先週、ロシア軍がキーウ近郊に「飽和攻撃」と思われるミサイル攻撃を加えた。これは一斉に大量のミサイルを集中させて、防御側の処理能力(探知・追跡・迎撃軌道計算・迎撃)を越えさせるというもの。報道によると、この時使用されたのは、
・極超音速ミサイル<キンジャール> 6発
・地上発射型巡航ミサイル 6発
・潜水艦発射型巡航ミサイル 6発
だった。ウクライナ側はこの全てを迎撃したと発表、一方ロシア側は目標としていた防空システム<パトリオット>を破壊したと言っている。<パトリオット>が何らかの損傷をしたのは確かのようだが、これがミサイルによるものか(過負荷による)故障かは定かでない。やはりロシアは、たった1基の<パトリオット>が目障りだったらしい。
一方の西側、阻止できないとされていた<キンジャール>を全部墜としたのは大戦果である。
極超音速キンジャール6発を撃ち落してわかった、ロシア核はそんなに怖くない|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
の記事にあるように、ロシアの戦術核ミサイルは阻止できるとの自信を付けた。1発なら偶然もあるが、6発ならかなり確実なデータだ。
兵器は使ってみて、使い込んでみて初めて真価が分かる。試作品がロールアウトしたばかりのカタログスペックでは、実戦で役立つかどうかは判断できない。第二次世界大戦以降、核やミサイル兵器は急速な成長を遂げた。その実証は、まだ不十分といえる。ロシア軍が本気になればなるほど、ウクライナの地で得られる実戦データが増える。不幸なことだが、これが他の地(例えば極東)での戦争抑止(*1)に繋がってくれる希望はある。
ただ、まだ戦術核までのお話。プーチン大統領自慢の多弾頭戦略核ミサイル<サルマト>については、実戦報告は(当然だが)ありません。戦略核に触れていない上記Newsweekの記事「ロシアの核は怖くない」のタイトルはちょっとミスリードだと思います。