Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

攻撃できなければ防御できない?

 サイバー空間には「Law & Order」は、ほとんど存在しない。ウクライナ紛争のようにはっきりしたものでなくても、いろいろな国の政府機関や重要インフラ企業は、常時リスクに晒されている。7月にも名古屋港が攻撃され、一時的とはいえ港湾機能が停止している。そこで「専守防衛」では社会機能維持が難しくなると、日本政府は「Active Cyber Defense」が実行できるように、各種ルールの見直しを始めている。

 

「Active Cyber Defence」の具体策 - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

 

 その中に、刑法を改正して、重大な攻撃に対処するためのウイルス作成は罪に問わないようにしようとする項目がある。これまでは、研究目的でさえウイルスを作れば罪になりかねなかったから、当然の措置である。

 

        

 

 そのウイルスは何に使うのかというと、サイバー攻撃に対処するための防御策を練るためのもの。研究用ウイルスを使って模擬攻撃をかけ、防御側の対応について是非や巧拙の検討を行うのだ。そう、平たく言えば「攻撃できなければ防御もできない」のである。その意味で、非常に興味深い記事があった。

 

米、化学兵器を全廃 大統領発表、禁止条約受け:時事ドットコム (jiji.com)

 

 これで化学兵器禁止条約(1997年発効)を締結した国は、全て化学兵器を廃棄したことになる。残念ながらロシアなどには未申告の化学兵器生物兵器も)がある公算は高く、地球上からこの種の大量破壊兵器が全廃出来たわけではない。

 

<バイオプレパラト>元幹部の証言 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 振り返ってみると、第一次世界大戦で毒ガスが広範囲に使われ、戦後1925年にジュネーブ議定書で化学兵器の使用が禁止されている。開発、生産や保管は禁止されていなかったが、第二次世界大戦では目立った使用はない。それでも1960年代から全廃への動きが加速し、上記禁止条約が発効している。しかし局地戦では使われたことがあるようで、直近ではシリアのアサド政権が自国内で使用したと言われる。

 

 防御の為のものも含めて、米国は廃棄したのでしょうか?無論ない方がいいのですが、防御できないから僕のマンションにマスタードガスが降ってきても、処置なしというのでは困りますよ。