せっかく侵攻し、占領し、住民投票モドキまでして併合したヘルソン州の州都ヘルソンから、ロシア軍は撤退した。大河であるドニエプル川にかかる橋が破壊され、西岸にあるヘルソンに残されたロシア軍は、補給もままならない。軍の撤退判断はやむを得なかったと思うが、プーチン先生の政治的ダメージは小さくない。
東部ルハンスク州でも西側の兵器供与、支援を受けたウクライナ軍の進撃は続き、ロシア軍の劣勢は明らかになった。一方西側諸国も、いつまでも支援を続けられるわけではない。COP27では発展途上国への温暖化保障も求められているし、国内のインフレ対策も待ったなしだ。そろそろウクライナ紛争の出口が見えて欲しい。
しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は「領土の復活・戦争被害の補償・戦争犯罪の追及・二度と侵略しない保証」を要求して、さらに進撃を続けるつもり。西側諸国からは「2022/2時点の国境まで回復したら矛を収めて欲しい」との意見も出るだろうが、クリミア奪回を目指す彼は言うことを聞くまい。だから、ゼレンスキー氏が「世界の悪者」になる可能性もある。
こんな意見もある。ウクライナがNATO入りしてロシアに対抗するなら、そのコストは高くつくというわけ。ロシア軍が十二分に戦力を損耗しても、彼らには核兵器があり、警戒を怠るわけにはいかない。
結論から言えば、プーチン先生のメンツをつぶし過ぎず、ウクライナ軍を強大化しすぎないうちにこの戦争を収拾するのが上策と言えるだろう。
ロシアの本質は帝国主義 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
ロシア通の元外務省戦略分析官佐藤優氏は、「ロシアが毒蛇なら、ウクライナは毒サソリ」と言っています。勝たせ過ぎてもいけないのです。