Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

どちらが日本の為になる?

 先週、対照的な経済学の入門書を2冊(*1)読んだ。日本経済が停滞していることについての認識は一致しているのだが、大きく3つの点で主張が異なっている。

 

1)加谷氏は日本経済はスタグフレーションになると言い、森永氏はスタグフレーションは死語になる(そんなことにはならない)と言う

2)加谷氏はその対処には生産性を上げるしかないと言い、森永氏は生産性向上は人(労働者)を不幸にする(からやめろ)と言う

3)加谷氏は個人も生活防衛のため副業などもせよと言い、森永氏は住民税非課税世帯となって政府の支援などを享受せよと言う

 

    

 

 ここまで主張が異なっているのは、著者たちの問題意識に決定的な乖離があるからだと思う。日本経済の停滞は、

 

◇加谷氏:経済界(経営者)が現状に安住して、構造改革や挑戦をしなかったこと

◆森永氏:政府が「財務真理教」に毒されて、税金や社会保険料を大きく上げたこと

 

 が原因だとしている。どちらが正しいかについては、僕は加谷氏の主張に9割ほどのシンパシーを感じる。今回の経済対策でも、住民税非課税世帯への給付金は、年度内に給付される。ちゃんと税金を納めている人への減税は、来年の夏ごろになるというのに・・・。だから住民税非課税の水準(おおむね世帯年収200万円ほど)まで、働くのを収めましょうという森永氏の主張には賛同できない。

 

 確かに生産性を高めるのは、ある意味労働強化につながる。より良い業務のやり方に向けた工夫をして、労働の付加価値を上げるのは辛いかもしれない。しかしそれによってより儲けないと、生活が良くならない・・・と考えるのが社会全体の経済成長をもたらすと、普通は思うだが。

 

 多くの世帯が生活保護や住民税非課税になってしまったら、社会はどうなるのでしょうか?それを考えれば、答えは明確だと思うのですが。

 

*1:必死で生産性を上げるしか - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 加谷珪一「スタグフレーション

  生産性向上は人を不幸にする - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 森永卓郎増税地獄」