Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

クリミア半島奪回作戦

 クライナ紛争は、この1~2ヵ月の間に節目を迎えようとしている。各レベルでのシミュレーションゲーマーとしての論点は、

 

◆戦略級

 ロシアの内部分裂しか、早期の停戦・終戦はあり得ない。中国が仲介するのか、プーチン政権が倒れるのか、核戦争にエスカレートするのか。ロシアが弱体化してしまった世界での地政学的議論も始まっている。

 

◆戦術級

 ロシア軍の統制や補給、士気は不十分なまま。一方のクライナ軍には、防空システムやAFVが揃ってきて、反撃が可能な準備は整いつつある。ドローンやサイバー攻撃の手段で、ロシア領内まで攻撃は可能。

 

◆作戦級

 ロシア側には選択肢は少ない。ドンバス地区の消耗戦で勝ち抜けるかくらい。ウクライナ側は、東部・南部のどちらを優先して反撃するかだろう。南部で押し戻して、クリミア半島を窺う方が、魅力的に映る。

 

    

 

 米国のCSIS研究員らが、クリミア奪還作戦についてコメントした記事がある。

 

私ならこうしてクリミアを奪還する──米軍事専門家3人|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

 

 総じて「電撃戦は無理だが、波状攻撃とクリミア橋を封鎖するなどの孤立化によって1年程で奪還可能」との意見だ。多分、純粋軍事的にはそうなのだろう。ロシア軍がセバストポリを要塞化しても、長くは持ちこたえられまい。問題は、クリミアの市民の意志がどうか、である。

 

 2014年のロシア軍侵攻は、ほとんど血を流さずに終わっている。クリミアの市民の相当数は親ロシアなのだ。仮にロシア軍を追い出したとしても、ウクライナ軍に対するゲリラ戦はあると思っておいた方がいい。ひょっとすると、ウクライナ軍が半島内で戦争犯罪として告発される事態を産むかもしれない。本当の意味の「奪回」には、時間がかかると思われる。

 

 クリミア戦争でも、独ソ戦でも激戦地となった半島です。地政学的な価値はあるのですが、その分いろいろな血筋が残っているはず。いわば黒海アフガニスタンですね。