Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

中国のインテリジェンス戦略

 サイバーセキュリティ業界も、金銭狙いのデジタル詐欺や、ちょっと規模の大きなランサムウェア攻撃への対応だけではなく、国家間の安全保障からみの議論が徐々に増えてきた。僕はシミュレーションゲームなどで戦史を学んだ程度だから、一般の人よりは詳しいことはあるが、プロには叶うはずもない。

 

 国家間の紛争に関わるインテリジェンスについても、別ブログで紹介している書籍を読んだ程度の知識しかない。例えば、こんなの。

 

ダウニング街10番地、1941 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 そこで、機会があればインテリジェンス関係の人に教えを請いたいと思っていた。たまたま今回中国暮らしが長かった人と会う機会があり、面白い話が聞けた。中国の戦略的活動についてのお話で、ポイントは、

 

        

 

1)中国はもともと謀略国家だが、その能力は内戦で消費(浪費)されていた。

2)近代的なインテリジェンスは、米ソ冷戦時代に米国から教わった。

3)その時代ソ連は仮想敵国で、インテリ戦争ではソ連から痛い目に遭った。

4)ソ連崩壊後は、SIGINTに秀でた米国の監視がキツくなった。

5)21世紀になって、近代的な「3戦能力」を磨くようになった。

 ・メディアを利用し既成事実を積み重ねる「世論戦」

 ・相手の士気を低下させる「心理戦」

 ・国際的な支援を獲得するための「法律戦」

6)習近平政権になってから、サイバー空間での戦略展開が派手になった。

7)現在のインテリジェンス機関は、以下の3つ。

 ・国家安全部

 ・人民解放軍総参謀部第二部

 ・国営新華社通信

 

 この中で「3戦能力」というのが、僕の興味を惹いた。尖閣諸島周辺に中国海警局の船舶や漁船が横行したり、中露の航空機が日本の近くを飛び回ったりするのも、この戦略の一環らしい。日本の防衛力強化の議論では、こちらも「3戦能力」を磨く話も出てきて欲しいものですよ。