Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

政界・官界・産業界

名目GDPと実質GDP

先月、米国の人とビデオ会議をしていて、本題に入る前に雑談したテーマは、 ◆気候 ・ニューヨークは寒い(▲4度)し、アイオワなどでは▲30度 ・日本は春の陽気、東京でも20度近くに ◆政治(選挙) ・トランプ人気相変わらず、ほぼトランプ対バイデンの構図固…

どちらが日本の為になる?

先週、対照的な経済学の入門書を2冊(*1)読んだ。日本経済が停滞していることについての認識は一致しているのだが、大きく3つの点で主張が異なっている。 1)加谷氏は日本経済はスタグフレーションになると言い、森永氏はスタグフレーションは死語になる…

「Z」のパワーの前には

「過去の税収増分は(中略)政策的経費や国債償還などにすでに充当」とする鈴木財務相の発言が、#トレンド入りしたという。これ自身は当然の発言だが「税収増分を国民に還元」という総理の意向を完全否定したことになる。SNS上では、 ・Z(財務省の意)の…

微かな脈が戻ってきた

先週、我慢がならなくなって「円安回避のために低金利政策を止めてください」と叫んだのだが、民間銀行の動きに曙光が見えたような気がした。日銀も金融緩和は続けながら、長期金利1%枠の抑え込みを外したものだから、MUFGが10年もの定期預金金利を引き上…

企業・メディアの覚悟が問われる

いわゆる「ジャニーズ問題」は収束の気配を見せない。経済同友会の新浪氏が、対応が不十分だと糾弾したことや、企業がCM等に同事務所所属のタレントを使わない(契約を更新しない、新規に結ばない)動きが広がったことで、あっさり同事務所は廃業に向かうの…

2040年なら統廃合じゃなくて解散を

今年5月、日本郵政の増田寛也社長が日経紙上で「郵便局ネットワークの統廃合を検討」と発言したことが、波紋を広げている。時期としては2040年ごろとかなり先の話だが、過激に反応した人がいたに違いない。 「郵便局統廃合」発言に波紋 日本郵政・増田社長…

マイナ保険証問題の本質

マイナンバー(カード)問題への政府の対応について、多くの人は評価をしていない。少なくとも、来年秋にマイナ保険証に一本化し、従来のものを廃止するのは中止もしくは延期すべきだという意見が7割に及ぶという。 先週の<報道1930>には、初代デジタル大…

各省協力、財務省にすれば・・・

霞ヶ関は人事異動の季節。政策立案・遂行の最前線に立っているのが課長級。来年度予算の概算要求に備えて、前の課長のもとでとりまとめられてきた当該課の新しい予算案を、やってきた課長が各所(最終的には財務省)に説明するわけだ。 着任してすぐに複雑な…

ロシアのサイバー攻撃関連情報

もちろん、以前から噂はあった。ロシアが国家的に関与して、特に「西側」諸国にサイバー攻撃をかけているということは、まずは常識である。直近に読んだ書籍でも、 21世紀、ロシアの謀略・工作 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp) のように、GRUやFSBが独自のサイ…

消費者の視点では、どちらが安全?

AppleのiPhoneは、好む人も多いけど相対的に高い。だからというわけではないが、僕は公用携帯としてはiPhoneを使っていたが、私用では簡単スマホからGoogle-Pixelに替えたところ。だから、iPhoneのアプリはAppleストアからしかダウンロードできないことは知…

産業論としての「防衛装備品移転」

ウクライナ紛争ばかりに目が向きがちだが、ミャンマー(臨時)政府軍が自国市民に空爆を加えたり、パレスチナ周辺地区での戦闘も激化している。結果として世界規模で弾薬などもふくむ兵器は、需要過多・供給不足の状況にある。名目はウクライナ支援なのかも…

「産業のコメ」転じて「戦力の要」

経済安全保障の議論の中で、半導体分野の話題が多くなってきている。僕自身は「安全保障」なら、エネルギー・食糧・水のような市民の生死に直結することが先だろうと思っているのだが、今回の経済安全保障推進法の主旨は<産業政策>に寄っているように感じ…

ニューオータニでの正論大賞表彰式

この日は夕刻、ニューオータニでの式典に参加することになっている。主催はフジサンケイグループ、月刊誌「正論」が選んだ2022年度の大賞・新風賞・特別賞の表彰式である。縁あって招待状が来たのだが、どんな人たちが参加するのか全く分からない。少しだけ…

黎明期からのセキュリティ業界

ある業界団体から、20+3周年のパーティをするのでとの案内が来た。実はその日には、別の予定が入っていた。3年ぶりに開催される大学時代の同窓会(東京地区)である。 東京地区の同窓会 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com) 「COVID-19」禍で3年間自…

地域とサプライチェーンの違い

会議が終わった後、地元の人達とランチ会合に出かけた。中央行政から来ている人、県の支援する協議会で働いている人などから、ちょっとくだけた実情を聞くことができた。最初に話題に上ったのは、九州は独立意識が高いということ。 僕の親父(名古屋人)が長…

外資やジョブ型雇用は女性の味方

世界的に見るとそれほどではないのだが、日本も格差社会になっているとメディアが伝え続ける。特に、非正規の女性の貧困はひどいという。一方で、リカレント教育という言葉を盛んに岸田総理は口にする。しかし「働かないおじさん」だけではなく、日本のサラ…

環境問題の予測・・・の結果

「COVID-19」禍、ウクライナ紛争、米中デカップリングなどこの3年ほど国際情勢は激動を続けている。加えてインドを盟主とする「グローバル・サウス」と呼ばれる発展途上国の発言力も高まっている。今年は日本が議長国だが、G7各国全体の発信力は低落傾向と…

ローテーションCISO対策

少なくとも大手企業、外資系企業のデジタル部門の中では、サイバーセキュリティ対策の重要性は認識されている。有力企業にはCISOは必ずいて、自社やサプライチェーンのセキュリティ状況に目を光らせている。 次のCISOというべき人材の育成も盛んで、例えばIP…

学歴に関するグローバルな視点

新卒一括採用、終身雇用といった日本的雇用慣行は崩れつつある。ある政治学者が「住まいを移動した距離が短いと、ポピュリズムへの抵抗力が少ない」と言った。ムラ社会はポピュリズムに弱いので、米国がその典型だが多くの国で都市部ではないところでポピュ…

独眼竜公のおひざ元で

ところどころ高速道路の工事はあったものの車は順調に流れて、東北経済産業局には予定より10分ばかり早く着いた。昼食時間がとれないかもと、念のため用意してもらったお弁当をいただく。1,080円なり。 ホテルの朝食はこのエリアの名産品が目立ったが、お弁…

蔵王連峰を越えて

サイバーセキュリティ対策の地方巡礼、第二回目は仙台市。仙台の合同庁舎での2時間の会議だけではもったいないということで、前後に予定を入れてもらった。午前中山形市のセキュリティベンダー、会議後に仙台市内のベンダーを訪問できる。僕が困ったのは朝…

特定秘密保護法の民間人適用

何度か、民間人を含めた「セキュリティクリアランス制度」が日本にないため、重要インフラ等の防護を担っている民間人に、必要なインテリジェンス情報が届かないという問題点を指摘した。米国等にはあるこの制度、産業界としても必要性は感じるものの、 ・実…

地方巡礼、マイナス8度の札幌へ

企業などのサイバーセキュリテイ対策について、地方の意見を聞く企画が実現した。協力してくれたのは経産省。9つある地方経済産業局に場所を借りて、現地の人たちとの意見交換ができる。1~2月で全部廻ろうという意欲的な日程で、時間に余裕のある僕は日…

ラピダス、TSMCだけでは・・・

自民党半導体議連の提言もあり、経済安全保障推進法の対象でもある半導体産業の振興が具体的に取り組まれるようになってきた。かつては「産業のコメ」ともてはやされながら、その事業のボラティリティの高さや設備投資の巨大化などが嫌われ日本では衰退して…

経団連のWeb3.0推進戦略

先月、経団連が「Web3.0推進戦略~Society5.0 for SDGs実現に向けて」を公表した。昨今デジタル業界で話題のWeb3.0を、伝統的な業界団体である経団連が早々に取り上げ、推進に向けた方向性を打ち出したことは評価したい。 web3推進戦略 【概要】 (keidanren.…

米国大使館から首席公使公邸へ

今週日経が1面トップに「サイバー戦争・日本の危機」との特集を組み始めた。これまで専門家の間では常識だったことが、一般紙の1面に載るまでになったかと感慨深い。先日紹介したマンスフィールド財団に続き、今度はバイデン政権でサイバーセキュリティの…

CYDEF2022の打ち上げ

CYDEFとは、日本でNATOの協力も得て開催されるサイバーセキュリティのイベント。今年で第五回、僕は第二回から参加していた。その時は「COVID-19」禍ではないので、横須賀YRPでリアル開催だった。YRPは横須賀リサーチパークのこと。 旧電電公社の<横須賀通…

平井先生朝食セミナー2022(後編)

続いて本題のWeb3.0、伊藤氏はこれを「会計改革」だという。中世イタリアで確立した「複式簿記」を越えるものが登場したとの説明。これまで全てをカネに換算してきたのが資本主義だが、換算できないもの(SDGs的努力、環境配慮、リスク対策も)も「Non Fung…

平井先生朝食セミナー2022(前編)

秋葉原で目覚めて総武線に乗り、四ツ谷で下車して向かった先はニューオータニ。毎年恒例、平井議員の朝食セミナーである。昨年より大きな部屋で、参加者は1,000名ほどだろうか?昨年より5割は増したような気がする。外資系の友人と入り口で会って、一緒に会…

議論を「走行距離課税」に矮小化せず

政府がお金を使う方の「政策」は官邸主導だが、お金を集める方の「税」については党(自民党)主導である。そういう意味で、普段目立たない自民党税調の宮沢委員長は、総理と同等の力を持っているとも言えよう。今回の補正を含めた放漫財政で、今年度の支出…