Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

独眼竜公のおひざ元で

 とことどころ高速道路の工事はあったものの車は順調に流れて、東北経済産業局には予定より10分ばかり早く着いた。昼食時間がとれないかもと、念のため用意してもらったお弁当をいただく。1,080円なり。

 

    

 

 ホテルの朝食はこのエリアの名産品が目立ったが、お弁当そのものはとんがってはいない。鶏胸肉の焼き物がメイン、「くわ焼き」風かな。普通に美味しくいただいて、今日の会合の下打ち合わせ。今回は宮城県福島県の5団体が参加してくれているが、北海道同様、経産局・総通局・県警が事務局的な役割を果たしている団体がほとんど。

 

 純粋に民間だけで運営している団体もいるようだが、行政局の紹介だとリストに上らないのかもしれない。今回の相棒はその辺りが詳しくて、地域によってはライオンズクラブなどが中核になっているケースもあるという。

 

 この人とは蔵王越え往復の車内でも、いろいろな話をした。九州・北海道など中央から遠い(距離だけじゃなく)ところで、地場に根差した活動を長くしている人だ。この会合の初期の頃「霞ヶ関や大手町の理屈で考えるな」と僕を叱った人でもある。

 

 サイバーセキュリティなどという辛気臭い物を進めるには、地方では「ヒト・モノ・カネ」が足りないと言われるのは当然。ただ若い人たちの間には「面白いからやってみよう。上司や会社は邪魔しないで」という機運もあるようだ。現場の技術者ももちろん足りないのだが、もっと足りないのは経営者の意識だという。これも北海道と同じ意見。意識が芽生えれば、中央行政からの支援策もいくらかはある。

 

    

 

 そんな意見交換をしているうちに2時間はあっという間に過ぎ、駅までの道すがら地元ベンダーをもう1件訪問。ここでも話し込んでいるうちに、予定の列車には乗れなくなった。仙台駅でぶらぶらしていて見つけたのは、戦国末期の英雄伊達政宗公の像。なかなか凛々しいですね。この地の人達の克己心を表しているようです。また来ますよ。

蔵王連峰を越えて

 サイバーセキュリティ対策の地方巡礼、第二回目は仙台市。仙台の合同庁舎での2時間の会議だけではもったいないということで、前後に予定を入れてもらった。午前中山形市のセキュリティベンダー、会議後に仙台市内のベンダーを訪問できる。僕が困ったのは朝の集合時間。蔵王連峰を越えて往復するので、830には仙台駅を出たいと事務局は言う。熱海駅の始発新幹線に乗っても、仙台駅着は930ころ。仕方がないので前泊することにした。

 

    

 

 日曜の午後だが、早めに家を出て久しぶりに東北新幹線に乗り、夕方には仙台駅に着いた。折から寒波が来ているのだが、札幌ほどは寒くない。駅南口近くの<ワシントンホテル>に宿泊、街をちょっと歩いたくらいで禁酒ディナーを食べ、早々に眠った。

 

    

 

 翌朝は曇天、ホテルの朝食は結構豪華だ。笹かまぼこや金華鯖、ワカメなどを盛り付けた。左上のとんぶりをまぶした長芋が美味い。右下は味噌汁ではなく、白川温麺のあんかけ。鮭の炊き込みご飯ともども、お腹一杯食べた。

 

    

 

 仙台駅で地域政策に詳しい相棒と経産局の人と待ち合わせ、局の車で山形へ向かう。学生時代に東北旅行をして「仙山線」に何度か乗った。そのルートを高速道路で行く。途中で休憩したサービスエリアは、雪の中。蔵王連峰を抜けて、山形市までは1時間ちょっと。

 

 県庁に近いところにそのベンダーの本社があり、設備を見学しサービスの説明を受けた。社長さんの「発達障害を持つ人にそれなりの環境を用意して、就労してもらう」という取り組みは立派だと思う。「セキュリティって何のこと?」と言うような中小企業オーナーに、安い価格でサービスを提供する苦労話にもリアリティがあった。

 

 小さな企業では専門家はもちろん、セキュリティ担当も置けない。「仕方がないから俺が担当だ」というオーナーもいるらしい。なるほど、なるほどと聞いているうちに予定の時間になり、お礼を言って再び車で蔵王連峰を越えました。

エイブラムス対T-72

 先月、ドイツのショルツ政権が重い腰を上げ、ついに<レオパルト2>のウクライナへの供与を発表した。再三表明していたように「英米が先に決めてくれれば、三番手として供与するのはやぶさかではない」というわけ。英国はいち早く<チャレンジャー2>の供与を決め、米国も<エイブラムス>をウクライナに送ると表明した。

 

ウクライナが求める西側MBT - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 「本格攻勢に転じるために近代的なMBTが必要」との現場の声も分からないではない。ただ、あれこれいろいろな国のMBTが集まってきても、運用・整備が本当にできるのかとの疑問がある。

 

 第二次欧州大戦初期、早々に降伏したフランスだが、実は戦闘機保有量はドイツを上回っていた。ただ兵器産業に甘かった当時の政権は、7つの航空機会社から調達を続けた。操縦士や整備士は慣れた機種にしか対応できず、あちらで機材不足、こちらで操縦士、整備士不足が発生した。その結果、ほぼ全てをBf109に統一していたドイツ空軍に駆逐されてしまった。

 

        

 

 また<エイブラムス>には、航空燃料を使う独自の駆動系や、独特の滑腔砲の武器体系という課題もある。多分ウクライナ軍は、

 

・主力部隊に<レオパルト2>を配備

・ある種の特殊な用途に<チャレンジャー>と<エイブラムス>を集中配備

 

 するのだろう。上記の記事で指摘した、各MBTの60トンを超える重量も問題である。ただし、これらのMBT旧ソ連の戦車と対峙した時の優位性は疑いがない。32年前の今月、イラク湾岸戦争最大の戦車戦が行われている。

 

イラク軍 精鋭の大統領警護隊T-72戦車、50両

多国籍軍 エイブラムス(M1A1)戦車、20両

 

 が交戦し、45分間でT-72の半数が撃破されてイラク軍は潰走した。多国籍軍側に、行動不能になった戦車も、戦死者もなかった。

 

 改良型のT-90でも、西側MBTに太刀打ちはできないでしょう。さて、プーチン先生はどうしますかね。

国会の秘密会と議員の守秘義務

 一昨日岸田総理のウクライナ訪問についての官邸の秘密保持能力に疑問を呈し、昨日は特定秘密保護法の民間人適用の件を取り上げた。そこで思ったのは、公務員には秘密保護規定があって、民間人にも適用の可能性があるなら、国会議員ってどうなんだっけということ。先月末の「朝までナマTV」で、平和を守る外交と抑止力の議論をしていて外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦氏が、若手国会議員に向かって、

 

「国会で秘密会をやってください。そうでないと外交機密が守れない」

 

 と話していたのが印象に残っているから。共産党の山添議員が「空理空論の安全保障外交(宮家氏)」を唱えるので、その反論の中にあった言葉。国権の最高機関が国会に諮らないで岸田総理がバイデン大統領と会い、防衛費倍増を約束したのは順序が違うとの糾弾に応えた形だ。また、宮家氏は<ニッポン放送>でこんな発言もしている。

 

「秘密を守る権利のない国」日本の首相がウクライナへ行けるわけがない(ニッポン放送) - Yahoo!ニュース

 

        

 

 そこで、国会の秘密会と国会議員の守秘義務について調べてみた。憲法57条に出席議員の2/3の議決で秘密会はできるとあるが、これまで開催されたことはない。秘密会の議事録等も、原則は公開されるが、特に公開しないことも可能。委員会の秘密会も、国会法52条に規定があって実施できる。議員の逮捕許諾請求の審議などで実施例はある。地方議会でも、地方自治法115条に規定があって、人事案の審議などに使われているようだ。

 

 次に罰則だが、国会議員でも特定秘密に指定されていることがらを、故意又は過失によって漏洩すれば、懲役5年以下の実刑があり得る。ただ国会議員の不逮捕特権もあって、実質的にどのような刑罰になるかは不透明だ。

 

 自衛隊が「平時の軍隊」から脱皮しつつあるのなら、霞ヶ関や永田町も「有事の態勢」を整備する必要があります。国会の秘密会、是非検討いただきたいですね。

特定秘密保護法の民間人適用

 何度か、民間人を含めた「セキュリティクリアランス制度」が日本にないため、重要インフラ等の防護を担っている民間人に、必要なインテリジェンス情報が届かないという問題点を指摘した。米国等にはあるこの制度、産業界としても必要性は感じるものの、

 

・実際にどんなインテリジェンスが来るかがわからないので判断できない

刑事罰を受ける可能性もあろうが、どのような防護体制をとるべきかが難しい

 

 という危惧は残っている。一方政府・与党としては「特定秘密保護法で、罰則付き公務員の情報守秘義務を定めた際にひどい目に遭った。もう一度民間含めて罰を盛り込むことなどゴメン」という気持ちもあったと聞く。しかし昨年末の、海上自衛隊幹部がOBに「機密」を漏らしたとして懲戒免職になった件もあって、何かが動きそうな気配がある。

 

    

 

 実は現状の特定秘密保護法や関連する自衛隊法の規定では、民間人に刑事罰を課すケースがあるらしい。以下のものを漏洩すれば、民間人と言えど10年以下の懲役になり得る。

 

・政府が指定する「特定秘密」

・米国から提供される「特別防衛秘密」

 

 その詳細については非公表だが、防衛産業関係者には民間人も含めて知らされることがあるのだ。それ以外の情報については、現時点で民間人に刑事罰を問う規定はない。それが、もう少し幅を広げるという観測がある。

 

防衛装備の「秘密」漏えい、企業に刑事罰 政府、規定を拡大方針 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

 「装備品等秘密」という名称で、これを故意に漏らすと懲役1年以下の刑事罰というわけ。この時点ではまだ防衛省への納入品関連のことだけだが「民間人に刑事罰」の例として宣伝し、やがてインテリジェンス情報を重要インフラ事業者へ渡す際の先例にしようと言うことかもしれない。

 

 もしそうだとすれば、目的には賛同するものの、手法については疑問符がつきます。これが岸田流の政策運用だとすると危険な匂いもするのですが。