Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

アウディイウカの激戦

 すっかりガザ地区の紛争(イスラエル軍の特別軍事作戦!)に目を奪われて、ウクライナ戦線の情報が少なくなっている。攻勢に出ているはずのウクライナ軍だが、主目標のトクマク正面の攻防戦の情報は、まるきりない。ATACMSなど長距離兵器は確かに活躍していて、ロシア軍の航空基地や補給源に痛打を与えているとはいうのだが・・・。

 

 逆に東部ドネツクアウディイウカでは、ロシア軍が大攻勢をかけている。地図を見ると、戦線でロシア側の突出した街でロシア軍は町の北西、南西から進撃して街を包囲しようとしているようだ。

 

 ウクライナ軍もロシア軍も、自分に都合のいい発表しかしないので、本当にどうなっているかは分からない。ただ情報の少ないロシア側にも、<軍事ブロガー>なる情報源があって、ある程度は推測ができる。

 

    

 

・ロシア軍は続々兵力を投入しているが、進撃は思わしくない

・1日で900人、1週間で5,000人以上を失っている

・ロシア軍兵士は数週間、ほとんど補給を受けていない

・半世紀以上前の装甲兵員輸送車や、急造・現地改造兵器も使っている

 

 ロシア軍主力の砲兵についての情報はないが、面で制圧する砲撃なしのロシア軍の攻勢など考えられないので、多分北朝鮮から入手した砲弾を使っているのだろう。砲撃後の戦車や装甲兵員輸送車の進撃は、地雷原(決してロシアだけの得意技ではない)などでうまくいっていない。

 

 なぜロシア軍はこの街を狙っているのかと言えば、

 

・トクマク方面の間接的支援

・州都ドネツクに近い(10km余)拠点だから

・泥濘期前に何らかの「戦果」を挙げないといけないから

 

 くらいが思いつく。多分最後のものが動機として一番大きいのだろう。要は来年3月に大統領選挙を控えた、プーチン先生の政治的要求である。

 

 幾たびか繰り返された「政治による無謀な闘いと、その犠牲者」という現場を、21世紀になっても見ることになろうとは、戦史愛好家としてはとても残念な気持ちです。