Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

機動歩兵を支えたもの

 1939年9月に始まった第二次欧州大戦は、その年のうちにポーランドを独ソが分割して以降、奇妙な平穏を迎える。次の焦点は明らかに独仏国境とベネルクス三国になるのだが、両軍実質的な戦闘はしなかった。独仏国境にはフランスが巨費を投じて建設したマジノ線という要塞群があり、さしものドイツ軍もこれを簡単に突破することは難しかった。

 

 ドイツ軍は1940年春にベネルクス三国から攻撃を開始、マジノ線を迂回してフランスに攻め込んだ。ある程度予想された攻撃ルートではあったが、英仏連合軍の予想を上回ったのがその進行スピード。快速の戦車を先頭に進撃するのだが、機動歩兵が随伴していたのだ。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/09/04/060000

 

 装甲・火力・機動力の高い戦車という戦力は、実は単独では脆い。上記の記事で紹介したように、視界が制限された戦車は歩兵の肉薄攻撃で破壊されやすいのだ。そこで歩兵を随伴させるのだが、足で歩く歩兵のスピードで進撃速度が抑えられてしまう。トラックで歩兵を運ぶこともあるが、非装甲のトラックは最前線では危険だ。

 

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 そこで装甲を施したトラック「ハーフトラック」に歩兵を乗せることで「機動歩兵」としたのである。自動車王国ドイツ軍の誇るハーフトラックの代表的なものを見ていこう。右から順に、

 

SPW 250/1

 兵装:対空機関銃(火力3)

 装甲はライフルを止められる程度、これは4車種すべてに共通

 移動速度:18ヘクス/ターン

 歩兵半個分隊を乗車させることができる。

 

 最初に登場したハーフトラック。大砲などを牽引する能力もあった。

 

SPW 251/1

 兵装:対空機関銃(火力3)

 移動速度:18ヘクス/ターン

 1個分隊を乗車させることができる。

 

 より大型化したもので、多くのバリエーションがあり、同軸機関銃(火力7)を装備したものもあった。その火力で敵をけん制している間に乗車歩兵が下車して接近するなどの戦術が可能だった。

 

SPW 250/7

 兵装:81mm迫撃砲、対空機関銃(火力3)

 移動速度:18ヘクス/ターン

 

 SPW 250に対戦車砲、対空機関砲などを搭載し自走砲化したバージョンの一つ。歩兵を乗車させることはできない。目標に近い遮蔽された場所(例:丘の反対側)に素早く布陣し攻撃して、さっと引き揚げる芸当ができた。

 

SPW 251/16

 兵装:火炎放射器(火力24)×2基、対空機関銃(火力3)

 移動速度:16ヘクス/ターン

 

 SPW 251の左右の側面に火炎放射器を付けたもの。強力な対戦車兵器を持たない相手に対しては、接近して容易に丸焼きにすることができた。建物などの遮蔽物があってもその防御効果が無くなるのが火炎放射器なので、道路に乗り入れ両側の建物に籠る敵歩兵を除去するような戦術に使われたのだろう。