Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

共和党員ジョン・ウェイン

  家にいる時間が長くなって、いろいろ「常態」が変わってきた。そのひとつに(本当に久し振りに)DVDプレーヤーに録画をしたり、撮ってあった映画を見始めたりするようになったことがある。「刑事コロンボ」のようなミステリーもの、「Mission Impossible」のようなスパイものもあるのだが、一番多いのはやっぱり戦争もの。この日はいつ録画したのかも覚えていない「アラモ」を見た。

 

 1836年、テキサス独立戦争(要はメキシコから独立して合衆国の一員になること)の中で起きた「アラモ砦の闘い」を描いたものだ。監督・製作ジョン・ウェイン、彼は主役のひとりデービー・クロケットも演じた。「ボウイナイフ」で有名なジョン・ボウイをリチャード・ウィドマークが、砦の指揮官トラビス大佐を舞台俳優のローレンス・ハーヴェイが演じている。

 

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 映画評によれば、

 

時代考証や歴史の事実を無視したストーリー

・演説じみたセリフが多く、テキサスの大地のように平板

 

 なのだが、

 

・クライマックスの戦闘シーンは出色の出来

 

 ということだった。実際のアラモ伝道所の3/4ほどの規模のセットを作り、70mmスクリーンを埋めつくすエキストラでメキシコ軍の威容を示すなど、膨大な製作費(当時のお金で1,200万ドル)をウェインは投じた。確かに戦闘シーンやメキシコ軍の移動シーンには僕も圧倒された。ただ興行収入は十分ではなく、ウェインは私財を売って穴を埋めたという。

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 英語の勉強のつもりで見ているのだが、気になったのは「政治的発言の多さ」だった。ウェインは最右翼の共和党員で、その意思が非常に強く登場人物の行動やセリフに表れているのだ。例えば元下院議員だったデービー・クロケットが、

 

「共和国、実にいい響きだ。自由に暮らし、話し、行き来し・・・。共和国、胸に詰まる言葉だ」

 

 というシーンがある。時代考証や歴史的事実が無視されたのも監督(ウェイン)の意思が働いた部分があるだろう。撮影現場でも監督の過度な演技指導や登場人物の解釈に、主役の一人ウィドマークが反発して「降りる」という騒ぎもあったと伝えられる。また黒人のサミー・デイビスJrの出演も、どこかで握りつぶされている。

 

 11月の大統領選挙に向けて「史上最低の候補者」を擁している共和党だが、その理想や人種問題についての考え方などが分かったような気になる映画でした。勉強になりましたよ。