Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

軍事史への招待

単なる大統領の別荘・・・ではない

先週末、日米韓三ヵ国首脳会議が、米国メリーランド州キャトクティン山岳地にあるキャンプ・デービッドで行われた。極超音速ミサイル迎撃技術の共同開発や、台湾海峡の安定・北朝鮮の非核化・ウクライナ支援などが議論され、一定の成果を挙げたと伝えられる…

穀倉地帯ウクライナの地政学史

ウクライナの国旗は、上半分の青が雲一つない晴天、下半分がたわわに実った小麦畑を表している。世界でも有数な穀倉地帯であるウクライナは、欧州はもちろん中東からアフリカ諸国の胃袋を支えてきた。それが昨年来のロシアからの侵攻によって、特に穀物の輸…

既定路線だったクラスター弾供与

「非人道的な兵器」と非難されるものは、いろいろある。まあ、人道的な兵器を探すのが難しいから、そんなものは一杯あるはず。第一次世界大戦のころは、米軍が使用したショットガンをドイツは非人道的と非難した一方、ドイツ軍のサブマシンガンを米国は同様…

モスクワまであと200km

週末、ウクライナ~ロシア情勢が大きく動いた。ウクライナ側の反転攻勢は、やはり防御に強いロシア軍(これはウクライナも同様)の抵抗に遭って、西側の評論家たちが思っていたほど進んでいない。しかし、ロシア(≒プーチン)の真の敵はロシア内にある。それ…

AI時代の交戦規則は?

ウクライナ紛争は、後年「ドローンの戦争」と呼ばれるかもしれない。主力戦車が揃ってきて、ウクライナ軍の反転攻勢が近いと言われるが、それに先立ってウクライナ軍のロシア軍後方での工作が激化している。 先月、クリミアの石油施設を攻撃し、ドネツクでも…

祝100歳、インテリジェンスの妖怪

先月、ヘンリー・キッシンジャー博士が100歳の誕生日を迎えた。表舞台にこそ立たないが、報じられる一言一言が深い意味を持っていると感じる。<タイム誌>は、 「現在の、真に多極化した世界において、キッシンジャー氏の現実的なアプローチがこれまで以上…

ペリリュー島の地政学的価値

久しぶりにこの島の名前を聞いた。パラオ諸島の中心地ペリリュー島。第一次世界大戦以前は、ドイツ(第二帝国)の委任統治領。大戦後大日本帝国の領土となり、大規模艦隊根拠地としてのトラック諸島と同様、帝国海軍の太平洋進出の要となった島だ。そこに、8…

実戦でしか得られないもの

先週、ロシア軍がキーウ近郊に「飽和攻撃」と思われるミサイル攻撃を加えた。これは一斉に大量のミサイルを集中させて、防御側の処理能力(探知・追跡・迎撃軌道計算・迎撃)を越えさせるというもの。報道によると、この時使用されたのは、 ・極超音速ミサイ…

2つの空間でのテクノロジー戦

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ紛争は西側から仕掛けられたものだと言い続けている。表立っているのは確かにウクライナ兵(ネオナチ?)だが、実際は西側、特に米国と交戦している祖国防衛戦だとして、市民を鼓舞している。 当然西側各国の主張は違う…

クリミア半島奪回作戦

クライナ紛争は、この1~2ヵ月の間に節目を迎えようとしている。各レベルでのシミュレーションゲーマーとしての論点は、 ◆戦略級 ロシアの内部分裂しか、早期の停戦・終戦はあり得ない。中国が仲介するのか、プーチン政権が倒れるのか、核戦争にエスカレー…

第二次世界大戦の亡霊

ウクライナ紛争は膠着状態に入っている。ロシア軍がかなりの兵力を投入したバフムト周辺の戦いも、寡兵のウクライナ側が良く守り、ロシア軍の士気が上がらないこともあって目に見える戦果はないようだ。 両軍ともあらゆるものを前線に送り出し、ウクライナ軍…

最強のインテリジェンスサービス

昨年末ころ、総理官邸に米国の有力な軍事・インテリジェンス関係者が大勢出入りしているとの噂はあった。ウクライナ紛争や米中対立で、国内にも「戦争が起きるかも」との危惧があり、米国としても日本を経済だけでなく軍事でもパートナー化したい思惑が出て…

ロシア軍の新鋭AFV(後編)

それでは、2種類のロシア軍新鋭AFVのスペックを見てみよう。 ◇T-14 乗員3名、重量55トン、最高速度90km/h、主砲125mm滑腔砲、重機×1、機銃×1 2015年の戦勝パレードで初お目見えしたAFVで、ソ連時代以降初めて50トンを超えた戦車である。最大の特徴は無人…

ロシア軍の新鋭AFV(前編)

ウクライナへの西側MBTの供与が決まり、新鋭戦闘爆撃機以外の通常兵器が続々かの地にやってくる。これに対してロシア軍は第一次世界大戦当時の重機関銃や、骨董品のT-62戦車などを引っ張り出して応戦するという。ではロシア軍に新鋭AFVはないのかと言えば、…

エイブラムス対T-72

先月、ドイツのショルツ政権が重い腰を上げ、ついに<レオパルト2>のウクライナへの供与を発表した。再三表明していたように「英米が先に決めてくれれば、三番手として供与するのはやぶさかではない」というわけ。英国はいち早く<チャレンジャー2>の供…

ウクライナが求める西側MBT

「ドイツが<レオパルト2>の供与を決めるかどうか?」国際ニュースは連日この話題を報じている。欧州(西側)諸国の標準的主力戦車(MBT)のことなのだが、すでに「戦車の世紀」は終わったと思っていた僕としては、やや意外な状況。軍事の関係者か、はたま…

やはり兵器の実験場に

厳寒のウクライナ戦線、東部ではロシアの民間軍事会社<ワグネル:ワーグナーのロシア語読み>が攻勢に出て、要衝バフムートの北部で激戦が起きている。米英も傭兵として民間軍事会社を採用しているが、主な任務は警備や物資輸送。最前線で闘う民間企業とい…

C4ISRの日米連携

先週ワシントンDCで開催された外務・防衛閣僚会合「日米安全保障協議委員会(2+2)」で、日本の反撃能力の効果的な運用のための日米協力が話し合われたという。どこにどう「反撃」するか、例えば北朝鮮の移動式ICBM発射台をどう叩くかについては、衛星情…

在東京の統合司令本部2027

映画「トラ・トラ・トラ」の中に、近衛内閣の首脳会合で海軍大臣が「米国が太平洋艦隊司令部を西海岸からハワイに移した」と警告するシーンがある。日米関係が緊張する中、米政府が本気になって、 「日本ののど元に匕首を突き付けたようなもの」 というわけ…

日米関係が試される今年

今週、岸田総理が初の訪米、バイデン大統領とサシで会う。この会談は、いずれも国内政局を抱えた両首脳にとって、重要な意味を持つと思う。 ◇米国 中間選挙の結果、下院の過半数を野党共和党が獲ったのだが、いざ議長選出にあたり共和党内分裂が起きて大混乱…

NATOのサイバー研究機関

先週、米国の巨大IT企業セキュリティ責任者から聞いた話を紹介した。ロシアのウクライナ侵攻に対して、ロシアの攻撃に対する防御「戦闘」を民間企業ではあるが実施したという。今回は同じテーマを、NATOのデジタル研究機関の人から聞くことができた。今年のN…

たった一人の「愛国者」

先週、ウクライナのゼレンスキー大統領が米国を電撃訪問、バイデン大統領と会談し議会でも演説を果たした。戦時下の首脳が米国議会で演説したのは、第二次世界大戦時の英国チャーチル首相以来のことという。 ゼレンスキー氏はこれまでの米国など西側の支援に…

本気のサイバー防衛体制構築

防衛費GDP2%議論が盛んである。岸田総理からは具体的に「2027年度に1兆円不足になり、増税で賄う」主旨の発言があった。これには、 ・中身を詰めないで金額ありき ・増税は市民に理解されない、国債という選択肢もある などと議論百出である。僕も2%に…

16,000人のプラスセキュリティ人材

「プラスセキュリティ人材」という言葉は、あるシンクタンクの研究者が言い出したもの。5年余り前、経産省が「19万人のサイバーセキュリティ人材が不足する」という調査報告を出した。でも<NCIS>のマクギー捜査官のように、高度なクラッキング能力を持つ…

マインドコントロールを考える

政府が閣議決定した「旧統一教会被害者救済法案」だが、やはり評判が良くない。マインドコントロール下にある被害者は、困惑などせず進んで致命的な寄付も行ってしまう。このような被害を防いだり、取り返せないと被害者救済にはならない。むしろ「統一教会…

デジタル天安門への道

異例の三期目に入り、もはや現代の皇帝として揺るがぬ体制を築いたと思われた習大人。抗議の声は上がるものの、ミャンマーやイランで起きているような大規模抗議集会に発展するはずはないと、僕は思っていた。ところが、先週末に、ウイグル・上海・北京など…

14億回/年に及ぶ攻撃下の選挙

僕の所属している団体では、以前から台湾工業技術研究院(ITRI)との交流があり、台湾とのサイバーセキュリティ関連情報交換や日台産業間の連携の議論をしている。ITRIは中華民国政府の経済部に所属する、台湾最大の産業技術研究開発機構だ。ルーツは1936年…

兵器博物館にようこそ

先週、米軍の次世代戦車、機動戦闘車のハイブリッド化の話題を紹介した。今日は、それとは真逆の話。ウクライナ戦線でのロシア軍の兵器不足は、本当に深刻なようだ。強制的に徴兵された兵士には、ライフルも弾薬も手榴弾も満足に与えられていない。まともに…

戦車も機動戦闘車もハイブリッド化

ウクライナ戦線では、新米ロシア兵が戦闘車両(AFV)を捨てて逃走したり、AFVを手土産に投降することが多発しているらしい。<ジャベリン>や自爆型ドローンに狙われたら、いかに前面装甲の厚い戦車でも生き残れない。戦車兵の訓練も士気も十分ではないよう…

都市攻撃の次に来るもの

プーチン先生が自らトラックを運転して、竣工したばかりの橋を渡った。ロシアからクリミア半島へ、アゾフ海の出入り口である海峡にかけた<クリミア大橋>である。第二次世界大戦でも、ドイツ軍がこの海峡を渡って進撃、のちに撤退しているところだ。2014年…