改めて、ロシア・ウクライナ戦争は「ドローンの戦争」と歴史家が銘打つだろうと感じた。連日のようにモスクワの中心地、クレムリン周辺を襲うウクライナ軍(もしくは自由ロシア軍)のドローン攻撃に加え、ロシアの黒海沿岸の港湾ノボロシースクでのロシア揚陸艦に対する水上ドローンの攻撃映像を見たからだ。まるで、モーターボート特攻艇「震洋」の突撃シーンを見たようだった。
ウクライナによる黒海へのドローン攻撃、戦闘のエスカレートを示唆 - Bloomberg
80年程前、海軍力の象徴だった戦艦や巡洋戦艦が、より小型で安価な航空機とそれを運用する航空母艦によって駆逐された。その後航空機も大型化、それを運用する航空母艦も大型化しかつての戦艦の倍ほどのトン数になった上に、ずっと高価になった。いつかはもっと安価な兵器に駆逐され海の王者の代替わりが起きると思われたのだが、もうじき1世紀が経とうとしている。
ようやく代替わり期が来たと、この映像は教えてくれた。10年後には米国の誇る機動部隊や、中国が(負けじと)整備しつつある艦隊などは、ただの大きな的になっているような気がする。機動部隊の迎撃範囲外から大型機(*1)が無数の空中ドローンを放ち、潜水艦に搭載された水上/水中ドローンが近距離から艦隊中央の空母を襲う・・・そんなシーンが見られそうだ。
だからこれから大型艦を竣工させるなど、軍事費の無駄遣いといってもいい。ドローンの開発はもちろんだが、それらが十分機能するためのサポートシステムにこそ投資する必要がある。その代表的なものはセンシング能力、衛星も含めて敵情をリアルタイムに精度よくセンスできればドローン等の生存率や攻撃精度も上がる。
せっかくのGDP2%枠までの軍事費が使えそうなのだから、是非高価な兵器に囚われず、次世代の戦力充実に遣ってください。よろしくお願いします。
*1:B-52でもB-1Bでもいい。ひょっとするとHo229のような無尾翼機が出てくるかも