Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ドイツの駆逐戦車(後編)

 車高が低く長砲身75mm砲を積んだ駆逐戦車は待ち伏せ攻撃には最適だったが、より重装甲のAFVに対処したり敵の射程外から撃てるようにするためには、さらに大口径の砲を積む必要があった。ドイツ軍は有名な高射砲88mm(アハトアハト)を積んだ重戦車「ティーゲル」を開発していた。ドイツ軍の次の駆逐戦車に、88mm砲が積まれるようになるのは必然であった。

 
 大戦後半から終盤にかけて、いろいろな大口径砲装備の駆逐戦車が開発された。右から順に、

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◆Ⅲ/Ⅳ対戦車自走砲(ホルニッセ/ナースホルン)
 兵装:超長砲身88mm砲
 装甲は「紙」のよう(正面3、側面他2)
 移動速度:13ヘクス/ターン
 
 Ⅲ号戦車とⅣ号戦車の車体を流用して、何種類かの自走砲が開発されたうちのひとつ。150mm榴弾砲を積んだフンメル(マルハナバチの意味)や105mm榴弾砲を積んだヴェスペ(スズメバチの意味)があるが、同様に88mm砲を積んだのがホルニッセ(これもスズメバチ)である。自走砲なのでオープントップであり、装甲は薄く機銃もない。しかしヒトラーはこの強力な主砲に期待をかけ「ムシケラの名前はけしからん」と、ナースホルン(サイの意味)と改名させた。登場は有名な「クルクスの戦車戦」だったが、初期不良に加え防御力の低さが災いして期待に応えることはできなかった。
 
ティーゲル駆逐戦車(エレファント)

 兵装:超長砲身88mm砲、車体機関銃(火力3)

 装甲は厚い(正面18、側面他8)
 移動速度8ヘクス/ターン
 
 ナースホルンの失敗に懲りて防御力を増したのがこれ。エレファントとはもちろん象の意味である。しかし、これも成功作とは言えなかった。重くなりすぎて機動力が無くなってしまったのが致命傷。まともに射撃できる機会を得られないうちに側背に回り込まれてしまう。ある程度の数を揃えられれば活躍できたかもしれないが、生産性が低い上に重すぎて前線に運ぶことも難しかった。
 
◆Ⅴ号駆逐戦車(ヤクート・パンテル)
 兵装:超長砲身88mm砲、車体機関銃(火力3)
 装甲は厚い(正面18、側面他6)
 移動速度:15ヘクス/ターン
 
 第二次大戦中、最良の駆逐戦車。火力・機動力・防御力のバランスがとれている。主砲の威力はもちろんのこと、足回りも十分だし、被弾経始(傾いた装甲)を採用して、重量を増やさないで実質的な装甲厚を増している。
 
◆Ⅵ号駆逐戦車(ヤクート・ティーゲル)
 兵装:長砲身128mm砲、車体機関銃(火力3)
 装甲は極めて厚い(正面26、側面他8)
 移動速度:11ヘクス/ターン
 大戦最終盤に登場した、鋼鉄の塊。128mm砲をくらって無事で済むAFVなど存在しない。装甲も厚いが、これまで述べてきたエレファントなど大口径駆逐戦車の欠陥は克服されていない。数が揃うはずもなく、戦局に影響を与えることはできなかった。