Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

米国議会の極右勢力

 昨年の中間選挙の結果、バイデン政権の与党民主党は上院では過半数をとったものの、下院は共和党に敗れた。ただ共和党の中も一枚岩ではなく、マッカーシー院内総務が下院議長に選ばれるまでには15回もの投票を必要とした。これは大恐慌時代の1929年以来のことだという。

 

 共和党の中の「フリーダム・コーカス」と呼ばれる右派勢力が、造反を起こしたための混乱だった。今回、米国政治に詳しい人から米国議会の内情を聞く機会があり、とても勉強になった。

 

・造反勢力は、元々小さな政府指向の「TEAパーティ」の流れを汲んでいる

マッカーシー自身がかなりの「風見鶏政治家」で信用がない

 

 なんとか下院議長に就いたものの、

 

・議会のキャスティングボートは「フリーダム・コーカス」が握った

・すでに多くの妥協(議長不信任ハードル下げ等)をして求心力なし

 

        

 

 の状況に追い込まれた。造反右派(極右も含む)は緊縮財政を求める。だからウクライナ支援にも「白紙小切手は切らない」といわざるを得ない。ただでさえ、対中国で軍事費は増えている。そもそも極左は軍事費削減を言うが、実は極右も税金増に繋がる軍事費削減を求める。ウクライナや台湾の危機について、米国は軍事費を増やし過ぎないで収めたいのだ。

 

 マッカーシー議長は「台湾公式訪問」が公約だが、これを実施しなければ右派などから袋叩きだ。かといって実施すれば、対中国に決定的な亀裂を生む。習大人はペロシ訪台の時以上の報復をしないと、国内が治まらない。

 

 トランプ政権からの「COVID-19」対策バラ撒きもあって、さしもの米国政府財政もピンチ、軍事費増は痛しかゆしだ。そうなると同盟国に負担を増してもらうしかない。だから日本のGDP比2%防衛費は大歓迎。本来日本に攻撃的な軍事力を持たせたくない米国としても、そんなことは言っていられなくなったのだ。

 

 これで、昨年末米国軍事系の高官が大勢首相官邸を訪れた理由が分かりました。日本人も米国議会の極右が何を言うか、注視している必要がありそうですね。