Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

勇気は必要ない・・・

 ウクライナの反転攻勢に関する映像が、連日BSニュースで流れてくる。欧州各国のメディアが前線に近いところに出ているようだし、ウクライナ軍自体が映像を撮ってメディアに流したり、直接SNSで公開している。さすがに撃ち倒されるシーン(例:ロバート・キャパのスペイン内戦の写真)はないが、アサルトライフルを撃っていると近くで迫撃砲弾が炸裂する映像もあった。おそらく兵士のボディカメラの映像だろう。

 

大戦が破壊した欧州の精神構造 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 で紹介した書「戦争の世紀」桜井哲夫著によれば、第一次世界大戦に登場した殺りく兵器の前で、塹壕に籠り怯えるだけの兵士像が明らかになり、それまでの「華々しい軍隊の闘い」のイメージが崩れたとのこと。

 

        

 

 それから100年余、いくつかの殺りく兵器は禁止(*1)されたものの、最前線の恐怖はより増しているだろう。ある元陸将とサイバー空間でのリスクマネジメントについて話をしていて「経営者にもリスクに対応する勇気が要りますよね」と軽く言ったら、一喝されてしまった。

 

・自分は戦闘部隊の指揮官で、パイロットでもあった

・部下にしたくないのが「勇気」のあるやつ

・多くの情報を得て正しく状況を分析し、作戦行動を判断する

・その段階までは「勇気」は必要ないし、邪魔になる

 

 とのことだった。今サイバー区間で増している脅威について、情報を収集し正しく自社の置かれた状況を分析し対策を練る。この過程では冷静さこそが重要で、勇気は邪魔だというわけ。なるほど「出たとこ勝負でいってしまえ」という蛮勇は、確かに害悪だ。

 

 それでも「情報を得て状況を分析し、対策を決めても、もし間違っていたら・・・」と迷うことはあるでしょうと聞くと「まあそうだな」との答え。最後の心理バリアである迷いを払拭するのは、やっぱり勇気ですよね。100%正しい判断は、あり得ないのですから。

 

*1:毒ガスなどの生物・化学兵器など