Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

大陸国家フランスゆえの判断

 G20の意義について疑問を持っていることを、何度かご紹介している。価値観もバラバラだし、主要国のひとつロシアが紛争当事国で制裁国や傍観国が入り混じっている状況では、大筋の合意など出来ようはずもない。国連安保理同様、ほぼ役目を終えたようにも思う。では今年日本が議長国のG7はどうか?

 

 民主主義・法の支配で結束していたかのように思えたのだが、ここに来て綻びが見えてきた。先週フランスのマクロン大統領が訪中、習大人は精一杯のもてなしをしたという。帰国した大統領は「欧州は米中どちらにも与しない」と発言、これにはいくつもの反発の声が上がっている。

 

仏大統領の台湾巡る発言、国際議員連盟が批判「欧州代表するものでない」 - ライブドアニュース (livedoor.com)

 

        

 

 G7ではロシアのウクライナ侵攻を非難し早期の停戦を求めることはいいとして、台湾海峡に代表される米中対立についても何らかのメッセージを出したかったはずだが、ちょっと難しくなったかもしれない。

 

 ウクライナ紛争と違い台湾海峡問題は、欧州には直接関係ない。衝突が起きることは、ただただ世界経済にマイナスなだけ。どちらにも与せず、中立の立場でコトを収めるというのはありうべき発想だ。

 

 ただマクロン大統領が訪中からこのような対中政策の転換を図った理由は、国内の財政問題があるような気がする。あれほどの国内混乱を起こしても年金改革(改悪?)をしなくてはならないほどだ。ウクライナ支援も、直ぐには止められない。

 

 遠くの問題には関わらないというのは、合理的にも見えるが「閉鎖的な大陸国家の思考」だと思う。英国と比較してもらえば、それは明白。フランスよりひどい財政問題・国内混乱を抱えながら、太平洋への関与は止めていない。これは「世界は海洋でつながっている」とする考えで、海洋国家英国の国是でもある。

 

 ナポレオン時代には、ロシアまでの欧州が全世界でした。当時よりずっと広くなった世界の現代に至っても、大陸国家は意識改革が出来ないのかもしれません。