Cyber NINJA、只今参上

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ロシア軍の新鋭AFV(後編)

 それでは、2種類のロシア軍新鋭AFVのスペックを見てみよう。

 

◇T-14

 乗員3名、重量55トン、最高速度90km/h、主砲125mm滑腔砲、重機×1、機銃×1

 

 2015年の戦勝パレードで初お目見えしたAFVで、ソ連時代以降初めて50トンを超えた戦車である。最大の特徴は無人砲塔、戦車長が肉眼で周囲の状況を見ることができないので、多数のセンサーを積んでいる。主砲の照準も、レーザ測距儀などを使い8,000m先の目標まで撃てるという。主砲の反動や排煙の影響を乗員に与えることがないので、新型の滑腔砲は発射速度が高い。

 

    

 

BMP-T

 乗員5名、重量47トン、30mm連装機関砲、アターカ対戦車ミサイル連装×2、30mm擲弾発射機×2、機銃×1

 

 最高速度の情報はないが、車体をT-90から流用し重量も同程度であることから同じ65km/hほどと推定される。多様な武器を搭載しているが、これも無人砲塔にある。乗員が多いのは全方位を警戒するため。全員にモニターが与えられ、社外カメラの映像で周囲を監視する。2010年代から配備が始まり、アルジェリアに300両が輸出されている。シリアの内戦にも、実戦投入されている。

 

 では、このような新鋭AFVがなぜウクライナ戦線に出てこないのか?恐らくはその信頼性に問題があるからだろう。どんな新兵器も初期不良に悩むものだが、ロシア軍の場合はもうひとつ理由がある。それは電子部品を大量に使用していること。

 

 電子部品の代表格は半導体。米国が軍事転用を危惧して中国への半導体輸出や技術移転を禁止しようとしていることからも分かる。ロシアが利用できている(例えば中国製の)半導体に、不良が多いのではないかと思う。

 

 近代化を図ったのはいいとして、それを支える産業・技術が無くて苦杯をなめた例が、太平洋戦争中の戦闘機。日本は航空機エンジン技術で米国に及ばなかった。ロシアの軍事産業も、その轍を踏むことになるのでしょうか?