先週から14億人の人口を抱えるインドで、総選挙が始まった。同じく14億人の中国では選挙らしきものは共産党内でしか行われないので、世界最大の選挙といえる。何しろ大規模なので、7月までかかるという。モディ首相の政治力や統率力、国民の人気などは大したものだが、それでも選挙前に最大野党の党首を汚職容疑で逮捕するなど、強権的な手法が垣間見える。
インド 野党“選挙前に締めつけ” 指導者逮捕で大規模抗議集会 | NHK | インド
抗議集会に対して、弾圧などは行われなかった。その点、インドは強権国家ではなく民主主義国家なのだと言えなくもないが、ヒンドゥー第一主義に違いはない。昨年は異教徒であるシーク教徒の指導者を、カナダで暗殺した嫌疑もある。加えて米国でも暗殺計画があって、阻止された(*1)と伝えられる。
巨大な国では、大きな何かに拠らないとガバナンスできない。習政権の場合は共産党と漢民族で、チベットや新疆ウィグル等の異民族は迫害されるが、インドの場合はそれがヒンドゥー教ということだ。独立時に、
・ヒンドゥー教徒 ⇒ インド
とおおむね分かれた(*2)のだが、広いインド国内には、イスラム教徒も仏教徒も、その他の宗教も残っている。民主主義は最大多数の最大幸福が目標だから、ヒンドゥー第一主義も一理あるのだが、他の宗教を弾圧していいということにはならない。
旧ソ連を倒すのに、米国は中国を使った。キッシンジャーの隠密外交、ニクソン訪中、台湾断交から始まったその流れは、間接的に冷戦を終了させた。しかし、その後中国の台頭を抑えきれなくなり、今米中対立が深刻化している。これを打破するためにインドの力を頼めば、次はインドが挑戦者になるだろう。
西側社会のインドとの付き合い方、慎重に見ておく必要があるでしょうね。