Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

気候変動がもたらす水の偏在

 日本でも北海道、東北地方で大雨被害が出ているが、韓国ソウル市のそれは想像を越える規模になっている。「パラサイト」という映画で、半地下の部屋に住む貧困層の家屋を描いていたが、実際にそのような暮らしをしている人が60万人以上いるという。

 

 そこに100年に一度の大雨が降り、地下鉄・地下街が冠水した。繁栄の象徴である江南地区も、もともとは低湿地だったのだろう、水に浸かってしまった。半地下の家に閉じ込められて亡くなった人が10人ほど。同じくらいの人数の行方不明者がいる。

 

 在日韓国人の話では、うわべは東京と遜色ない綺麗さだが、一皮むくと階段の高さがまちまちだったり、下水が不備だったりして暮らしにくいのがソウルとのこと。リミットを越えた水が、その脆弱性を露わにしたのだろう。

 

 一方、西ヨーロッパは干ばつ。高温の日々が続き、山火事も頻発、雨が降らないので湖や川の水位が下がっている。

 

欧州で山火事収まらず、記録的熱波続く ライン川の水位も低下 | ロイター (reuters.com)

 

    

 

 欧州大陸は、大きな川沿いに発展した都市国家の集合体のようなもの。川の水運は、経済発展を担ってきた。写真はフランクフルトのコンドミニアムから眺めるマイン川。ライン~マイン~ドナウと続くリバークルーズ(アムステルダムブダペスト行き10余日間)もあるように、ヒト・モノ・カネの重要な血流である。

 

 今年になってオデーサの港が使えないウクライナは、ドナウ川経由で穀物を輸出するようになっている。もちろん、北海などからのエネルギー(石油・天然ガス)を内陸に運ぶのもライン川の役目。そんな物流も渇水でピンチになっているという。

 

 気候変動が原因だろう、この水の偏在。昨年の春には、ライン川の大洪水もありました。「COVID-19」禍どころではないのが、欧州の現状のようです。また欧州旅行のハードルが上がって、ちょっと困っていますよ。