Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

百害あって一利なし

 今月から、飲食店などでの屋内喫煙が全面禁止になった。ますます愛煙家の居場所がなくなっているのだが、このタバコと言うやつ「百害あって一利なし」と言われている。お酒の方は「百薬の長」ともいい、呑みすぎなければメリットもあるという。僕の親父は両方やっていたが、いつぐらいからだろうかタバコはすっぱりやめた。お酒の方は、90歳を越えても毎晩続けているが・・・。

 

 僕はと言えば、タバコは吸ったことがない。酔っぱらって誰かにタバコをもらってふかしたことはあるらしい(記憶にない・・・)が。大学時代に麻雀をしていて相手が吸っていたことは多い。タバコの煙を吹きかけて、当たり牌をごまかそうとした輩もいた。大学院時代の研究室では愛煙家はいなかったが、就職するとタバコ族が周りに沢山いる部署に配属されてしまった。

 

 だから受動喫煙の被害を受けたとしたら、多分そのころ。それ以降企業の中でも「机上で喫煙禁止、吸うなら喫煙室で」となってきて救われた。ただ喫煙室が高齢者(同時に上位管理者でもある)のたまり場になり、部課長会議は事実上喫煙室で行われるという事態も招いた。

 

    f:id:nicky-akira:20200331163701j:plain

 

 入社以来40余年、いろいろな先輩たちを見てきた。その人たちとは、時々会食するのだが思い返してみると喫煙していた人たちの寿命は短い。僕が課長時代に一番親しかった部長は、50歳前に亡くなった。もう一人の部長は定年直後に大病を患い、今の僕の年齢まで生きることはできなかった。

 

 一方で僕より10歳ほど年齢が上の人でも、非喫煙者で元気な人は何人も思いつく。タバコの害は、僕の中でははっきりと証明された事実だ。今猛威を振るっている「COVID-19」だが、男性に死者が多い(約7割)ことや、欧州の中でもイタリア・スペインの重症者が多いことは、喫煙歴に関係があるのではと思う。

 

 どうしても男性の方が喫煙率が高いし、欧州各国をあるいて思うのだが吸い殻など落ちていないドイツの街に比べて、スペイン・イタリアはそうではない。長年の喫煙で肺を痛めた人は「COVID-19」で重症化しやすいのだろう。そういえば先日亡くなった日本のコメディアンも、60本/日以上のヘビスモーカーだったと聞く。

 

 タバコ産業には逆風なのでしょうが、市民の健康という意味では今の禁煙化傾向はいいことだと思いますよ。

ワーキングランチ(聘珍楼)

 僕のオフィスのある丸の内から、よく用事のある霞ヶ関までは直線では1kmくらいだろう。ただそれは皇居の中を通っての事。地上を歩いていくとすると、僕は日比谷経由で行く。つまり霞ヶ関の人と僕たちが会いましょうと言うことになると、中間地点は

日比谷辺りと言うことになる。

 

 だからゆっくりランチでも取りながら意見交換をしましょうとなると、日比谷近辺は有力候補地である。いつぞやは、ペニンシュラ・ホテルでそういう会合をした。今回は富国生命ビルの最上階(28階)にある中華の名店「聘珍楼」が選ばれた場所。ここを決めた人によると、ゆっくり意見交換ランチのできる個室がある店は多くないとのこと。
 
 僕らが先に着いて、そんな話をしながら待っていた。6人以上は入れる個室の丸テーブルに、椅子は4つだけ。窓からはお濠と丸の内のビル群が見える。先方が2人到着して、自己紹介の後意見交換開始。まずお茶を頼み、運ばれてきたのがスープと前菜3種盛り。単なる玉子スープではなく、フカヒレでも入っているのだろう。滋味深いスープである。前菜は左から、春雨、チャーシュー、ザーサイ。ちょっと青みがかったところもある、このザーサイが美味しかった。

    f:id:nicky-akira:20190503211753p:plain

 
 続いてメインの料理が2種と小振りのご飯。レンコンとヒラタケ(と思う)のオイスターソース炒めに、イカチンゲンサイの炒め物。前者はしっかりとした味、後者はさっぱりとした味がベースになって、それぞれの食材の味を引き立てている。
 
 さすがは中華の名店で、ご飯も大変美味しく、最後の杏仁豆腐まで満足できるコース料理だった。眺めもいいし、結構ややこしい話をしたのだが、それもこういう店でなら気兼ねなくできる。ここを選んでくれた人に感謝です。

医師法第20条(後編)

 なぜ初診だけは「遠隔診療」ではいけないのか、医師の側からは「まず全体的な症状を見なくては、判断を下せない。遠隔で顔色はわかっても息の匂いや皮膚の触感はわからない」と突っぱねられてきた。推進派の人たちからは「初診料が目当てなのではないか」との声も出た。

 

 暗闘は永遠に続くかと思われたが、小泉内閣で「規制改革会議」が設置され、デジタル化の件もその大きなテーマになり、遠隔診療もそこで取り上げられた。2017年の規制改革計画の閣議決定では「対面診療・遠隔診療の適切な組み合わせで効果的なものは、次期診療報酬改定で評価する」との方針が出て、厚生労働省も、ようやく「情報通信機器を用いたルール整備」への舵を切る。ただ「安全性・有効性・必要性のない遠隔医療は、それへの信頼性を損なう」と釘を刺すことは忘れなかったが。

 

 実は純粋な遠隔診療ではないが、CTスキャン画像などの「読影」は画像がデジタル伝送されることは普通に行われていた。これはなぜかと言うと「読影」ができる医師が少なく、いちいち出向くことができなかったからだ。この例で分かるように、要は需給の関係なのだ。

 

    f:id:nicky-akira:20200406085807j:plain

 

 業務の割に医師のリソースが足りなければ、デジタルでもなんでも新技術は導入してもらえる。一方医師のリソースが十分なら、現状の業務(&診療報酬体系)を変える必要はないという理屈だろう。

 

 「読影」についても問題はある。CT画像は(僕が関わっていた当時は)5cm幅で撮ると聞いた。これでは直径1cmの初期腫瘍は検知できないことも多い。だから1cm幅で撮ればと言うと、医師不足で無理だと言われた。そこで僕は、1cm幅で撮って画像認識にかけて怪しそうな画像だけマシンで選別して医師に見せれば、解決できると主張したが、ここでも「医師が肉眼で見ての判断だ」と突っぱねられてしまった。今なら人工知能(AI)で「読影」が全部できてもおかしくないのだが・・・。

 

 今回の「コロナ禍」、あえていい点を探すといろいろな分野で「働き方改革」のヒントが得らること。医療分野でもリソースがひっ迫してくると「読影」の例のように、急にデジタル活用が進むのだ。20余年議論してきて、遅々として進まなかった遠隔診療、特に初診が解禁されたことはこれを象徴している。

 

 感染症と懸命に戦っておられる現場の医師・医療関係者には敬意を表しながら、この件が「災い転じて福となす」ことを期待します。

医師法第20条(前編)

 「コロナ禍」の中、初診を含めたオンライン診療が解禁されるという。「COVID-19」の感染を疑われる患者が、通常通院の患者に混ざって外来にやってきては院内感染を起こしかねないので、初診をオンラインでというのは妥当な判断だ。

 

 しかしそこから一歩進んで、通常の患者でもオンライン診療を「コロナ禍」中と期限を切ってだがOKにした。一部の国会議員が強硬に主張してくれたと聞いたが、英断だと思う。実は僕らデジタル屋と医師会の間には、30年近い暗闘の歴史がある。

 

 一般に、高度な技術を要する業界ではデジタル技術の普及が早い。しかし例外はあって、医療の業界は診療機器はデジタル化されていくのだが、医療行為そのものはデジタル化が遅れていた。そのハードルとなっていたもののひとつが、医師法第20条の規定。1948年制定の医師法には、

 

 第20条 無診療診療の禁止

 医師は自ら診療をしないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方箋を交付し(中略)してはならない。

 

 と明記されている。この時点ではコンピュータは大砲の弾道計算くらいにしか使われていなかったので、ごく真っ当な条文である。しかし1990年代、PCを個人が活用しインターネットが普及してくると、医師の中にもデジタル技術を使える人が増えてきた。

 

    f:id:nicky-akira:20200406083837j:plain

 

 もちろん「デジタル応用分野の拡大」を標榜している僕らも、そういう先生を応援し電子カルテや電子処方箋などと並んでオンライン診療をできるようにしようと意気込んだ。そこに立ちはだかったのが医師会・厚生省・族議員という「鉄の三角形」。後年駒込駅に近い情報処理推進機構IPA)に通っていた頃、その通り道に医師会の建物があり、武見議員のポスターが貼ってあったのを思い出す。

 

 彼らとの暗闘は10年以上続いたと、僕の先輩たちは言う。僕は90年代後半にこの件にからんだが、そのころには少し状況は好転していて、1997年に厚生省局長通知で、「遠隔診療は、あくまで対面診療の補完であるが(中略)有用な情報が得られる場合、直ちに医師法第20条等に抵触しない」というのが出て、一応の解禁となった。

 

 ただあくまで「補完」なので、「離島・へき地など対面が難しい場合」が例示されているだけだし、初診は絶対に対面でなくてはいけないとクギも刺された。僕らから見れば、どの専科に行ったらいいかわからない症状の時に遠隔で医師の判断を仰ぎ、例えば外科なのか整形外科なのか分かればそちらに行く方が合理的だ。「遠隔初診」は20余年の争点だった。

 

<続く>

5Gリスクに対する技術的仮説(後編)

 Microsoftは、IBMAppleの台頭を受けて「ガレージメーカにはガレージメーカで対抗」するとして、Entry Systems Divisionで「IBM/PC」を作り始めた時、世に出た会社。これまで厳格な自前主義だったIBMが、チップをIntelからOS(Operating System)を同社から買って、製造販売を始めたのだ。

 

 当時、僕はIBM-Watcherをしていて、後にはOSの購入交渉も担当した。40年近いお付き合いのある会社と言ってもいい。当初は「ケダモノ外資」(失礼!)の典型のように思ったのだが、ビジネスがOS一歩足でなく、多様なサービス(クラウドなど)も手掛けるようになって変わったと思う。

 

 それこそ世界を席巻する技術力・製品競合力を持ったわけで、社会貢献のスタンスも厚くなっている。そんな先輩格を見ていると今「ケダモノ」扱いされているGAFAも、成長するにつれ当たりが柔らかくなるだろうと僕は思っている。

 

    f:id:nicky-akira:20200331132827j:plain

 

 Microsoftは一昨年、フランスのマクロン大統領が「サイバー空間の信頼性と安全性のためのParis Call」を発表した時も、その中核にいた。今回のAffiemed Networks社買収も、目的は「Global 5G-EcoSystemにあたらな機会を提供」することだと述べている。

 

 具体的には、MicrosoftとAffiemed Networksのコラボにより開発した技術で、通信キャリアに対して、

 

・安全で信頼できるクラウドプラットフォームを構築

クラウドでのネットワークワークロードの管理などが可能

クラウドベースのソフトウェア定義ネットワーキングを5G接続の世界に拡張

 

 するソリューションが提供できるようになる。発表の最後に「私たちは既存のサプライヤー、新興イノベーター、およびヨーロッパ、アジア、米国、その他の市場を含む世界中の他の利害関係者と緊密に協力して、このビジョンの実現を支援します」とあるように、Huawei排除という極端な方法に拠らず、中国を含む世界中に信頼性ある安全なネットワークを提供することで「EcoSystem」だと言いたいようだ。

 

 コンピュータシステムもクラウド技術によって仮想化され、どのメーカのチップだストレージだサーバだということは意識されなくなった、それと同じことが「安全に」次世代ネットワークでできるか、有力な仮説だと思います。