Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

軍事史への招待

指揮幕僚車<ラドガ>の意味

十分な支援を受けられていないウクライナ軍に対し、イランや北朝鮮からの輸入と国内での兵器増産体制を整備したロシア軍は、優位に戦いを進めていると言われる。ただその内実は結構お寒いもので、十分な訓練や準備期間を経ずに実戦投入される兵士や、士気だ…

なぜユダヤ人とペルシア人が闘うの?

イスラエルがシリアのイラン領事館を攻撃し、イラン革命防衛隊の司令官らを殺害したことに端を発し、イランのイスラエル本土攻撃、イスラエルの反撃・・・と中東の緊張が極限に近く高まっている。ご存じのようにイスラエルはユダヤ人国家、パレスチナをはじめア…

グローバルパートナーとしての日本

僕らが京都で花見としゃれこんでいる間に、岸田総理は国賓待遇で米国を訪問、いくつかの成果を得るとともに、見返りというお土産も貰って帰国(*1)している。国際情勢が緊張し、一部では秩序が崩れてWWⅢの声も聞かれる中、もはや米国に「Pax Americana」を…

エスカレートするウクライナ戦線

ロシア軍が優勢になり、泥濘の時期が終われば本格的な総攻撃があるとも伝えられるウクライナ戦線。戦術的にはウクライナ側に一日の長があり、 ・ドローン攻撃で、ロシア軍軍用機が航空基地で破壊される ・クリミアのロシア艦隊は、ほぼ行動不能に ・無謀な突…

「イボイノシシ」を駆逐したもの

「雷」という意味である「Thunderbolt」の愛称を持った米陸軍の軍用機。初代はP-47で、1943年に欧州戦線に登場し、12.7mm機銃8門と最大1.3トンの爆弾等を搭載して空中戦ばかりでなく対地攻撃にも活躍した。その名を継いだのがこの機体。 ◆A-10(Thunderbolt…

海上自衛隊のアデン湾遠征を求む

先月、アデン湾の海賊対処任務に護衛艦「さざなみ」が派遣されるにあたり、ベテラン護衛艦1隻での派遣は危険だ(*1)と申し上げた。今回の派遣も47次という長いミッションの一環なのだが、昨年のハマス対イスラエルの紛争が始まってから、このエリアの危険…

「西側」援助とウクライナ人の血で

予想されたこととはいえ、ロシアの選挙でプーチン大統領が当選、あと6年は事実上の独裁が続くことになった。再ロマノフ王朝の夢か、スターリンの再来としてか、ロシア史に名を残す為政者になったことは確かだ。現時点ではその野望は、ウクライナを打倒する…

対ドローン戦術兵器は何?

先週、日本の安全保障/防衛にあたり、RMAが必要だ(*1)と申し上げた。「Pax Americana」の時代は終わり、米国は意欲的にも能力的にも世界の治安を守ることができなくなっている。これは「もしトラ」かどうかとは別の問題で、欧州も日韓(台)も、自前で相…

ロシアの仮想敵国

一昨日、昨日に続いて、今日もロシアのお話。別ブログで紹介しているように、このところサイバー諜報の結果得た情報が、立て続けに暴露されている(*1)。ドイツ軍の高官が出席したビデオ会議が盗聴され、その音声がロシア国営TVの編集長によって、SNS上で公…

ロシアの5つの海

昨日フランスのマクロン大統領が「Boots on the Ground」を排除しないと言ったことを紹介したが、その時かれの顔がナポレオン一世とカブって見えた。またNHKBSが放映した「チャーチル~ヒトラーから世界を救った男」を見て、ゲイリー・オールドマン演じるチ…

伝説の外人部隊、ウクライナの地へ?

ウクライナ戦争は、春(泥濘の季節だ)にはロシア軍の攻勢がより強まると危惧されている。あちこちからかき集めた生身の兵隊や兵器を潤沢(!)に使えるロシア軍に対し、兵器も弾薬も兵員も不足しているウクライナ軍がどこまで持ち堪えられるかがカギになる…

海上保安庁の実力

海上自衛隊に比べ地味な存在だった海上保安庁を、一気に有名にし女性ファンも増やした映画「海猿」。国交省の人に聞くと、その御利益は非常に大きかったとのこと。ただ、このところ漫画原作者と映像化主体の間で軋轢が起きていて、この物語もその渦中にある…

今こそRevolution in Military Affairs(後編)

戦力というのは、決して正面装備だけでは測れない。なにより重要なのは兵站、そして兵士の訓練度合いや士気、指揮能力・通信能力も重要だ。そういう意味では軍隊としての経験値と、実戦多岐な兵站能力が高いのは、当然だが「戦っている人たち」。 半世紀以上…

今こそRevolution in Military Affairs(前編)

「もしトラ」という言葉がはやっているが、「すでトラ」なのかもしれない。共和党全国委員長が、トランプ候補の意向により辞任させられ、後任が彼の推薦で決まるという。すでに人事権も持ったようだ。 彼の発言で特に西側社会を揺さぶっているのは「同盟国で…

STOVL機ゆえの奇襲戦術

米国産ながら、日本を始め多くの国の軍隊が採用しつつある最新鋭戦闘機F-35。そのBタイプは、短距離離陸・垂直着陸が可能なSTOVL機である。海上自衛隊は、ヘリコプター搭載揚陸強襲艦「いずも」「かが」などを空母化して、この機体を搭載するように改装する…

ウクライナ分割の陰謀?

ウクライナ戦線は膠着状態、ロシア側も必死に集めた武器弾薬・兵員で攻勢をかけているが、さほど大きな前進をしている様子はない。一方のウクライナ軍も、弾薬が枯渇しかかっているし、兵員も十分ではない。電撃戦はもちろん、攻勢に出ることも難しい。西側…

護衛艦「さざなみ」の無事を祈る

今月、海上自衛隊の汎用護衛艦「さざなみ」が、ソマリア沖アデン湾での海賊対処任務に派遣された。今回が第47次の派遣で「さざなみ」にとっては、2009年の第1次以降5度目の派遣になる。第一次当時は新鋭艦(2005年就役)だったが、今や20年近いベテラン。 …

「怒り狂った」実験艦の宿命

1年余り前、この船が日本に寄港し訓練とも作戦行動ともつかない動きを見せた時、北朝鮮の金総書記は震え上がったとも言われる。駆逐艦とはいえ排水量15,000トンほどもあるのに、レーダー上は小さな漁船にしか見えない最新のステルス性能を持っている「ズム…

早期警戒管制機(AWACS)撃墜さる!

米国はじめ各国からの支援が細り、あるいは約束が守られず、ウクライナ軍の兵器・兵站は危うい状態になっている。今月初め上川外相がウクライナのクレバ外相と会談し、50億円あまりの援助(*1)を約束した。申し訳ないくらいの規模だが、日本国内では「能登…

安倍元総理暗殺事件を振り返る

昨年末、自民党安倍派・二階派の裏金パーティ&キックバック疑惑が政界を揺るがせた。国民の負担増を強いておきながら、自分たちは裏金作りに精を出していたと多くのメディアや国民が怒った。ただ、その裏金が何に使われたかがより大きな問題で、選挙の買収…

科学者稼業も命がけ

ウクライナ戦線は膠着状態、最大の支援国米国の国内問題で、武器や資金の支援が枯渇しようとしている。欧州各国も移民問題などで揺れ、ウクライナへの関心は薄れつつある。来年は米国大統領選挙もあるし、6月には欧州議会選挙もある。各国共、内政がより重…

ククリナイフの遣い手、参戦

「うわ、やはりいたか」というのが、このニュースを聞いた第一印象。一昨日、ウクライナ・ロシアのどちらも兵力不足に悩んでいる(*1)ことを紹介したが、やはりロシアも国外の義勇兵/傭兵は使っていたのだ。 ネパールから200人入隊か ロシア軍に、6人…

こちらも悲惨な我慢比べ

先週、ようやくガザ紛争の出口が見えてきた。ネタニヤフ首相は「ハマスを根絶」と戦いの目標を挙げていたが、ハマスは人でも組織でもなく思想なので、根絶は無理。戦いは延々続くと思われていた。しかしここにきて「ガザ地区トップのヤヒヤ・シンワル指導者…

命の比率、1対3or10

ガザの戦闘は、一時休止(Pause)も7日間で終わってしまった。人道物資の搬入も、十分に行われない中での戦闘再開である。米国さえもイスラエルを止められない中で、パレスチナ人200万人余の命を救うことができるのは、今やエジプトしかない。岸田首相がCOP…

支援のない闘いは果てしなく

軍事行動を続けるイスラエルには、米国が積極的に支援している。ハマスやヒズボラにはイランの支援があると伝えられる。ロシア軍と暗闘を続けるウクライナには欧米(ちょっと米国が心配だが)の支援がある。まだ銃火が交わされていない台湾にも、米国の支援…

自衛隊のレールガン研究

防衛費をGDP比2%まで引き上げるとの方針が決まって、これまでなおざりにされてきた自衛隊員の待遇改善や継戦能力向上が期待される。もちろん、サイバー戦能力の向上もである。これまで(見かけの)正面装備ばかりが目立ったのだが、基礎体力である人材育成…

原子力推進巡航ミサイルの意味

容易には崩れそうもないが、ロシア軍の苦境はある程度伝わってくる。もちろんウクライナへの最大の支援国米国も、内政の混乱や中東危機で十分な軍事支援が出来なくなるかもしれないので、まあお互い様ともいえる。 先日、プーチン大統領が北朝鮮の金総書記を…

兵器としての哺乳類

東欧だけでなく中東にも戦禍が広がっていて、世界最大の兵器供給国米国では、ある種の「二正面作戦」を強いられるようになった。この上極東で第三戦線でも勃発したりすると・・・というようなことが無いよう祈るばかりである。 是非はともかく、有事になると兵…

苦境のイスラエルに思わぬ援軍

確かに戦端はハマスが開いたのだが、1,400人の犠牲と200人余の人質を獲られたネタニヤフ政権のガザ地区への猛攻は、国際社会の非難を浴びている。昨日紹介した過去のある国ドイツはまだイスラエル支持だが、やはりユダヤ人迫害(*1)をした国フランスのマク…

3つ目の紛争はこの海から?

台湾有事は、中国の人民解放軍創立100周年にあたる2027年に起きるとの説がある。米国が事実上東欧と中東の二正面作戦を強いられ、議会の混乱もあってどちらへの支援も十分できない現状を見れば、習大人が決起するとしたら今かもしれない。 ただ米国が三正面…