Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ドイツ軍の駆逐戦車(前編)

 前回戦車大国ソ連が第二次大戦後半に投入した、対戦車自走砲突撃砲を紹介した。今回は、ドイツ軍の対戦車自走砲を見てみよう。もともと突撃砲なるものを生み出したのは、ドイツ軍である。当初は低初速・短砲身の榴弾砲を装備していて、相手取るのは機関銃座だった。しかしこれにカノン砲を積んで、対戦車戦闘もできるようにしたバージョンもじきに登場する。ドイツ軍ではこのようなAFVを駆逐戦車と呼んだ。

 
 車体に主砲が埋め込まれていることで、射界が制限される。一方、車高が低くなって被弾する可能性は下がる。また砲塔という可動部がないので生産工程が簡素化され、コストが下がる上に砲塔基部に使っているボールベアリングが省略できる。ソ連が続々とAFVを投入してくる東部戦線においては、ドイツ軍も1台でも多くのAFVが欲しい。そんなニーズにぴったりしたのが、以下に紹介する駆逐戦車等なのだ。右から順に、

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◆マルダーⅡ対戦車自走砲
 兵装:長砲身75mm砲
 装甲は「紙」のよう(正面3、側面1、後面ナシ)
 移動速度:13ヘクス/ターン
 
 ほぼ戦闘には使えなくなったⅡ号戦車(主砲20mm)の車体に、75mm砲を積んだもの。主砲の破壊力はまずまずだが、装甲はないに等しい。敵戦車に発見されれば、生き延びることはできない。しかし、その敵戦車を撃つのが主なミッションであるのが辛い。隠れていても射撃をすればおそらく見つかるだろうし、射撃しなければ、いないのと同じことである。
 
◆Ⅳ号駆逐戦車
 兵装:超長砲身75mm砲、車体機関銃(火力1)
 装甲は正面についてはまずまず(正面14、側面他3)
 移動速度:11ヘクス/ターン
 
 本格的な突撃砲スタイルになり、非常に破壊力のある主砲を装備している。車高が低く装甲も十分あるので、正面きっての撃ち合いならかなりの大物戦車でも相手にできる。頼りない火力ではあるが、一応機関銃は1丁付いているので、歩兵を脅す程度のこともできる。問題は移動速度である。正面装甲や高速の主砲を積んだせいで一段と遅くなった。これでは、敵戦車(T-34など)から逃げおおせることはできない。後面装甲は薄いし。適切な隠蔽を施して敵を待ち伏せ、少数の敵なら殲滅し、多数の敵ならできるだけの出血をさせた後味方の撤退を援護して犠牲になる運命だろう。
 
◆38式駆逐戦車(ヘッツアー)
 兵装:長砲身75mm砲、対空機関銃(火力1)
 装甲は正面についてはまずまず(正面14、側面他3)
 移動速度:13ヘクス/ターン
 
 チェコ製38式戦車の車体を流用したもの。非常に小型で、目立ちにくい。ある意味、軽駆逐戦車の完成形と言える。対空機関銃がある珍しい駆逐戦車であるが、これが非常に面白い仕掛け。車内から遠隔操作できるのだ。対空機関銃を使う時は車長がハッチから身を乗り出すので、車長が銃で撃たれたり空いたハッチから手榴弾を放り込まれたりする(オープントップと同じ)リスクがある。その点ヘッツアーの機銃は車内から撃てるのでリスクが少ない。最も狙いを付けるのは大変難しいだろうから、どこまで役に立ったかはわからない。
 
<続く>