Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日本でも進む「分断」

 昨日、米国は「新南北戦争」に陥るかもしれないという悲観的な予想を述べた。先日の大統領選挙のTV討論会も、両候補が別々のTVチャンネルで有権者に語り掛けるという異例のものになった。トランプ先生が「COVID-19」に感染してしまったことも理由の一つだが、最初のTV討論会もまともな論戦ではなかったから仕方ないのかもしれない。ある米国の有識者が米国の分断状況を嘆いていて、

 

・両陣営支持者では、情報も完全に分断されている。

・新聞も違う、TVチャンネルも違う、観ているサイトも違う。

・だからどちらかが嘘を言っても、支持層はそれを疑わず、チェックもしない。

 

 という。冷戦時代「鉄のカーテン」があって、両陣営が同じ事件に対しても違う発表をし、相互にチェックもしなかったことを思い出す。昨今では中国の「Great Fire Wall」が、かの国に別のインターネット世界を作ってしまったのも同じ話だ。そんな思いをしていたら、日本でも「分断」が起きているのではないかと疑わせる記事に出くわした。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/c9e7b7cd8525121c85d5893849f4d94089e617f9

 

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 僕は民法TVはあまり見ないので、この番組「日曜報道 The Prime」は知らないが、この記事で取り上げられている「日本学術会議の軍事研究阻止の姿勢」には、ここに登場する人たち同様困ったことだと思っている。放送の中で「軍事研究推進賛成が88%」というアンケート結果が示され、これに対して元大阪市長の橋下氏が、「サンデーモーニングだったら真逆の結果になったろう」とコメントしている。

 

 日曜朝の「サンデーモーニング」は、僕が見る珍しい民法番組。主義主張は僕の物とは違うし、司会者が独善的・スポーツコメンテータはもっと独善的で「喝」ものだという批判も理解している。確かにその番組に登場する人たちや特にジャーナリストのコメンテータの主張は、政権批判も度が過ぎていると思う。

 

 僕はそういう主張を聞いて勉強しているのだが、多分聞きたくもないとチャンネルを合わせない人も多いだろう。これは日本でも「分断」が進んでいるのではと思わせる。本来メディアは政治的に中立であってほしいのですが、それでは視聴率が取れないから傾きを持ち、傾斜をどんどん高めているのではないでしょうか。

サイバー空間の巨大さを考えて!

 米国司法省が全米11州と連携の上、Googleを提訴した。容疑は独占禁止法違反、検索サービスの独占的(シェア90%以上)を利用して、自社サービスを優遇するような契約をスマートフォンメーカーなどと結んだというのがその理由。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65250910Q0A021C2MM8000/

 

 デジタル業界は寡占化が起きやすく、20年前はMicrosoftが同様な提訴を受けている。裁判の行方は不透明で、Googleが有罪となるか無罪となるか、あるいは和解が成立するかは分からない。いずれにせよ、決着まで数年はかかるだろう。デジタル業界の変化のスピードを考えると、「検索サービスの優位性など意味がなくなったから和解しましょう」という結末も無いとは言えない。

 

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 なぜ今提訴なのかというと、米国大統領選挙が近いことをこの記事は理由に挙げている。ドランプ陣営は巨大ITが自陣営に不利なこと(検閲)をしているとして敵視していて、これを忖度した司法省が「やってる感」で提訴した可能性を示唆している。デジタル産業は一般に「反トランプ」だが、検閲されるようなウソ投稿を並べるトランプ先生の側に非があるように、僕は思う。

 

 原点に立ち返り、デジタル業界でなぜ寡占化が起きやすいかと言うと、サイバー空間のが一般の人が考えるより数桁大きいからだ。Googleは確かに検索サービスでは半独占状態。しかしGoogleのサービスはほかにも一杯ある。例えばビデオ会議ツールMeetは、僕などは使いやすいと思うのだが、利用者数ではZoomに到底敵わない。

 

 基幹サービスのひとつではあるが、検索サービスは無限に近くあるサービス・ツールのひとつでしかない。サイバー空間は「自社の得意なモノ」が集まって成り立っているセルの集まりのようなものだ。ひとつのセルでは寡占が起きやすいが、全体としてみれば全部をGoogle等が仕切るようなことには成り得ない。

 

 欧州委員会(特にフランス)は、巨大ITを狙い撃ちにするデジタル課税を導入しようとしているし、米国では提訴・・・いずれも成功者に対する「嫉妬心的な懲罰」に見えてしまう。困ったものだと思っていたら、日本の公正取引委員会委員長が「巨大ITを欧米と連携して厳しく監視」などと言っている。発想を転換してもらわないといけないのですが・・・。

「2nd Civil War」前夜?

 来月3日は米国大統領選挙投票日、「COVID-19」に感染していたトランプ先生も選挙選に復帰し異常な入れ込みようで激戦州を巡っている。民主党とバイデン候補を汚い言葉でコキ下ろし、自らを正当化し続ける演説には耳をふさぎたくなる。ただその言葉の中に、聞き捨てにならないものもある。トランプ先生は先月の公開討論会で、極右グループに対して「下がって待機せよ」と言い、いかにも何かを起こせと言っているように聞こえる。

 

https://www.businessinsider.jp/post-221926

 

 投票日には投票所に武装した極右グループが押し掛け、まともな投票が出来ないのではないかと危惧する記事があった。今月にはミシガン州知事を誘拐もしくは暗殺しようとしたとして、極右グループ構成員が逮捕されている。バージニア州知事を狙う計画もあったようで、いずれの知事は民主党である。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=20201012040679a&g=afp

 

 一方でコロンブスリンカーンルーズベルトなどの像が破壊される事態も起きていて、ニューヨークのコロンブスサークルは警察ガ100人規模で警備してサークル中央にある銅像を守っているともいう。

 

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 4年に一度の大統領選挙は、全土を赤(共和党)と青(民主党)に色分けする分断を引き起こすことになるものだが、今回の分断はただごとではない。市民が自動小銃を持ち出すなど「新南北戦争(Civil War)」が起こるかもしれないという人もいるほどだ。

 

 ハワイの真珠湾に空襲があったり、ジェット気流にのった風船爆弾が山火事を起こしたり、ワールドトレードセンターに旅客機が突っ込んだ以外は、200年間本土が戦火に見舞われていないのが米国。内戦としての南北戦争までさかのぼらないと、戦火の記録はない。今回ひょっとすると内戦が起きてしまうかもしれないと思わせる。

 

 極右グループの白人至上主義者の目標には、東洋人も入ってきます。トランプ先生が目の敵にする中国人も狙われるでしょう。白人至上主義者は、中国人も日本人も見た目で区別することはできません。僕の友人、知り合いも大勢米国で働いています。十分気を付けてくださいね、皆さん。

台湾とのハイブリッド会議(後編)

 総務省の人の基調講演は「5Gの世界」のイメージビデオを交えたもので、日本での5G規格の決め方、研究開発、実証実験から、彼らが「Beyond 5G」と呼んでいる6Gの構想に及んだ。その後日台の重要インフラ企業、ICTベンダー、ユーザー企業がプレゼンをし、Q&Aと議論が行われた。

 

 この会合はチャタムハウス・ルールに基づいているので誰がどういうことを言ったのかは書けないが、僕自身はすごく勉強になった。まず「5Gセキュリティ」と言った時に、

 

・5Gネットワークのセキュリティ

・5G時代の(社会)セキュリティ

 

 のどちらなのか、という問題提起があった。これは目からウロコの話で、僕などは当然後者だと思っている。しかし確かに、前者として自社のソリューションなり製品を売り込みたいと思っている人も混じっている。これでは、通訳が入ることもあってうまく意思疎通できないわけだ。

 

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 後者の「社会全体のセキュリティ」というのも重要で、4G時代までのようにインターネットにつながるのがサーバーやルーター、PC、スマホのように、ある程度インテリジェンスを持っていて制御可能なものばかりとは限らない。雑多なものが5Gにつながってくるのだが、ネットワーク事業者・エンドユーザー・それらの機器の供給者なども含めて、社会全体で安心安全をどう守っていくのか、事業者の枠を超えた連携が必要だと痛感した。

 

 こんな問題提起をされたのも勉強になったのだが、僕が聞きたかったことは「台湾では5Gのアプリケーションとして何を重視しているか」ということ、以前紹介したように新技術の研究開発から普及にいたるには、「何に使ってもらえるか」という利用側が必要。その分野の事業規模がある程度大きくないと、普及促進のアクセラレータにならない。こういうものを「キラーアプリケーション」という。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/08/25/060000

 

 結果として、台湾側でのある製造業の事例がいいヒントをくれました。こういう交流をどんどん広げることが、中長期的に社会全体のセキュリティを高めることになるはずです。参加させてもらって、ありがとうございました。

台湾とのハイブリッド会議(前編)

 昨年、台湾工業技術研究院(ITRI)が来日して、丸一日の会合をしたことは以前紹介した。一昨年に台湾積体電路製造(TSMC)がサイバー攻撃で3日間の操業停止に追い込まれて以来、台湾政府は日本の国総研にあたるITRIにサイバーセキュリティ研究部門を置いて、対策・情報発信・人材や企業の育成・対外協力に努めてきた。実数は教えてくれないが、担当者も急激に増やしているらしい。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/11/06/140000

 

 その一環として日本のシンクタンクとの政策対話を、東京で行ったのが昨年の事。両者の交流は続いていたようだが、「COVID-19」で物理的な往来はできなかった。それが、今秋はハイブリッド会議ですることになり僕も興味を持って参加した。ハイブリッド会議の意味は、感染がほぼ抑え込めている台湾では参加者がITRIの会議室に集まって、まだ不安のある日本では参加者が自宅等からオンラインで参加するというもの。

 

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 テーマは「5G世界における情報セキュリティの機会を探る~日台対話」となっていた。5Gを巡る米中対立が激化しているのは周知のとおり、加えて米中の衝突が起きる可能性が高いのは、南シナ海台湾海峡、ひょっとすると尖閣列島だ。こういう条件で議論になれば、どうしても安全保障に話が行くのではないかと危惧した。

 

 しかし5Gセキュリティは魅力あるテーマ、怖いもの見たさで参加することにした。驚いたのは、総務省の5G関連部署のしかるべき人が基調講演(もちろんオンラインだが)をすること。昨年のこの会には経産省のOBこそ出ていたが、霞ヶ関現役の参加はなかった。正式な国交のない台湾との会合には、現役官僚は出辛い。もちろん中国政府への配慮である。それが参加するということは、一つの中国を頑として譲らない中国政府に対しての日本政府の姿勢が、少しは変わったのかもしれない。

 

 台湾側はITRIのほか、重要インフラ企業や大手ユーザ企業などが一列に並んで着席している。その脇に通訳の人が座っている。前回もそうだったが、日台通訳である。聞くと、日本語から中国語への通訳は「同時」だが、逆は「逐語」だという。どういう仕掛けになっているのかは、分からなかった。

 

<続く>