Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「忘れられれば撃破されよう」

 これは、北アフリカ戦線で闘うロンメル将軍がメディアに語った言葉と伝えられる。本来ソ連戦線に回したい資源をアフリカに回してもらうには、ドイツ市民に注目されていないといけないという意味だ。そのため、ロンメルはメディアを巧みに利用してヒトラーだけではなく、世論にも訴えかけ続けた。

 

 ロシアの侵攻に抵抗するウクライナのゼレンスキー大統領が、欧米各国にアピールするのも同じ考えだ。先週、もうひとつパレスチナ武装組織ハマスが同様の名乗りを挙げた。具体的には、5,000発(ハマス発表値)のロケット弾をイスラエル側に撃ち込み、兵力も送り込んだというもの。200名以上の犠牲者を出したネタニヤフ政権は直ちに反撃、空爆などでガザ地区では230名以上が亡くなったという。

 

イスラエル側とパレスチナ側 双方200人以上死亡 “戦争状態” | NHK | イスラエル・パレスチナ

 

 その後も戦闘は激化していて、双方合わせて1,000名ほどの犠牲者が出たとも伝えられる。

 

    


 ロシア・ウクライナ戦争や米中対立の余波は、直接・間接問わず中東にも変化をもたらしている。

 

・ロシア影響力低下で、シリアのアサド政権が中国に接近

サウジアラビアとイランが中国の仲介で国交回復

サウジアラビアイスラエルが米国の仲介で国交正常化へ

 

 高価な装備はあるものの兵力そのものは少ない(*1)サウジアラビアが、米国に防衛協力を依頼していて、その見返りがイスラエルとの国交正常化だと伝えられる。これは、ハマスにとっては耐えがたいことだ。今回の地上部隊まで投入した対イスラエル戦は、サウジアラビアをけん制しアラブ・イスラム勢力に「我ここにあり」を示そうとしたものだろう。

 

 技術大国・軍事大国であるイスラエルの難点は、人口が少ないこと。アラブの大海に浮かぶボートのようなものだ。だからハマスの狙いは産業や設備ではなく、イスラエル人の首。ネタニヤフ政権は「戦争」と宣言、地上軍の投入もあり得るでしょう。この地域の緊張は、従来になく高まりましたね。

 

*1:軍が大きくなるとクーデターが怖いと王家が考えている