先週ワシントンDCで開催された外務・防衛閣僚会合「日米安全保障協議委員会(2+2)」で、日本の反撃能力の効果的な運用のための日米協力が話し合われたという。どこにどう「反撃」するか、例えば北朝鮮の移動式ICBM発射台をどう叩くかについては、衛星情報含めた日米連携が必要と言うことで、結局C4ISRに関する能力共有をすることに至ったものと思われる。C4ISRとは、
・指揮 Command
・統制 Control
・通信 Communication
・コンピュータ Computer
・情報 Intelligence
・監視 Surviellance
・偵察 Reconnaissance
の頭文字を並べたもの。敵軍の意図や配置、作戦計画を知り、それをくじく「反撃」をするために、自軍のC4ISRを保持しつつ敵のC4ISR能力を削ぐのが現代戦の要諦である。これまで「闘わなくてもいい、平時の軍隊」だった自衛隊が、真の戦力として国益を守れるようにするには、C4ISR能力の向上が不可欠だった。
80年前に、帝国陸海軍に痛い目に遭っている米軍としては、日本の自衛隊に実戦能力を持たせることは両刃の剣。必要ない限り与えないつもりだった。しかしウクライナ紛争や米中対立を受けて、闘える日本軍を必要とするようになったのだろう。
今回の合意事項に「宇宙空間についても米軍の防衛義務」があることが含まれたという。C4ISRの確立に向けては、宇宙空間は(サイバー空間同様)重要な戦場。具体的なことは不明だが、例えばこの15年ほど中国が開発・配備を進めている対衛星兵器への対処があるだろう。
・直接上昇対衛星ミサイル(DAAM)
・同一軌道対衛星システム(COAS)
・指向性エネルギー兵器(DEW)
また、ロシアの「ツィルコン」に似た極超音速滑空飛翔体(WU-14)への対応の、日米連携で研究することになるかもしれない。
深まる日米連携は歓迎ですが、それなら「日米地位協定」の見直しなども、並行して議論して欲しいと思います。このまま「占領地扱い」では、真の「One Team」にはなりませんからね。