Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デカップリングした島国の行方

 今年の(北半球の)寒波は、かなり厳しい。加えて先進各国でインフレが進みエネルギーコストが特に上がっていて、各種インフラが不安定になり、失業者・困窮者も増えている。

 

 中でもひどいのが英国で、暖房を付けるか食事をするかの選択を迫られている人もいて、凍死者が出る始末。直接的な原因は、人手不足や物価高騰なのだが、大元をたどっていくと、2016年に決めた「Brexit」に行き当たる。知らないうちに巨額損失が発生して、経済が死にかけているのだ。

 

英国経済、EU離脱で年1000億ポンドの損失-BEが試算 - Bloomberg

 

        

 

 年間16兆円もの落ち込みでは、社会の弱いところに軋轢が出るのは当たり前。前トラス政権は、減税&ばら撒きの施策で困窮者を救おうとして市場に「喝」を喰らった。確かに大陸諸国も苦しんでいるが、広すぎない海によって大陸と距離を取り、

 

1)ヒト、モノ、カネを流通させて経済を発展

2)文化、伝統等で気に入らないものは隔絶

 

 する「いいとこどり」をしてきた英国が、1項の流通まで制限されてしまった弊害は大きい。

 

 英国ミステリーを沢山読んだが、英国貴族がのうのうと暮らせるのは、大陸からの移民や出稼ぎ労働者が支えてくれていたから。それは形を変えても、21世紀まで続いてきた。大陸からの労働者が引き揚げた後の島国には、もう希望はないのかもしれない。

 

 翻って、ユーラシア大陸の反対側にある国。英国同様広すぎない海によって守られてきたし、恩恵を受けてきた。それが米中デカップリングの嵐に巻き込まれて、英国と同じハメになるのではとの危惧がある。英国以上の対GDP国債を抱えているわけでもあるし。

 

 軍事外交の専門家に「空理空論の外交安全保障論」と叩かれる共産党議員だが、一つだけ「ASEANとの関係強化」という意見には賛成する。ただその場合、十分な移民受け入れとセットでないと、いずれ英国の轍を踏むように思います。共産党さんも含めて、移民拡大政策の議論をしてくださいよ。