Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

エイブラムス対T-72

 先月、ドイツのショルツ政権が重い腰を上げ、ついに<レオパルト2>のウクライナへの供与を発表した。再三表明していたように「英米が先に決めてくれれば、三番手として供与するのはやぶさかではない」というわけ。英国はいち早く<チャレンジャー2>の供与を決め、米国も<エイブラムス>をウクライナに送ると表明した。

 

ウクライナが求める西側MBT - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 「本格攻勢に転じるために近代的なMBTが必要」との現場の声も分からないではない。ただ、あれこれいろいろな国のMBTが集まってきても、運用・整備が本当にできるのかとの疑問がある。

 

 第二次欧州大戦初期、早々に降伏したフランスだが、実は戦闘機保有量はドイツを上回っていた。ただ兵器産業に甘かった当時の政権は、7つの航空機会社から調達を続けた。操縦士や整備士は慣れた機種にしか対応できず、あちらで機材不足、こちらで操縦士、整備士不足が発生した。その結果、ほぼ全てをBf109に統一していたドイツ空軍に駆逐されてしまった。

 

        

 

 また<エイブラムス>には、航空燃料を使う独自の駆動系や、独特の滑腔砲の武器体系という課題もある。多分ウクライナ軍は、

 

・主力部隊に<レオパルト2>を配備

・ある種の特殊な用途に<チャレンジャー>と<エイブラムス>を集中配備

 

 するのだろう。上記の記事で指摘した、各MBTの60トンを超える重量も問題である。ただし、これらのMBT旧ソ連の戦車と対峙した時の優位性は疑いがない。32年前の今月、イラク湾岸戦争最大の戦車戦が行われている。

 

イラク軍 精鋭の大統領警護隊T-72戦車、50両

多国籍軍 エイブラムス(M1A1)戦車、20両

 

 が交戦し、45分間でT-72の半数が撃破されてイラク軍は潰走した。多国籍軍側に、行動不能になった戦車も、戦死者もなかった。

 

 改良型のT-90でも、西側MBTに太刀打ちはできないでしょう。さて、プーチン先生はどうしますかね。