Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

白ナイルと青ナイルの合流点

 アフリカで、3番目の広さの国土を持つ国スーダン南スーダンの分離前はもっと大きな国で、国力もあった。しかしこのところの度重なる内戦やクーデターで、5,000万人近い国民の多くは貧困にあえいでいる。

 

 さらに今月起きた事実上の内戦は、国連などの援助に頼っている人たちを人質に取った形で進んでいる。クーデターで政権を奪取した軍部に対し、その協力者でもあった純軍事組織「即応支援組織:RSF」が戦いを挑んでいる。要は仲間割れということ。

 

    

 

 公館や支援団体などに所属する邦人も60名ほどは現地に残っていて、首都ハルツームでも激戦が伝えられる状況ゆえ救出する必要がある。一昨年アフガニスタンからの邦人救出については、付近まで行きながら自衛隊はミッションを果たせなかった。今回も、ジプチまでは行って準備をするとしても現地に入れるかどうかは不透明。なにしろ、首都の空港が戦闘状態で閉鎖されているのだから。

 

 スーダンという国に行ったことはないが、少しの縁はある。大学院の学生だった時、研究室にスーダンからの留学生がいた。スーダン大学で助手を務めているという優秀なデジタル研究者で、精緻な制御理論を展開してくれた。僕はその理論をコンピュータシミュレーションで実証する役割だった。

 

 アフリカ系の人、イスラム教徒、いずれも会ったのは初めて。お酒が飲めないことや豚肉を食べられないことなど「そういうものですか」と驚くばかりだった。そんな彼も何度目かの内戦に巻き込まれ、行方不明になった。知識人を皆殺しにするという政権もあったことから、すでに亡くなっているものと思われる。

 

 「首都ハルツームってどんなところか」と聞いたことがある。「白ナイルと青ナイルが合流する、美しい街だ」と彼は答えた。TVニュースでハルツームの映像が映るたびに、その言葉を思い出す。断続的に何十年も続く内戦を止めることは、誰にもできそうもありません。残念。