マイナンバー(カード)問題への政府の対応について、多くの人は評価をしていない。少なくとも、来年秋にマイナ保険証に一本化し、従来のものを廃止するのは中止もしくは延期すべきだという意見が7割に及ぶという。
先週の<報道1930>には、初代デジタル大臣の平井議員、デジタル庁の庄司氏、経済評論家の加谷氏が出演して、現状課題や今後の対応について意見を述べていた。平井議員はもちろん庄司氏にも面識はあるし、加谷氏は、
ゲゼルシャフトが残る日本 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
などの著作を読んで、良識的な経済評論家と思っている。良いメンバーで面白い議論になると見ていた。マイナ保険証について、平井議員が「推進すべき。(従来の保険証では)年間500万件の差し戻しが発生、なりすましなど看過できない」と述べた。
これは以前、
すでに健康保険証問題 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
で紹介した疑惑を裏付ける言葉。やはりマイナンバーカード普及は手段であり、目的は従来型健康保険証システムの不備を改善しようというものだった。庄司氏もやはり「日本の遅れているところを挽回するには推進すべし」との意見だったが、加谷氏は、
・市民のデータをデジタル統合することは(行政効率等考えて)必要
・しかし各部門のデータが未整備の状態で統合しては、今回のようなトラブルになる
・統合過程で、ひとつひとつ不整合をあぶりだして直すには、不整合が多すぎる
・まず、各DBを整理してから統合すべし
と、一旦立ち止まって考え直せとの意見だった。僕も(平井先生や庄司さんの努力には敬意を表しながら)8割ほどは、加谷氏の意見に賛成する。しかし、
・既存DBには無数の間違いがある
・異体字問題や、各DBのフォーマットの違いもある
・日々UPDATEされているが、タイミングの遅れもある
状況を打破するには、ある程度のところで統一番号を使った紐づけとチェックをする必要がある。その程度(各DBの再確認)をどこまでやるかの問題である。3者の意見はいずれも正しい。要は、
・データ統合をしないと行政改革が出来ず、市民の利便性が確保できないし、市民の税負担も増える。
・しかし作業過程で、過去の間違いが発見されるので、何度か手戻りが発生する
と周知していなかった、行政の怠慢と政治家の度量不足でしょうね。