米中対立だ、ウクライナ紛争だ、ゼロコロナだ、エネルギー危機だ、インフレだ、物流停滞だ、食糧危機だと言っているうちに、世界経済に黄信号が点滅し始めた。個人のことで恐縮だが、3ヵ月に一度送って来る証券会社の運用状況を見ると、3%近くこの3ヵ月で目減りしたことがわかる。決して投機的なものを買っているわけではないのだが。
米国の元財務長官サマーズ氏が、世界の金融市場に警鐘を鳴らし、特に富裕国(先進国ではない)の財務部門に失望したと言っている。
サマーズ氏、世界金融の「地雷」はトラス英政権だけではない - Bloomberg
自国のインフレ退治のために金利を吊り上げ続けている米国が、やり玉の筆頭なのだろう。これももとはと言えば「COVID-19」対策で、ジャブジャブにカネをバラ撒いたツケである。その結果、経済的に大きくない国は資金調達が難しくなり、崩壊しかねないところも出てくる。
しかし富裕国の多くでポピュリズム政治勢力が伸び、バラ撒き政策が止まらない。その中でも、政治・経済的に弱い国から傾斜が強まるだろう。この記事に言うように、すでに英国でその兆候が見られる。成立したばかりのトラス政権は、公約だった法人減税を撤回せざるをえず、大臣が「逃散」して崩壊した。
理由は、国債長期金利の急上昇。要はプレミアムを付けないと、国債が買ってもらえなくなったわけ。バラ撒き&減税では国家財政が成り立たないとの、市場からの警告だった。自国通貨ならいくらでも刷れるとしたMMT経済論は、はっきり間違いだと分かった。
日本は、英国以上に対GDP比の債務が大きい。日銀が頑固に「ゼロ金利」を続けているのもそのせいだ。それでいて、社会保障費の伸びに加え、防衛費増の議論もある。ここはポピュリズムに陥らない政策に転換してもらわないと、世界経済の前に日本経済が倒れてしまうかもしれません。どうしましょうか?