Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

名目GDPと実質GDP

 先月、米国の人とビデオ会議をしていて、本題に入る前に雑談したテーマは、

 

◆気候

・ニューヨークは寒い(▲4度)し、アイオワなどでは▲30度

・日本は春の陽気、東京でも20度近くに

 

◆政治(選挙)

・トランプ人気相変わらず、ほぼトランプ対バイデンの構図固まる

・岸田政権支持率低迷(16%ほどとの調査結果も)、でも野党も・・・

 

 と話してきて、経済の話題になった。米国のインフレはまだ相当高い値、日米金利差は開いたまま・・・と話してると先方から、

 

「日本がリセッションに入ったと、かなり大きく取り上げられているよ」

 

 との言葉。僕は東京市場の株価はバブル期に迫っていたし、大企業の決算は軒並み利益増だから景気はいいと思っていた。しかし、

 

    

 

日本、予想外の景気後退入り GDPが2期連続マイナス - BBCニュース

 

 のような報道があったことは確か。加えて、予想されていたことではあるが、GDPで日本はドイツに抜かれて第四位に転落したともある。いずれも間違いではないのだが、ちゃんと読むと、

 

・10~12月期マイナスになったのは、実質GDP

・ドイツに抜かれたのは、名目GDP

 

 だと分かった。名目GDPは総生産の絶対値、実質GDPは名目値から物価変動分を補正したものである。10~12月期、日本の名目GDPは中国のそれを上回る5%(*1)以上を記録している。ただ、円安の影響が大きくドイツの名目GDPに及ばなかったということ。

 

 株価が評価するのは名目の方だし、利益額も物価変動は考慮しないから、株高は当然といえる。では何が問題なのか?僕なりに考えると、2点ありそうだ。まず、名目GDPが大幅プラスで実質GDPがマイナスなのは、物価が上がったということ。ある報道では、4%近くの物価上昇である。にもかかわらず「景気が悪いのだから日銀は金融緩和を続ける」との論調がある。

 

 もうひとつは、実質GDPの落ち込みは消費や設備投資が減ったゆえであること。上記のように儲けている大企業は別にして、一般消費者や小規模企業が苦しくなっている可能性がある。

 

 リセッション下の物価高(スタグフレーション)でも株高というのは、格差が開いていく兆候です。政治が空転している場合ではないと思うのですが・・・。

 

*1:年率換算、以下同じ