今週「World Economic Forum」の総会がジュネーブで開催される。今年の主要議題は3つあって、
1)「COVID-19」禍による長く深い経済の不振から抜け出す道筋
2)複雑な国際情勢の中で、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換をどうするか
3)世界が脱グローバル化に向かうのか、再びグローバリズムが進むのか
だという。グローバル化を推し進めて経済成長というトーンだったこの会議の目的は、「COVID-19」禍や昨年のロシア・ウクライナ紛争でとん挫気味である。昨年のダボス会議については、コロンビア大のスティグリッツ教授が「ダボス会議に見る変節~グローバル化は衰退する」との論文を発表するなど、失敗だったとも伝えられる。
経済安全保障の特集記事 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
だからこそ、この会議は「目的の再確認」を掲げた議論をしようとしている。しかしこの会議では、温暖化など防げないとの論説も登場する。例えば格差拡大を憂えるフランスの学者トマ・ピケティ教授だ。
彼は「超富裕層の資産と収入を大幅に削減してから、温暖化対策が初めて可能になる」という。各国で政権選択の選挙が行われ、
左派:社会福祉や環境問題を重視
右派:反グローバリズム&移民
の対立が見られるが、どちらが優勢かは個別事情による。温暖化対策には一見左派が積極的に見えるが、左派の対策は中間層を犠牲にするものとの見方もあって必ずしも大衆の賛同を得られない。ピケティ教授の主張は、超富裕層の資産と収入に50%の税金をかけ、それで格差を是正してから左派流の温暖化対策をすべきだということ。
それは理想だが不可能だという人たちを、教授は「嘘つき」と決めつける。もちろん他の手段も含めて環境問題に背を向ける人は「地球に嘘をついている」と手厳しい。だとすると今週のダボス会議総会は、嘘つきの集まりということになりますね。さて・・・。