Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

それぞれの停戦提案とその後

 昨日「世界経済に黄信号」という主張をしたが、その要因の大きなものがウクライナ紛争(ロシアの侵略?)であることは間違いがない。世界中の多くの人、企業、国が、正直なところ早期停戦を望んでいると思う。2つの当事国に対してトルコやインドの首脳が仲介を申し出てもいるし、キッシンジャー氏が停戦提案をしたこともある。今月はフランシスコ教皇も、停戦に向けたメッセージを出した。

 

 世界一のお金持ちであるイーロン・マスク氏も、停戦提案をしていた。内容は「ウクライナは土地をあきらめても、平和を実現すべき」というもので、ゼレンスキー大統領は即座に却下した。マスク氏は「日本はやがてなくなる」などストレートすぎる発言が目立つ人、この停戦提案もその一環かと思ったが、どうやら実利的な話だったようだ。

 

イーロン・マスク氏、ネット接続費を米政府に請求 ウクライナ向け: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

    

 

 マスク氏は紛争当初から、衛星通信システム<スターリンク>をウクライナ側に供与していた。そのシステムはロシアの攻勢を阻み、ウクライナ側の反撃に貢献していることは確かだ。しかしコストが毎月2,000万ドルかかるので、いつまでも無償提供は出来ないという。この記事によれば、米国政府に請求書を回そうとしているらしい。後に撤回しているが、一種の支援疲れだろう。

 

 戦争とは、多くの資源(ヒト・モノ・カネ)を浪費するもの。ただ終了した後、復興需要を励起する可能性も高い。<マーシャル・プラン>のような先例もあり、停戦となればこれを期待して、一部の国の景気が過熱するかもしれない。「資本主義の終焉と歴史の危機」という著作でエコノミスト水野和夫氏は、「新しいフロンティアが無くなって、資本主義は終わろうとしている」と主張した。ウクライナ紛争終結は、ちょっとしたフロンティアを提供してくれるかもしれない。それまで、世界経済がもてばの話ですが。