Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国際情勢

白ナイルと青ナイルの合流点

アフリカで、3番目の広さの国土を持つ国スーダン。南スーダンの分離前はもっと大きな国で、国力もあった。しかしこのところの度重なる内戦やクーデターで、5,000万人近い国民の多くは貧困にあえいでいる。 さらに今月起きた事実上の内戦は、国連などの援助…

大陸国家フランスゆえの判断

G20の意義について疑問を持っていることを、何度かご紹介している。価値観もバラバラだし、主要国のひとつロシアが紛争当事国で制裁国や傍観国が入り混じっている状況では、大筋の合意など出来ようはずもない。国連安保理同様、ほぼ役目を終えたようにも思う…

イデオロギー対立では解決しない

G7はいわゆる「西側」諸国ばかりだからいいのだが、G20となると中国やロシアが入って来るし、サウジアラビア(サウジ家のアラビア)のような国もいる。さらに国連では<グローバル・サウス>諸国の発言権も高まっていて、中露が安保理常任理事国だという以上…

欧州のストライキと日本の市民

欧州が揺れている。もちろんウクライナ紛争が理由のひとつではあるが、問題はむしろ内政にあるようだ。直接戦禍の及ばない市民にとっては、軍事・外交よりも目の前の雇用・賃金・年金・保険・物価が大事。EUの中でも比較的豊かな国である、ドイツ・フランス…

習大人の人質作戦と関連報道

先週、急遽林外務大臣が訪中した。日中韓の懸案事項山積みの状況なので、外相クラスの交流があるのはいいことである。半導体関連製品/技術の輸出厳格化などで対中包囲網が敷かれつつあるし、もちろん八重山諸島に自衛隊のミサイル部隊が展開しているのも習…

AI開発規制、無理じゃないの?

「Chat-GPT」のインパクトは、方々の分野に強く響いている。最高学府の論文作成でも中程度の出来になるから、学生の懸賞論文などで校正以外の使用を禁止するという。まあ、個人の能力を測るものだから、仕方ないだろう。マラソン競技に電動自転車を使っては…

第二次世界大戦の亡霊

ウクライナ紛争は膠着状態に入っている。ロシア軍がかなりの兵力を投入したバフムト周辺の戦いも、寡兵のウクライナ側が良く守り、ロシア軍の士気が上がらないこともあって目に見える戦果はないようだ。 両軍ともあらゆるものを前線に送り出し、ウクライナ軍…

え!まだ使っていたんだ

昨日、国内で始まることになる「憲法21条:通信の秘密」を巡る議論について紹介した。日本ではそうなのだが、SIGINTの先進国家米国では政府関係機関による、世界規模での諜報/防諜活動が継続していることは(詳細はともかく)周知である。 中国は自国へのサ…

韓国は「G8」に入れるのか

戦後最悪と言われた日韓関係に、改善の曙光が見えてきた。徴用工問題で日本企業に賠償命令が出されているが、これを韓国財界が肩代わりして原告に賠償することで決着が図られそうだ。日韓首脳会談や、この件とは関係ないとしながら日本側が輸出規制を掛けて…

TikTok問題、日本はどうするの?

中国製の動画アプリ<TikTok>に対し、欧米各国が警戒感を高めている。何度か紹介したように中国の企業は「国家情報法」によって、得られたデータは政府の要求があれば提出しなくてはならない。かつては5Gルータなど、中国製の機器からの情報漏洩を危惧した…

ロシア軍の新鋭AFV(後編)

それでは、2種類のロシア軍新鋭AFVのスペックを見てみよう。 ◇T-14 乗員3名、重量55トン、最高速度90km/h、主砲125mm滑腔砲、重機×1、機銃×1 2015年の戦勝パレードで初お目見えしたAFVで、ソ連時代以降初めて50トンを超えた戦車である。最大の特徴は無人…

ロシア軍の新鋭AFV(前編)

ウクライナへの西側MBTの供与が決まり、新鋭戦闘爆撃機以外の通常兵器が続々かの地にやってくる。これに対してロシア軍は第一次世界大戦当時の重機関銃や、骨董品のT-62戦車などを引っ張り出して応戦するという。ではロシア軍に新鋭AFVはないのかと言えば、…

デカップリングした島国の行方

今年の(北半球の)寒波は、かなり厳しい。加えて先進各国でインフレが進みエネルギーコストが特に上がっていて、各種インフラが不安定になり、失業者・困窮者も増えている。 中でもひどいのが英国で、暖房を付けるか食事をするかの選択を迫られている人もい…

米国議会の極右勢力

昨年の中間選挙の結果、バイデン政権の与党民主党は上院では過半数をとったものの、下院は共和党に敗れた。ただ共和党の中も一枚岩ではなく、マッカーシー院内総務が下院議長に選ばれるまでには15回もの投票を必要とした。これは大恐慌時代の1929年以来のこ…

エイブラムス対T-72

先月、ドイツのショルツ政権が重い腰を上げ、ついに<レオパルト2>のウクライナへの供与を発表した。再三表明していたように「英米が先に決めてくれれば、三番手として供与するのはやぶさかではない」というわけ。英国はいち早く<チャレンジャー2>の供…

ウクライナが求める西側MBT

「ドイツが<レオパルト2>の供与を決めるかどうか?」国際ニュースは連日この話題を報じている。欧州(西側)諸国の標準的主力戦車(MBT)のことなのだが、すでに「戦車の世紀」は終わったと思っていた僕としては、やや意外な状況。軍事の関係者か、はたま…

やはり兵器の実験場に

厳寒のウクライナ戦線、東部ではロシアの民間軍事会社<ワグネル:ワーグナーのロシア語読み>が攻勢に出て、要衝バフムートの北部で激戦が起きている。米英も傭兵として民間軍事会社を採用しているが、主な任務は警備や物資輸送。最前線で闘う民間企業とい…

C4ISRの日米連携

先週ワシントンDCで開催された外務・防衛閣僚会合「日米安全保障協議委員会(2+2)」で、日本の反撃能力の効果的な運用のための日米協力が話し合われたという。どこにどう「反撃」するか、例えば北朝鮮の移動式ICBM発射台をどう叩くかについては、衛星情…

習大人のスパイ対策強化

「フルコロナ」状態になって、本来苦境のはずの習大人。聞くところによると「COVID-19」に対しての勝利宣言をしたらしい。ここまで来ると、プーチン先生並みの「厚顔」といえるだろう。 そんな中国で、一層情報統制強化の動きがある。昨年秋から噂はあったの…

在東京の統合司令本部2027

映画「トラ・トラ・トラ」の中に、近衛内閣の首脳会合で海軍大臣が「米国が太平洋艦隊司令部を西海岸からハワイに移した」と警告するシーンがある。日米関係が緊張する中、米政府が本気になって、 「日本ののど元に匕首を突き付けたようなもの」 というわけ…

「ダボス会議」は温暖化を防げない

今週「World Economic Forum」の総会がジュネーブで開催される。今年の主要議題は3つあって、 1)「COVID-19」禍による長く深い経済の不振から抜け出す道筋 2)複雑な国際情勢の中で、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換をどうするか 3)世界が脱グ…

日米関係が試される今年

今週、岸田総理が初の訪米、バイデン大統領とサシで会う。この会談は、いずれも国内政局を抱えた両首脳にとって、重要な意味を持つと思う。 ◇米国 中間選挙の結果、下院の過半数を野党共和党が獲ったのだが、いざ議長選出にあたり共和党内分裂が起きて大混乱…

もう一つの隣国危機

台湾海峡の小競り合いは、年末年始も続いている。さすがに今年の台湾海峡海戦はないと信じているが、年末に米国偵察機に中国軍戦闘機が異常接近したこともあって、偶発的な何かが起きないとは言えない。 そのほかにもう一つの隣国危機がある。派手に立ち回っ…

再び水際対策が必要に

昨日「中国はフルコロナ」と言ったが、その具体的な惨状が次々に伝わってきている。中国政府の公式発表では死者は数名なのに、 ・北京では火葬場の前に長い「待ち行列」、中には棺に納めてもらえない遺体も ・四川省では約16万人を調査したところ、63%にあ…

今年の「有事」はないと信じるが

年末恒例、大掃除をしながらカウンター上の額の中身を入れ替えた。この位置は、ビデオ会議をする時に僕の顔の左上に見えるところ。ここにその年の干支の絵を飾るのが当家の風習。これらの色紙は、狩野派の流れを汲むセミプロの日本画家である親父の作品だ。…

NATOのサイバー研究機関

先週、米国の巨大IT企業セキュリティ責任者から聞いた話を紹介した。ロシアのウクライナ侵攻に対して、ロシアの攻撃に対する防御「戦闘」を民間企業ではあるが実施したという。今回は同じテーマを、NATOのデジタル研究機関の人から聞くことができた。今年のN…

たった一人の「愛国者」

先週、ウクライナのゼレンスキー大統領が米国を電撃訪問、バイデン大統領と会談し議会でも演説を果たした。戦時下の首脳が米国議会で演説したのは、第二次世界大戦時の英国チャーチル首相以来のことという。 ゼレンスキー氏はこれまでの米国など西側の支援に…

「ゼロコロナ」ではなくなったのに

先月末、中国都市部から火が付いた「白紙革命」。直接的には「ゼロコロナ政策」で自由を奪われた人たちの叫びなのだが、経済の停滞・不動産高騰・若者失業率増などの複合要因でおきたデモである。多くの国際政治学者は「習政権はメンツもあってゼロコロナの…

これって本物のネオナチ?

欧州が揺れている。洗練された文化と伝統、それに「Global & Digital」による経済発展をしていたはずだった。しかし、Brexit、移民問題、ウクライナ紛争と21世紀にふさわしくないことが次々に起った。そして今度はドイツで、極右組織によるクーデター計画で…

脱炭素から南北経済問題へ

スウェーデンの若者たちが、アイコンであるグレタ・トゥーンベリさん(もうグレタちゃんとは呼べないな)を中心に、政府の環境問題対応が良くないと訴訟を起こした。表面に出たのは1国だけだが、世界中に同様の不満は溜まっている。美術品を汚損する形でし…