Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

穀倉地帯ウクライナの地政学史

 ウクライナの国旗は、上半分の青が雲一つない晴天、下半分がたわわに実った小麦畑を表している。世界でも有数な穀倉地帯であるウクライナは、欧州はもちろん中東からアフリカ諸国の胃袋を支えてきた。それが昨年来のロシアからの侵攻によって、特に穀物の輸送に支障をきたしている。

 

 すでにクリミア半島はロシアに実効支配されていたし、マリウポリなどアゾフ海寄りの港も失った。主要港で残っているのは、黒海有数の港町オデーサだけ。そこからの輸送船もロシアの攻撃にさらされる危険があった。

 

 国連とトルコの仲介でロシアとウクライナが「穀物輸出合意」を昨年成立させ、なんとかソマリアなど国の食糧危機は回避されていた。しかし今月ロシアが合意を破棄、再び食糧危機の怖れが出てきた。クリミア大橋が攻撃されてプーチン政権が怒ったとの見方もあり、合意破棄通告と同時にオデーサへのミサイル攻撃も始まっている。

 

    

 

 ウクライナの地は穀倉地帯ゆえ、何度も紛争に巻き込まれてきた。

 

粛清と虐殺に明け暮れた独裁者 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 1932年にはソ連邦の一部だったが、独裁者スターリンが自らの失政で食糧危機を招くと、ウクライナの地域から強制的に食糧を徴発した。この時、ソ連邦全体の餓死者は700万人だったが、うち500万人はウクライナ人だった。

 

 1941年、ナチスドイツが侵攻してくると、スターリンに恨みを持つ人たちがドイツ側に付いて参戦した。その数100万人と言われる。それもドイツが劣勢となると、再びスターリンの軍隊に踏みにじられてしまった。

 

 スターリンは、勝つためには何でもした独裁者。彼を尊敬するプーチン大統領も、難民を兵器化したり、食糧を盾にした戦術を駆使してくる。国連安保理も全く無力、黒海での穀物輸送合意破棄だけでなく、シリアへの人道支援も打ち切られてしまった。

 

安保理でロシアが拒否権行使、シリア人道支援延長できず…13か国賛成・中国は棄権 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

 さて、このクライシス、何時まで続くのでしょうか?