Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

軍事史への招待

エイブラムス対T-72

先月、ドイツのショルツ政権が重い腰を上げ、ついに<レオパルト2>のウクライナへの供与を発表した。再三表明していたように「英米が先に決めてくれれば、三番手として供与するのはやぶさかではない」というわけ。英国はいち早く<チャレンジャー2>の供…

ウクライナが求める西側MBT

「ドイツが<レオパルト2>の供与を決めるかどうか?」国際ニュースは連日この話題を報じている。欧州(西側)諸国の標準的主力戦車(MBT)のことなのだが、すでに「戦車の世紀」は終わったと思っていた僕としては、やや意外な状況。軍事の関係者か、はたま…

やはり兵器の実験場に

厳寒のウクライナ戦線、東部ではロシアの民間軍事会社<ワグネル:ワーグナーのロシア語読み>が攻勢に出て、要衝バフムートの北部で激戦が起きている。米英も傭兵として民間軍事会社を採用しているが、主な任務は警備や物資輸送。最前線で闘う民間企業とい…

C4ISRの日米連携

先週ワシントンDCで開催された外務・防衛閣僚会合「日米安全保障協議委員会(2+2)」で、日本の反撃能力の効果的な運用のための日米協力が話し合われたという。どこにどう「反撃」するか、例えば北朝鮮の移動式ICBM発射台をどう叩くかについては、衛星情…

在東京の統合司令本部2027

映画「トラ・トラ・トラ」の中に、近衛内閣の首脳会合で海軍大臣が「米国が太平洋艦隊司令部を西海岸からハワイに移した」と警告するシーンがある。日米関係が緊張する中、米政府が本気になって、 「日本ののど元に匕首を突き付けたようなもの」 というわけ…

日米関係が試される今年

今週、岸田総理が初の訪米、バイデン大統領とサシで会う。この会談は、いずれも国内政局を抱えた両首脳にとって、重要な意味を持つと思う。 ◇米国 中間選挙の結果、下院の過半数を野党共和党が獲ったのだが、いざ議長選出にあたり共和党内分裂が起きて大混乱…

NATOのサイバー研究機関

先週、米国の巨大IT企業セキュリティ責任者から聞いた話を紹介した。ロシアのウクライナ侵攻に対して、ロシアの攻撃に対する防御「戦闘」を民間企業ではあるが実施したという。今回は同じテーマを、NATOのデジタル研究機関の人から聞くことができた。今年のN…

たった一人の「愛国者」

先週、ウクライナのゼレンスキー大統領が米国を電撃訪問、バイデン大統領と会談し議会でも演説を果たした。戦時下の首脳が米国議会で演説したのは、第二次世界大戦時の英国チャーチル首相以来のことという。 ゼレンスキー氏はこれまでの米国など西側の支援に…

本気のサイバー防衛体制構築

防衛費GDP2%議論が盛んである。岸田総理からは具体的に「2027年度に1兆円不足になり、増税で賄う」主旨の発言があった。これには、 ・中身を詰めないで金額ありき ・増税は市民に理解されない、国債という選択肢もある などと議論百出である。僕も2%に…

16,000人のプラスセキュリティ人材

「プラスセキュリティ人材」という言葉は、あるシンクタンクの研究者が言い出したもの。5年余り前、経産省が「19万人のサイーバーセキュリティ人材が不足する」という調査報告を出した。でも<NCIS>のマクギー捜査官のように、高度なクラッキング能力を持…

マインドコントロールを考える

政府が閣議決定した「旧統一教会被害者救済法案」だが、やはり評判が良くない。マインドコントロール下にある被害者は、困惑などせず進んで致命的な寄付も行ってしまう。このような被害を防いだり、取り返せないと被害者救済にはならない。むしろ「統一教会…

デジタル天安門への道

異例の三期目に入り、もはや現代の皇帝として揺るがぬ体制を築いたと思われた習大人。抗議の声は上がるものの、ミャンマーやイランで起きているような大規模抗議集会に発展するはずはないと、僕は思っていた。ところが、先週末に、ウイグル・上海・北京など…

14億回/年に及ぶ攻撃下の選挙

僕の所属している団体では、以前から台湾工業技術研究院(ITRI)との交流があり、台湾とのサイバーセキュリティ関連情報交換や日台産業間の連携の議論をしている。ITRIは中華民国政府の経済部に所属する、台湾最大の産業技術研究開発機構だ。ルーツは1936年…

兵器博物館にようこそ

先週、米軍の次世代戦車、機動戦闘車のハイブリッド化の話題を紹介した。今日は、それとは真逆の話。ウクライナ戦線でのロシア軍の兵器不足は、本当に深刻なようだ。強制的に徴兵された兵士には、ライフルも弾薬も手榴弾も満足に与えられていない。まともに…

戦車も機動戦闘車もハイブリッド化

ウクライナ戦線では、新米ロシア兵が戦闘車両(AFV)を捨てて逃走したり、AFVを手土産に投降することが多発しているらしい。<ジャベリン>や自爆型ドローンに狙われたら、いかに前面装甲の厚い戦車でも生き残れない。戦車兵の訓練も士気も十分ではないよう…

都市攻撃の次に来るもの

プーチン先生が自らトラックを運転して、竣工したばかりの橋を渡った。ロシアからクリミア半島へ、アゾフ海の出入り口である海峡にかけた<クリミア大橋>である。第二次世界大戦でも、ドイツ軍がこの海峡を渡って進撃、のちに撤退しているところだ。2014年…

クーデター政権との特別なパイプ

軍事政権によるクーデターが起きてから、ミャンマーでは1年半が過ぎた。ビルマ族ではない少数民族(おおむけ地方で、他国との国境地帯にいる)に対する攻撃は、民族浄化の気配もある。ビルマ族を含めて市民の蜂起も相次ぎ、市民側を誰が支援しているのかは…

ドイツだけなの?ロシアには?

ウクライナ紛争が続く欧州、ロシアがガスの供給を止める/絞るようにしているので、制裁をしている側にむしろ苦悩の色が見える。NATO諸国も一枚岩ではない。ロシアに接するバルト三国やポーランドや英国は強硬姿勢だが、独仏には宥和の意見も出始めているら…

イジューム電撃戦

正直、第二次世界大戦で脚光を浴びた「電撃戦」というドクトリンが、80年後の今日まで生き延びているとは思わなかった。ウォー・シミュレーション・ゲームでは何度も体験したことだが、それは「歴史の追体験」に過ぎず、まさかリアルにそれを見ることになろ…

ゴルバチョフ氏こそ「国連葬」に

ソヴィエト連邦最後の書記長、ミハエル・ゴルバチョフ氏が亡くなった。享年91歳、平均寿命50歳代のロシア人男性の中では、とびぬけた長寿だった。米ソ冷戦を終わらせ、東西ドイツ統一への道を拓き、世界平和をもたらした人だった。ロシア国内では「大ロシア…

Aircraft Carrier 2.0

ウクライナ戦争(と言ってもいいですよね、プーチン先生)は、後年の軍事史では「ドローンの戦争」と称されるようになるかもしれない。それほど無人機、ドローンの活躍は著しいのだ。偵察型、攻撃型、自爆型など多数のドローンが遠隔操作もしくは自動操縦で…

トラクター工場の闘い

派手にICBMの発射実験をしているロシア。無敵兵器を手に入れたので量産するぞと欧米を恫喝する姿は、「大きな北朝鮮」のように見える。東部戦線に目標を絞った闘いも、まだ成果のほどは見えていない。「要衝マリウポリを制圧した。製鉄所は包囲して突入はし…

スラヴァ級ミサイル巡洋艦

ロシアのウクライナ侵攻は、出口の見えない戦いが続いている。陸上戦力では圧倒的優位を自認していたのだが、開戦直後からその「アテ」は外れることになった。まさに「戦いはやってみなければ分からない」という格言通りである。 ロシアはもともと陸軍国、ロ…

戦車の世紀の終わり

昨年、いくつかの記事で「陸戦の王戦車」という常識が崩れていると紹介した。今回のロシアのウクライナ侵攻で、これが実証されたと思われる。ウクライナ国境に20万人の兵力を集めていた時点では、最新鋭のT-90Mではないにしても多くの戦車がスタンバイしてい…

もう核兵器に頼るしかない?

ロシアの侵攻軍約20万人の陸上兵力に対して、ウクライナ軍の常備軍がほぼ同じ19万人。もちろん全軍が前線に出ているわけではないし、航空戦力や装甲軍の数においては非常に劣勢だ。しかしこれまでの状況を見ると、ロシア軍は電撃戦に成功していない。電撃戦…

ようやく海の王者の代替わり?

現在の海上戦力の王者は空母機動部隊である。1941年末に南雲機動部隊が真珠湾を襲って以降、戦艦の時代は終わった。その後80年ほど空母機動部隊は海戦(といより戦争そのもの)の王者であり続けている。主力兵器、戦力というものは世代交代するのが当たり前…

愛国の度が過ぎると、それ自体危険

台湾海峡の緊張が高まっている。「国慶節」に合わせて、台湾の防空識別圏に大量の軍用機を中国軍が飛ばしたり、台湾の対岸で大規模な上陸訓練を実行するなど、まだ「警告」のレベルとはいえリスクは着実に増えている。一方の米国側も、中国軍の充実度を懸念…

戦車強国ロシアの真骨頂

20世紀型の陸戦では、機関銃から歩兵を守りながら敵の拠点(トーチカなど)を潰すための戦車が登場し「陸戦の王」と呼ばれた。遠隔地から正確な照準で大口径弾を降らせる砲兵は、死傷者の多くが砲撃によるものだとの統計もあって「戦場の神」とも呼ばれた。…

原子力潜水艦の意味

先週、退任間際の菅総理が訪米し、コーンウォールのG7サミットに続く対面での首脳会談に臨んだ。舞台は「QUAD」、米豪日印4カ国の「Free Open Indo Pacific」を護る会合である。先日英米豪の三ヵ国からなる「AUKUS」が結成され、より軍事色の強い「対中包囲…

航空母艦「Queen Elizabeth」

英国大使館から招待された「オンライン・レセプションパーティ」に参加した。半蔵門の英国大使館の映像が、すぐに横須賀港に停泊している空母「クイーン・エリザベス」の滑走路上のものに替わった。ロングボトム大使は、流ちょうな日本語で丁寧な挨拶をして…