Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国際情勢

民主主義の危機

ひょっとすると秋には総選挙があるかもしれないと思ってだろうか、各政党の動きが慌ただしい。特に野党幹部の「舌戦」がメディアを賑わせているのだが、政策論でないのが気になる。 立憲・泉氏、維新・馬場氏の共産への発言批判 「民主主義の危機」 | 毎日新…

氷が溶けて・・・海流が止まる

この7月は、史上最も暑い夏になったという。カナダでもギリシアでも山火事が多発。炎に巻き込まれたり、熱中症で亡くなる人が相次いだ。米国のデスヴァレーで55度近くになったのを始め、各所で40度越えの日々が続いた。日本も確かに暑い、しかし40度を越え…

ロシア人スパイ網の役割

ウクライナ軍の反撃は、当初の予想よりは遅れているとの見方が多い。しかし、ウクライナの軍事組織そのものがそうだったように、スラブ民族の守りに入った時の粘りは強力だ。防衛線を固める時間も十分にあったので、そう簡単にアゾフ海まで進撃することはで…

穀倉地帯ウクライナの地政学史

ウクライナの国旗は、上半分の青が雲一つない晴天、下半分がたわわに実った小麦畑を表している。世界でも有数な穀倉地帯であるウクライナは、欧州はもちろん中東からアフリカ諸国の胃袋を支えてきた。それが昨年来のロシアからの侵攻によって、特に穀物の輸…

既定路線だったクラスター弾供与

「非人道的な兵器」と非難されるものは、いろいろある。まあ、人道的な兵器を探すのが難しいから、そんなものは一杯あるはず。第一次世界大戦のころは、米軍が使用したショットガンをドイツは非人道的と非難した一方、ドイツ軍のサブマシンガンを米国は同様…

もはや「兵器」と化した難民

先の通常国会で可決された「改正入管法」。難民申請を繰り返しているうちは送還できなくて、コストもかかるし待遇も不十分の状況を変えることになるだろう。これに対しては非人道的との非難もあるが、ずっと居座られても困るとの世論も多い。 フランスの移民…

玉城知事の危険な訪中

先週、沖縄県知事の玉城氏が訪中をした。習政権は異例の厚遇を持って、沖縄県知事施設を迎えたという。先日米国の部臨検国務長官やイエレン財務長官が訪中した時の冷遇と、明らかな差が見られた。 習政権、沖縄知事を厚遇 米軍念頭に関係強化―中国:時事ドッ…

プリゴジン人気の理由

ベラルーシに匿われた(軟禁されたとの説もある)「ワグネル」創業者プリゴジン氏であるが、ロシア国内での人気は衰えていないようだ。事件前の調査だが、来年の大統領選挙でどの候補に投票するかで、5%の支持を受けたということだ。もちろん、これが、 ・…

人種問題、移民問題

「プリゴジンの乱」の余波とウクライナの反転攻勢の報道の陰で見過ごされがちだが、フランスの暴動は大きな騒ぎになっている。きっかけは、アラブ系の少年が車で逃走しようとした(諸説あり実態不明)ところ、警官に射殺されたという事件。米国のBLM運動と同…

核のボタンの持ち主

G7広島サミットは、多くの識者によると成功だったとのことだし、僕もそれに賛同する。しかし批判的な人も少しはいて、 被爆者団体が広島サミット批判 | ロイター (reuters.com) のように、被爆地広島でサミットをしたというのに「核軍縮の行動声明は核廃絶か…

線路の幅という障害

先月のG7交通大臣会合で、ウクライナ復興を各国が支援することの一環として、鉄道の線路の幅をロシア仕様から欧州仕様に替えて轢きなおすことが決まった。これは地味な話だが、ウクライナを「西側」に引き入れる意味で、NATO入りほどではないが大きなインパ…

中国を去る外国人

明日から中国で「反スパイ法」が施行される。これまでも習政権に都合の悪いことをしている人には、何らかの罪を着せて投獄するというのは常態化していた。そのようなことが、より広範囲にできるようになりそうだ。 もちろん日本と違いスパイ防止の法律はあっ…

ロシアのサイバー攻撃関連情報

もちろん、以前から噂はあった。ロシアが国家的に関与して、特に「西側」諸国にサイバー攻撃をかけているということは、まずは常識である。直近に読んだ書籍でも、 21世紀、ロシアの謀略・工作 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp) のように、GRUやFSBが独自のサイ…

モスクワまであと200km

週末、ウクライナ~ロシア情勢が大きく動いた。ウクライナ側の反転攻勢は、やはり防御に強いロシア軍(これはウクライナも同様)の抵抗に遭って、西側の評論家たちが思っていたほど進んでいない。しかし、ロシア(≒プーチン)の真の敵はロシア内にある。それ…

繰り返さないこと・・・が秘訣だが

かつて職場の上司に奇術の得意な人がいた。泡坂妻夫というミステリー作家は奇術者としても有名だった。上司と呑んでいてその話になったら「あ、良く知っているよ」との返事。奇術の世界も狭いようだ。ミステリーと奇術の共通点について話し合っていて、僕が…

ミスディレクションに思える論説

ザポリージャ州あたりでウクライナ軍の反撃が始まり、恐らくはアゾフ海へ向けて進軍していると思われる。この部分を分断すれば、ヘルソン州含む東部戦域へのロシア軍の補給はクリミア大橋経由か海路によるものに限定される。ただロシア側は、 ・ウクライナ側…

ウクライナ復興がもたらすもの

ドニプロ川にある巨大なダム<カホフカダム>が決壊して、流域で広範に洪水が起きている。1941年の独ソ戦のおりにも、この地区でソ連軍がダムを破壊し、ドイツ軍の侵攻を喰い止めようとした。ソ連市民数千人が犠牲になったともいう。誰がやったのか、現時点…

祝100歳、インテリジェンスの妖怪

先月、ヘンリー・キッシンジャー博士が100歳の誕生日を迎えた。表舞台にこそ立たないが、報じられる一言一言が深い意味を持っていると感じる。<タイム誌>は、 「現在の、真に多極化した世界において、キッシンジャー氏の現実的なアプローチがこれまで以上…

ペリリュー島の地政学的価値

久しぶりにこの島の名前を聞いた。パラオ諸島の中心地ペリリュー島。第一次世界大戦以前は、ドイツ(第二帝国)の委任統治領。大戦後大日本帝国の領土となり、大規模艦隊根拠地としてのトラック諸島と同様、帝国海軍の太平洋進出の要となった島だ。そこに、8…

実戦でしか得られないもの

先週、ロシア軍がキーウ近郊に「飽和攻撃」と思われるミサイル攻撃を加えた。これは一斉に大量のミサイルを集中させて、防御側の処理能力(探知・追跡・迎撃軌道計算・迎撃)を越えさせるというもの。報道によると、この時使用されたのは、 ・極超音速ミサイ…

渋谷の巨大IT企業を訪問し

昨年末、誰もが知っている巨大IT企業の人が来日したランチ会合のことを紹介した。今回は、また別の巨大IT企業からの朝食会合のお誘いである。先方の条件は4名まで、通訳なしというもの。サイバーセキュリティの専門家として、知り合いの某大学教授と人材育…

クリミア半島奪回作戦

クライナ紛争は、この1~2ヵ月の間に節目を迎えようとしている。各レベルでのシミュレーションゲーマーとしての論点は、 ◆戦略級 ロシアの内部分裂しか、早期の停戦・終戦はあり得ない。中国が仲介するのか、プーチン政権が倒れるのか、核戦争にエスカレー…

朝鮮半島の非核化・・・は夢

「外交の岸田」という看板が、支持率向上に役立っている。普通は外交は票にならないのだが、今の政権には当てはまらないらしい。日本の市民が外交をより重視してくれるようになっているのなら、それは嬉しいこと。 先週総理は、アフリカ4か国を歴訪。帰国し…

スーダン支援は可能なの?

事実上の内戦に陥ったスーダンからの邦人救出は、負傷者ゼロで完遂した。自衛隊機による初めての救出劇は、上手くいったと言えるだろう。憲法論議の際に自衛隊を憲法違反といっていた人たちは、今回のミッションは自衛隊以外の誰ができたというのだろうか?…

ウクライナ紛争の停戦提案

ウクライナ紛争は長期化している。主力戦車も揃ってきて、ウクライナ軍が反転攻勢に出ると伝えられる。ゼレンスキー大統領は、反撃時期については言えないとしながらも「近い」と言っている。一方で彼は「ロシアとの戦闘は何十年も続く可能性がある」とも言…

サイバーセキュリティの黒子企業

この日は、やや陰鬱な曇り空の下、東京駅八重洲北口の「シャングリ・ラ東京」までやってきた。明日から2日間、あるサイバーセキュリティ企業のオンラインイベントがあり、今日はお得意様企業を集めた前夜祭的会合である。そこでお話をさせてもらうことにな…

白ナイルと青ナイルの合流点

アフリカで、3番目の広さの国土を持つ国スーダン。南スーダンの分離前はもっと大きな国で、国力もあった。しかしこのところの度重なる内戦やクーデターで、5,000万人近い国民の多くは貧困にあえいでいる。 さらに今月起きた事実上の内戦は、国連などの援助…

大陸国家フランスゆえの判断

G20の意義について疑問を持っていることを、何度かご紹介している。価値観もバラバラだし、主要国のひとつロシアが紛争当事国で制裁国や傍観国が入り混じっている状況では、大筋の合意など出来ようはずもない。国連安保理同様、ほぼ役目を終えたようにも思う…

イデオロギー対立では解決しない

G7はいわゆる「西側」諸国ばかりだからいいのだが、G20となると中国やロシアが入って来るし、サウジアラビア(サウジ家のアラビア)のような国もいる。さらに国連では<グローバル・サウス>諸国の発言権も高まっていて、中露が安保理常任理事国だという以上…

欧州のストライキと日本の市民

欧州が揺れている。もちろんウクライナ紛争が理由のひとつではあるが、問題はむしろ内政にあるようだ。直接戦禍の及ばない市民にとっては、軍事・外交よりも目の前の雇用・賃金・年金・保険・物価が大事。EUの中でも比較的豊かな国である、ドイツ・フランス…