Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

脱炭素から南北経済問題へ

 スウェーデンの若者たちが、アイコンであるグレタ・トゥーンベリさん(もうグレタちゃんとは呼べないな)を中心に、政府の環境問題対応が良くないと訴訟を起こした。表面に出たのは1国だけだが、世界中に同様の不満は溜まっている。美術品を汚損する形でしか、抗議の意思を示せない人たちもいる。

 

 不満の矛先にあるのは先月閉幕した「COP27」、ロシアのウクライナ侵攻などでエネルギー問題が注目されていて極めて難しい会議だった。温度上昇を1.5度に抑える脱炭素の具体策は棚上げとなり、被害を受けた途上国への補償のための基金設立という経済対策が議論された。

 

歴史的な転換点に、COP27で途上国が勝利し「1.5℃目標」は死んだ 気候変動問題は「脱炭素化」から「南北問題」になった(1/3) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

 

        

 

 これを、大きな成果だとする人たちもいる。損害を受けた国に対する「補償」は、30年来途上国が求めていたもの。その意味での成果ではあるが、そもそもの原因である気温上昇の対策がおざなりになったとの批判は当然といえる。

 

 グレタさんはエジプトに行くのかと問われて「COPは対策をとらないことの言い訳に使われている」と不参加を表明していた。このような事態になることを、予想していたのだろう。

 

 温室効果ガスを過去から多く輩出してきた先進国からすれば、今エネルギー問題が大きくなっている時にCOP26の議論を具体化するのは難しい。そこで経済問題に軸足を移して議論する道を選んだと思われる。

 

 では「補償」は成されるのかと言えば、少なくとも基金の創設に数年はかかると思われる。これまでの途上国支援だって、まともに支払われていないのだから。全てをカネで計る資本主義だから、ここに落ち着くのは必然かもしれない。先日ご紹介した「NTF」のような新しい価値で、環境問題も計れるようになればいいのですが。