Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

特定秘密保護法の民間人適用

 何度か、民間人を含めた「セキュリティクリアランス制度」が日本にないため、重要インフラ等の防護を担っている民間人に、必要なインテリジェンス情報が届かないという問題点を指摘した。米国等にはあるこの制度、産業界としても必要性は感じるものの、

 

・実際にどんなインテリジェンスが来るかがわからないので判断できない

刑事罰を受ける可能性もあろうが、どのような防護体制をとるべきかが難しい

 

 という危惧は残っている。一方政府・与党としては「特定秘密保護法で、罰則付き公務員の情報守秘義務を定めた際にひどい目に遭った。もう一度民間含めて罰を盛り込むことなどゴメン」という気持ちもあったと聞く。しかし昨年末の、海上自衛隊幹部がOBに「機密」を漏らしたとして懲戒免職になった件もあって、何かが動きそうな気配がある。

 

    

 

 実は現状の特定秘密保護法や関連する自衛隊法の規定では、民間人に刑事罰を課すケースがあるらしい。以下のものを漏洩すれば、民間人と言えど10年以下の懲役になり得る。

 

・政府が指定する「特定秘密」

・米国から提供される「特別防衛秘密」

 

 その詳細については非公表だが、防衛産業関係者には民間人も含めて知らされることがあるのだ。それ以外の情報については、現時点で民間人に刑事罰を問う規定はない。それが、もう少し幅を広げるという観測がある。

 

防衛装備の「秘密」漏えい、企業に刑事罰 政府、規定を拡大方針 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

 「装備品等秘密」という名称で、これを故意に漏らすと懲役1年以下の刑事罰というわけ。この時点ではまだ防衛省への納入品関連のことだけだが「民間人に刑事罰」の例として宣伝し、やがてインテリジェンス情報を重要インフラ事業者へ渡す際の先例にしようと言うことかもしれない。

 

 もしそうだとすれば、目的には賛同するものの、手法については疑問符がつきます。これが岸田流の政策運用だとすると危険な匂いもするのですが。