Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ロシア期待の「第二戦線」

 WWⅡが欧州を覆い尽くしていた1943年、英米からの物資援助で息を吹き返していたソ連軍だが、まだドイツ軍を打倒できるところまでの戦力はなかった。スターリン英米に対し、早期の第二戦線開戦を訴えた。ナチスドイツの圧力を独力で支えるのは限界だという主張である。英米軍は北アフリカからシチリアイタリア半島南部に侵攻したが、スターリンはフランス戦線を早く始めろと迫った。

 

 今回もスターリンならぬプーチン大統領は、第二戦線開戦を希望し、恐らくは画策した。その場所は中東。ウクライナへの最大の支援国米国は、もし中東に火が付けばそちらにも支援を廻さざるを得ない。ウクライナ支援が滞れば、ロシア軍にも勝ち目が見えてくると考えたはずだ。頼りにしたのは、ドローンなどを支援してくれるイラン。「大悪魔米国」打倒の為なら、たいていのことはしてくれるはず。

 

        

 

 結果はご承知の通り、イランの支援を受けたであろうハマスがテルアビブなどに大規模攻撃をかけ、歩兵まで投入して人質を獲った。こうなればイスラエルは報復せざるを得ないし、ユダヤロビーが大きな影響力を持っている米国政府には、イスラエルを支援する以外の道はない。

 

 イスラム教国のなかでも、エジプトやサウジアラビアイスラエルを非難していないが、レバノン・シリアに展開するヒズボラなどはハマスに同調してイスラエルに攻撃をかけるかもしれない。人質の中には欧米やアジアの国籍を持つ人もいて、それらの国がイスラエルを非難するとも思えない。中国人も3名犠牲になったと伝えられる。

 

 プーチン大統領にとって嬉しいのは、中東危機で石油先物価格が上昇するだろうこと。ロシアが闇で売る石油などの価格も、上昇することが期待できるからだ。これまでのところ「プーチンの陰謀」は、成功したといえるだろう。それにしてもSIGINTで圧倒的な能力を持つ米国情報部と、HUMINTで最高レベルのイスラエル情報部が、この事態を予想できなかったことは信じがたい。

 

 「ひょっとしてWWⅢが現実に」と思わせる事態になりました。この上、朝鮮半島台湾海峡に第三戦線が拓かれたら・・・。