る。ただ(軍事には素人の)僕らデジタル屋から見れば、ハイブリッド戦とはリアル空間とサイバー空間の両方で闘うものと思える。

 

 今回の米国議員団の台湾訪問にあたり、中国は台湾島を取り囲むように演習域を設け、実弾訓練を行った。これは軍事力を用いた示威的行動であり、あまつさえ日本のEEZに5発の弾道弾を打ち込むということまでした。

 

    

 

 現在の軍事常識として、作戦行動の8割はサイバー空間で行われるという。当然この演習に関連して、サイバー攻撃はあったのだろうと思っていたら、こんな記事が出た。

 

だから台湾各地のセブン-イレブンは混乱に陥った…「中国製ネット機器」の危険性を見くびってはいけない 今回のハッキングは「テスト」にすぎない | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

 コンビニなどに設置されているデジタルサイネージが乗っ取られ、ペロシ議長の恐ろし気な写真と共に「戦争屋ペロシ」と糾弾する映像が表示されている。原因は多分コンビニが導入していたシステムに中国製の機器/部品が使われていて、中国当局(記事ではAPT27)がクラッキングをしたと思われる。バックドア等が仕掛けてあって、いつでもこういう真似はできたのだが、今回演習に合わせて台湾市民の動揺を狙ってのことだろう。

 

 本当に台湾有事となれば、日本も含む多くのシステムに彼らは侵入してくるでしょうね。さて、どんな備えをすべきですかね。