Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

え!まだ使っていたんだ

 昨日、国内で始まることになる「憲法21条:通信の秘密」を巡る議論について紹介した。日本ではそうなのだが、SIGINTの先進国家米国では政府関係機関による、世界規模での諜報/防諜活動が継続していることは(詳細はともかく)周知である。

 

 中国は自国へのサイバー攻撃を分析し「その57%は米国からだ」と公表したこともある。当然対抗措置も考えているだろうし、米国もそれに備えようとしている。トランプ政権のHuawei/ZTE叩きや、昨今のTikTok騒動もその一環である。サイバー空間での主導権争いが、安全保障に直結するようになってきているのだ。そんな状況なのに、このニュースには驚きを禁じ得なかった。

 

ロシア大統領府、iPhone使用中止を当局者に指示=国内紙|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

 

        

 

 「え!まだ使っていたんだ」というのが、正直な気持ち。事実上欧米を相手にした戦争をしているわけだし、米国の諜報網については一段の警戒をしていると思っていた。かの国には、PRISMの存在を公表して亡命したスノーデン氏もいる。最近ロシア市民権も与えられたらしい。

 

 iPhoneに限らず大統領府中枢で米国製の電子機器を使えば、データを窃取されるリスクは当然あったはず。それなのに、これまで対策してこなかったのはどういうわけだろう。ウクライナ紛争の前にバイデン大統領が「ロシアの侵攻が迫っている」と世界に警告した。これはプーチン先生への「まるっとお見通しだよ。侵攻を諦めろ」とのメッセージだったと思う。その「お見通し」のソースは、大統領府からのSIGINTだった公算が高い。

 

 2019年にプーチン先生のPCがWindowsXPだとの報道があったが、彼が使っていたとは思えない。それはいいのだが側近に「情報源」がいるようでは、ロシアの今後は明るくない。そういえば北朝鮮将軍様スマホをお使いだとか、やはりお気をつけいただけますように。