Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

習大人の人質作戦と関連報道

 先週、急遽林外務大臣が訪中した。日中韓の懸案事項山積みの状況なので、外相クラスの交流があるのはいいことである。半導体関連製品/技術の輸出厳格化などで対中包囲網が敷かれつつあるし、もちろん八重山諸島自衛隊のミサイル部隊が展開しているのも習大人には気に入らないはず。

 

 その意趣返しでもあるまいが、アステラス製薬の日本人社員がスパイ容疑で逮捕されている。今回の林外相の訪中も、一部メディアは「人質救出」というし、ある評論家は「交換条件に厳しいことを呑まされるのでは」と危惧を表明した。結果は、何も変化は見られない。すると反中系の読売新聞が、こんな記事を載せた。

 

中国、スパイの定義を拡大へ…「反スパイ法」改正進め、「運用は当局の次第」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

 日本でも対抗上「反スパイ法」を作れという主張の新聞だからだろうが、中国の動きをこのように報じた。

 

        

 

 ただここに挙げられた例は5件だけ、文中では「少なくとも17名」と言っているのだが、その罪状や服役状況は分からない。一説では定常的に中国に暮らしている邦人は10万人いるというが、実態はもっと多いはず。それがスパイ容疑と明確になったものだけとしても、8年間で5人というのは少なすぎないだろうか?

 

 なぜかというと、中国では「法律は人民を保護するものではなく、当局が取り締まるための都合のいいツール」というのが定説だからだ。この記事にいう「反スパイ法の改正」などなくても、目を付けたターゲットは(どんな理由を付けてでも)拘束できるはず。それを今さら強化しようというなら、それは国内外(ひょっとしたら特に国内)へのメッセージだと思われる。一方この新聞記事も、国民に向けたメッセージ色が強い。

 

 もちろん僕は日本でも「スパイ防止法」は必要だと思うのですが、「あちらがやっているからウチも」の理屈ではなく、その必要性をちゃんと国民に説明して欲しいです。