Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ソ連の突撃砲

 対戦車自走砲は、対戦車砲に機動性を持たせるために自走化したものだと前回説明した。それでは突撃砲とは何だろうか。もともとAFVは、機関銃が支配する戦場を突破するために作られたものである。しかしAFVそのものがAFVと戦うようになって、対戦車能力が高められるようになった。その結果、防御を固める機関銃座を撃破する能力が相対的に落ちてきていた。

 
 もう一度固定された機関銃陣地を撃破するために「特化」したAFVをドイツ軍が開発した。それが突撃砲である。車高が低く対戦車砲の狙いがつけにくい、装甲は厚く機関銃程度ではキズもつかない、射界は狭いが相手が固定目標なら問題はない。
 
 どのような兵器も、いいとなったら直ぐに真似られる。ソ連軍も自前の突撃砲を開発した。右から順に、

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◆SU-122
 兵装: 122mm榴弾砲
 装甲はまずまず。(正面11、側面他6)
 移動速度: 16ヘクス/ターン
 
 初代の「制圧獣」である。122mm榴弾砲は、決して精度の高いものではないが破壊力はすさまじい。移動速度も速いので、あっという間に接近され至近距離から122mm弾をくらう羽目になる。ドイツ兵は「獣」とあだ名して恐れた。射界は正面だけだし、機関銃もないので市街地などで接近戦になったら歩兵にも撃破する機会が出てくるが、ロシアの平原でこれに出会ったら悲惨なことになるだろう。問題は、この砲では徹甲弾は撃てないこと。対戦車戦闘は、設計時に考慮されていない。
 
◆SU-152
 兵装: 152mm砲
 装甲はまずまず。(正面8、側面他6)
 移動速度: 13ヘクス/ターン
 
 さらに大口径の152mm榴弾砲を積んだもの。大型化していてその割には装甲は厚くないので、ハチハチなどの有力な対戦車砲があれば撃退できた。しかし主砲の破壊力は言語を絶する。欠点としては、弾丸搭載量が少ないこと。ゲーム上では射撃するたびに1/6の確率で「弾切れ」になってしまう。この砲は徹甲弾も撃てる。152mm徹甲弾をくらえば、ほとんどすべてのAFVは消し飛ぶだろう。しかし自らの装甲厚を考えると、戦車戦をするのは望ましくない。
 
◆ISU-152
 兵装: 152mm砲
 装甲は厚い。(正面14、側面他11)
 移動速度: 13ヘクス/ターン
 SU-152の増加装甲型。主砲の破壊力や弾切れリスクは変わらない。ある程度戦車戦も戦える装甲になったが、本来の「歩兵・機関銃座制圧」に使うのが望ましい。
 
 このあたりになると、歩兵にとっては獣を越えて悪魔に近い存在である。救いがあるとすれば機関銃を搭載していないこと。車体や砲塔前面の機関銃は、逆に装甲上の欠陥にもなるので外してしまったのかもしれない。歩兵や他のAFVと協同で作戦を遂行するには良いAFVである。ただソ連軍の現場指揮官が、コンバンド・アームズの概念を分かっていたとは思えない。