Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

軍事史への招待

僕の第二次欧州大戦(12)

1943年春、前のターンで戦力の30%を失ったドイツ軍だが、乾坤一擲レニングラードに襲い掛かった。ここは要塞なので防御側は4倍に戦力が膨れ上がる。川越しの3倍とは意味が違って、例え空挺部隊を投入しても4倍は変わらない。立て籠っているのは2個歩兵…

僕の第二次欧州大戦(11)

1942年秋~冬、地中海戦域で反転攻勢に出たイギリス軍は北アフリカで枢軸側を追い詰めていく。本当はギリシアやイタリア本土の攻略をしたいのだが、数は減ったとはいえイタリア海軍がいるし、ヴィシー海軍もうるさい存在だ。いずれも連合軍側の航空基地から…

僕の第二次欧州大戦(10)

1942年春、地中海ではイタリア軍が攻勢を準備していた。ユーゴスラビアやギリシアのパルチザン対策にはヴィシー軍が力を貸してくれ、イタリア陸軍の主力はレバノンとリビアに展開できた。対する英国は、最初から駐留している部隊がエジプトに、1個機甲がチ…

僕の第二次欧州大戦(9)

1941年秋、最初の冬季には枢軸軍は攻勢をかけられない(ロシアの厳冬ルール)から、今年のラストチャンス。北はルヴォフとその隣の橋頭保から、タリンと周辺の港湾都市に侵攻する。ここは前のターンに陸路上は補給切れにしたのだが、レニングラード港にいる…

僕の第二次欧州大戦(8)

1941年春、史実より3ヵ月早くドイツ軍はソ連に宣戦布告した。これまでのところ全く戦闘をしていないソ連には、そこそこのBRP蓄積(120以上)がある。ただ南北に広大な戦線を支えるには、部隊の数が足りない。あと1年待つと、膨大な量の親衛赤軍(15個歩兵…

僕の第二次欧州大戦(7)

闘いは、最初のヤマ場を越えた。イギリスはBEFを撤収し始め、ノルウェーは占領することができた。現状では大陸で闘うのは無理だから、主戦場は地中海になるだろう。主な相手はイタリアで、エジプトとマルタを守ることになる。 降伏したフランスはドイツの衛…

僕の第二次欧州大戦(6)

南でイタリア軍がそれなりに奮闘、フランス軍を引き付けている。そこでドイツはルクセンブルグにも宣戦布告、このヘクスも含めてベルギーからフランス国境の部隊に攻撃を掛けた。5個歩兵と機甲でセダンとその隣にいる2個歩兵(2-3)を2対1攻撃で除去、そ…

僕の第二次欧州大戦(5)

イタリア北部に侵攻したフランスに対し、イギリスの目は北に向いていた。狙うのはノルウェー。ポーツマスには歩兵1個と機甲1個が船積みされていた。護衛艦も含めて3個艦隊がポーツマスを出港し、北海をベルゲンに向かった。キールに在泊していたドイツの…

僕の第二次欧州大戦(4)

それでは、ユーゴスラビアの方はどうなったのだろうか?この国も中小国としてはそこそこの戦力を持っているのだが、首都ベオグラードの北に空白がありイタリア軍の2個歩兵(3-3)と機甲(2-5)が攻撃を掛けてきた。 ここも川越しなので防御側は戦力3倍、12…

僕の第二次欧州大戦(3)

各国は、その戦略に合わせてセットアップをしている。いずれドイツ軍がなだれ込んでくる独仏国境付近では、フランスが要塞マジノ線に拠って防備を固めている。イギリスは陸軍動員前なので、本土に配備するので手一杯。イタリアは主力がユーゴ国境に展開して…

僕の第二次欧州大戦(2)

このゲームのコンセプトは「戦争経済」である。先立つものがなければ、兵器を作ることも軍団を編成することも宣戦布告することも、地域で攻勢にでることも出来ない。占領地が増えてくると、使える資源(以下BRPという)が増えてくる。 プレーヤーはコマを並…

僕の第二次欧州大戦(1)

「不要不急の外出NG」のお盆休みになった。ワイン三昧・肉三昧というのもいいが、少しは知的・生産的なこともしたい。そう考えて古いシミュレーションゲームを引っ張り出してきた。アバロンヒル社の戦略級ゲーム「The Third Reich:第三帝国」である。これも…

掃海艇「はつしま」

熱海港には、時々海上自衛隊の艦船もやってくる。以前別ブログで、「ひうち型多用途支援艦」の見学会の模様を紹介したこともある。 https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2019/10/20/070000 https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2019/10/20/150…

ナチスドイツの装甲車

先月ご紹介したのは、第二次欧州大戦当時のドイツ軍のハーフトラック。子供の頃TVドラマ「Combat」で、ドイツ軍のハーフトラックが出てくると「ドイツの装甲車だ!」と小学生の僕は喜んでいた。もちろん「PSW 250」の稼働車両などあるはずもなく、米軍のM-3…

共和党員ジョン・ウェイン

家にいる時間が長くなって、いろいろ「常態」が変わってきた。そのひとつに(本当に久し振りに)DVDプレーヤーに録画をしたり、撮ってあった映画を見始めたりするようになったことがある。「刑事コロンボ」のようなミステリーもの、「Mission Impossible」の…

機動歩兵を支えたもの

1939年9月に始まった第二次欧州大戦は、その年のうちにポーランドを独ソが分割して以降、奇妙な平穏を迎える。次の焦点は明らかに独仏国境とベネルクス三国になるのだが、両軍実質的な戦闘はしなかった。独仏国境にはフランスが巨費を投じて建設したマジノ…

黒騎士中隊、パンツァー・フォー!

小林源文という劇画作家(イラストレータという人もいる)は、戦争物の劇画で独自のジャンルを築いた人である。特に、滅びゆくドイツ軍の描写にはリアリティがある。代表作のひとつ「黒騎士中隊」は、これをシミュレーションゲーム化したものさえあり、ゲー…

スターリンの決め技

モスクワ・ベルリン間で、1941年~1945年に戦われた第二次大戦のメインイベント「独ソ戦」。ソ連の戦死者は1,100万人超、ドイツ側も500万人を失ったという。ソ連では「大祖国戦争」とも言われ、厳寒だったり泥濘だったりする大地で日本人には想像もつかない…

親衛赤軍の反撃(後編)

先行はソ連軍。このゲームはまず攻撃側が準備射撃をして、次に移動、防御側が防御射撃をして、攻撃側が前進射撃をする。最後に攻撃測は1ヘクスだけ前進できる。これは実際の戦闘と同じで、前進前に部隊の半分で相手を射すくめ、のこり半分が前進、防御側は…

親衛赤軍の反撃(前編)

先日、アバロンヒルの「TITAN」をソロプレイしたことを紹介した。ファンタジーの世界の怪物たちが跋扈するのも楽しいものだが、今回はもう少しリアルなものを経験したい。引っ張り出してきたのは、第二次世界大戦の陸戦戦術級「Squad Leader」。 https://nic…

ドイツの駆逐戦車(後編)

車高が低く長砲身75mm砲を積んだ駆逐戦車は待ち伏せ攻撃には最適だったが、より重装甲のAFVに対処したり敵の射程外から撃てるようにするためには、さらに大口径の砲を積む必要があった。ドイツ軍は有名な高射砲88mm(アハトアハト)を積んだ重戦車「ティ…

ドイツ軍の駆逐戦車(前編)

前回戦車大国ソ連が第二次大戦後半に投入した、対戦車自走砲や突撃砲を紹介した。今回は、ドイツ軍の対戦車自走砲を見てみよう。もともと突撃砲なるものを生み出したのは、ドイツ軍である。当初は低初速・短砲身の榴弾砲を装備していて、相手取るのは機関銃…

ソ連の突撃砲

対戦車自走砲は、対戦車砲に機動性を持たせるために自走化したものだと前回説明した。それでは突撃砲とは何だろうか。もともとAFVは、機関銃が支配する戦場を突破するために作られたものである。しかしAFVそのものがAFVと戦うようになって、対戦車…

ソ連の対戦車自走砲

第二次欧州大戦のハイライトである独ソ戦。二大陸棲国家が、大陸の覇権をめぐって血みどろの力比べを演じた。さまざまな兵器が(珍妙なものも含めて)登場しているが、その中に対戦車自走砲と突撃砲というものがある。この二つ、非常に良く似ていて現場では…

大戦後期米軍のAFV(後編)

投入時期が遅くあまり実戦の役に立たなかったと思われるが、米軍の工業力は強力なAFVを開発、実戦配備していた。右から順に、 ◆M4A3E2戦車 兵装:主砲長砲身76mm砲。車体機関銃(火力2)、 同軸機関銃(火力4)、対空機関銃(火力4) 装甲は厚い…

大戦後期米軍のAFV(前編)

遅れて第二次大戦に参戦した米軍ではあるが、参戦前に事実上の兵器量産・開発・改良体制には入っていた。ルーズベルト大統領は、欧州大戦への不参戦を公約に3選した。しかし民間企業はそんな公約にはお構いなく、兵器や軍需品の生産に励んでいる。自国が参…

M4 based AFVs

凡作M4シャーマン戦車は、いろいろな改造を施されている。アメリカ人は工夫好きということらしい。AFVはいろいろなシーンで働くことが求められる。そのベースに、M4シャーマンは適当だった。右から順に、 ◆M4ドーザー戦車 兵装:主砲75mm砲、同軸機…

偉大な凡作、M4中戦車

間に合わせの中戦車M3で第二次大戦に参戦したアメリカ軍だが、欧州戦線ですぐに暴れまわれるはずもなかった。まずは大西洋で危機に瀕している輸送船団を、Uボートから守らなくてはならない。最初の役割は海軍が担うことになったのは、当然である。 陸軍は…

マッカーサーの意地

第二次大戦初期の各国のAFV開発状況を見てきたが、アメリカ軍についても触れておこう。自ら石油を産し自動車王国であるアメリカは、他国よりもAFV開発については優位にあるはずだった。しかし国民は戦争を望んでおらず、ルーズベルト大統領も「不戦」…

三代目「たかなみ」ガ征ク

緊張高まる中東、中でも日本が輸入している原油の9割が通るホルムズ海峡に何かがあれば、日本が干上がってしまいかねない。このエリア、昨年6月にカタール航空で上空を飛んだ。家内と二人でローマ旅行に行ったのだが、ちょうどホルムズ海峡上空を飛んでい…